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10の魔剣と銃の国  作者: ☆ひさよ☆
王女とケント
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マリー=アン=ウィンチェスター

「まず、私の名前はマリー=アン=ウィンチェスターと言います。これまで名乗っていたマリアというのは偽名です。申し訳ありませんでした」

マリアがぺこりと頭を深く下げる。

「私はこのウィンチェスター王国の第三王女ということになっています。王位継承争いが嫌だったので、東の方に疎開していましたが、この度、戻ってきました。その理由としては、大地の森で一度ケントさんは目撃していると思いますが、悪魔の活動が活発になってきているからです」

「悪魔ってあの神話とかに出てくるやつらかい?」

「そうです。その悪魔です」

カエリアは驚いた顔をする。そりゃそうだろう。あのおとぎ話に出てくるものが現実にいるというのは、簡単に受け入れられるものではない。

それでも、カエリアはその言葉を呑み込んだようだった。

「でもさ、その悪魔とマリ・・・マリー王女様が戻ってくるのと、何の関係があるのさ」

確かに、それは俺も気になっていたところだ。

「それは、私が大神官長だからです」

「大神官長だって!?」

カエリアが驚きの声を上げる。

「大神官長?」

「ケントくんは知らないんだね。大神官長というのは、教会に属する神官のまとめ役といったところだったかな。とにかく偉い人だよ!」

「まあ、だいたいそうです。私の他に、枢機卿官(すうききょうかん)という役職の方が事務の方の最高責任者となっています。私は実務の方の最高責任者といったところですね」

なるほど。つまりはマリアは教会のめっちゃ偉い人だったってことか。

『ケント、本当にわかってるの?』

『こいつは興味の無いことにはとことん無頓着だからな・・・』

『私は全く分からなかったよ!』

『ヒメは無い胸を張って何言ってるの・・・』

『み、見た事ない癖に何言ってるの! 張るくらいには胸はあるよ!』

「王女様が帰ってきた理由はわかったよ。ありがとう・・・ございます」

ホープたちが口をはさんでくるが、聞こえていないカエリアが意に介すはずもなく、ぎこちない敬語で続きを促す。

すると、マリアは居心地が悪そうな顔をした。

「えっと、カエリアさん。これまで通りの話し方で構いませんよ。なんだか落ち着かないので」

「ん? 姫様がいいのなら、以前通りマリアちゃんって呼ぶことにするよ! 私も話しにくかったからね。ありがとね」

「ケントさん・・・は遠慮とかしないですよね」

『こいつに忖度とかを期待するのは間違いだ』

なんかすごく失礼なことを言われてる気がする・・・。


マリアが気を取り直すようにコホンと咳払いをした。

「ということで、お二人にはいろいろと協力をお願いすると思うのです。数少ない私の協力者として、助力くださると助かるのですが・・・」

親衛隊の三人がこちらを見る。そのうち二人は睨むといった方が正しい気がするが・・・。

「マリアちゃん、勘違いしないで欲しいんだけどさ、私は鍛冶師だけど同時に商人だよ。対価に見合う仕事くらいさせてもらうよ」

「はい。お礼はちゃんとさせていただきます―――」

「違う違う」

カエリアが呆れたように手を振って言う。

「この食事のお礼に、協力するって言ってるのさ。商人はタダでは物をもらわないものだよ」

そうカエリアが言うと、マリアの顔はぱあっと明るくなり、「ありがとうございます」と頭を深く下げた。

「ケントさんはどうですか?」

親衛隊の視線が俺に突き刺さる。

マリアとは長い付き合いになったし、もちろん手伝おう。でも、対価は欲しいかもね。

「もちろん協力するよ。でも、その代わりに魔剣の情報があったら教えてよね」

「もちろんです。ケントさんの目的は剣ですもんね」

マリアがにこりと笑う。親衛隊の厳しい視線もそれと同時に無くなった。


「今日は王城に泊まっていってください。良い客室をご用意しますね」

「じゃあお言葉に甘えて」

俺たちは親衛隊に案内されて、部屋に向かった。もう月が高く昇っていて、廊下には月明かりが差し込んでいた。

いつのまにかこんな時間になっていたんだな。

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