風の剣エアロシルフ
俺は、木刀に先導されながら廊下を駆け足で駆けていた。道中、木刀は道行く兵を次々に気絶させていたのが原因なのかわからないが、進めば進むたびに塀の数が多くなってきた。城のそこら中から声も聞こえてくる。どうやら完全に脱獄がバレてしまっているようだった。
次々に出会う兵をなぎ倒して行くうち、突如銃声が鳴り響いた。そして、その銃が放った銃弾が木刀に当たり、木刀は地面に転がった。
その銃声の主を探すと、1人、見知った顔が見えた。マリアの親衛隊の1人、キーマンであった。
「逃げ出してきたのか?頑張ったみたいだな。しかし、その悪運もここまでだぞ。手を煩わせる悪い子供は俺が。やつざきにしてやるよ。ルールもなにも無い。かかってこい」
キーマンが俺に銃口を向ける。俺は木刀を握りしめ、キーマンに向かって走った。
キーマンは拳銃を乱射し、俺を足止めするつもりのようだった。弾が至るところに飛び交い、俺の行く手を阻む。だが、俺はそれをすり抜けて前進し続けた。もう1歩でキーマンに手が届く距離に来たとき、キーマンが少し笑い、銃弾を俺に向かって放ってきた。
瞬間、すべての感覚が研ぎ澄まされ、銃弾の速度が遅く感じられた。そして、その中でも俺の体は通常通り動き、銃弾を躱し、キーマンに一撃食らわした。
キーマンは壁に叩きつけられ、気絶したようだった。
「マリアを頼んだ」
俺は一言だけ言い、その場を去った。
『全く、乙な真似をしてくるね。あの聖女もさ』
『にがしてやるってか。もしかしたらホワイトの入れ知恵かもしれないな』
俺は木刀に語りかけながら走っていた。
「次はどっちだ!?」
『右だよ』
右へ行くと、行き止まりで先には窓しかなかった。
『そのまま窓を突き破って外へフライアウェイしな!』
「無茶言うなよ!!」
『僕を信じて』
「やけくそだあああああ!!」
俺は声を信じ、窓を突き破り外に飛び出した。そこは城の2階の窓から見た景色と同じだった。俺はそのまま真っ逆さまに急降下・・・しなかった。
俺の体は風に包まれ、緩やかに降下しながら街の外に向かって空中を飛んでいた。
「な、なんじゃこりゃあーーーーー!!」
俺は驚きのあまりすっとんきょうな言葉を発していた。
『僕の力で下降を緩やかにしてるんだよ。ついでに街の外への避難もね』
「すっげー! お前一体何者なんだよ!」
最初は驚いていたが、慣れてくると空を飛ぶのは爽快だ。俺は上機嫌で語りかけていた。
『僕の名はエアロ。エアロ=シルフだよ。君の探している魔剣の一つ、風の剣エアロシルフとは僕のことさ』
「剣!? でも剣身はどこにあるんだ?」
『僕の剣身は風そのものさ。剣の形を取ることもできるけど、今は必要ないでしょ?』
少し実感が沸かないが、ここは納得することにしておいた。
俺はエアロに連れられて、街の外まで飛んでいった。




