表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10の魔剣と銃の国  作者: ☆ひさよ☆
王女とケント
54/111

想い

「ケントさん!」

私は仰向けに倒れるケントさんの元に駆け寄りました。

「ゲハハハハハハ! ただでは死なん! お前も道連れよ!」

悪魔が捨て台詞と共に消えていきます。

そんな悪魔のことより、今はケントさんです。ケントさんは、胸に大きな風穴が空いていて、今にも死んでしまいそうでした。普通の人なら即死していたでしょう。ケントさんの頑丈さを呪いたくも、喜ばしいとも思いました。

しかし、私にこの傷を癒やすことができるのでしょうか。いえ、やるしかないのです。やらなければ、私が諦めてしまえば、ケントさんは死んでしまうのです。

『大丈夫よ、マリア!』

「ホワイトさん……?」

不意にホワイトさんが声をかけてきました。

『私が力を貸してあげる』

優しい声色でホワイトさんは言いました。


握ったホワイトさんから膨大な魔力を感じます。これならできるかもしれません。

『私に続いて唱えるのよ』

私は頷きます。

『天におわす我が神よ』

「天におわす我が神よ」

『我が想いを聞き届けたまえ』

「我が想いを聞き届けたまえ」

魔力が集まってくるのを感じます。それもすごい量が。これを本当に私が扱えるのでしょうか。いえ、扱わなければ、ケントさんは死んでしまうでしょう。絶対に成功させます。

私はホワイトさんを床に置きました。

『え、ちょ! なにしてるのよ!』

「この者を救い給え、我が想いを叶え給え、導き給え、戻し給え、許し給え、救い給え・・・」

私は両の掌をケントさんに向け、唱えました。

偉大なる神の祝福(グレイテスト・ヒール)

すると、ケントさんの傷はみるみる塞がっていきました。

完全に塞がったのを確認すると、私は急いでケントさんの胸に耳を当て、心臓の鼓動を確認しました。トクン、トクンと静かに脈動する音が聞こえました。

ホッと胸をなでおろすと、気が抜けたのか、一気にけだるさが襲い掛かってきました。その気だるさに耐えられず、思わず仰向けに倒れてしまいました。

『ちょっと! どうして最後、私を放したのよ!』

ホワイトさんはご立腹のようでした。それもそのはずでしょう。私は自分からホワイトさんから手を放したのですから。

「ダメな気がしたからです。誰かに手伝ってもらって、相応量の魔力を得たところで、神様は奇跡を起こしてはくださらないと、心の片隅で思ってしまったからです。神聖魔法は想いの強さ、方向性で効果が変わります。そんな迷いのある心では、奇跡なんて起きるはずがないのです。私たちの信仰する神は、一途に想いを貫いた者にしか答えてくれないと思ったのです」

『あなたって人は・・・』

私が仰向けのまま上を見ると、教壇の方から、神官が走ってくるのが見えました。

「マリー様! 大丈夫ですか!」

「サニア、あの方は?」

「命に別状はありません」

「そうですか・・・」

私はホッと胸をなでおろします。ケントさんほどではなくとも、あの方も心配していましたから。

「ケントさん・・・そこの方を寝室に寝かせてくださいますか?」

「わかりました。すぐに戻ってきてマリー様も寝室に運びます! おとなしくしててくださいね!」

「わかりました」

サニアがケントさんを抱えて小走りで去っていきました。サニアとは昔からの付き合いですが、本当に私のことをよくわかっていますね。ですが、いつもならまだしも、今回は本当に動けないので、その心配はしなくてよかったんですけどね。

今はとりあえず眠りたい気分です。

『あなたのことほんとに気に入ったわ。私、あなたに付いて行ってあげる!』

目を閉じ、意識が朦朧としてきたところに、ホワイトさんの声が聞こえた気がしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ