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10の魔剣と銃の国  作者: ☆ひさよ☆
天と地と出会い
41/111

王都へ

俺は気が付くと宿で寝ていた。

隣のベッドではマリアがすやすやと眠っていた。まだ日が昇っておらず、あたりはシンと静まり返っていた。聞こえるのは虫の声くらいだろうか。

悪魔は倒せたのだろうか、あの後なにがあったのか、聞きたいことはあった。だけど、マリアの健やかな寝顔を前にして、無理やり起こすのは気が引けた。

もうひと眠りするか。

そう思って、俺は目を閉じた。



「やっと起きましたね。お寝坊さん」

翌朝、俺はマリアの声で目を覚ました。

「おはよう」

「おはようございますケントさん。もうお昼ですよ。ちゃちゃっと支度してください」

外を見てみると、もう日が頭上近くにあった。

「なにかあるの?」

「アーゲインさんにお呼びされてるんですよ。お昼一緒にどうかって。宿までリーエンさんが訪ねてきましたよ」

「じゃあ急いで行くか」

俺は一回伸びをしたあと、支度をして家を出た。



俺はマリアを抱えて、町中を跳ねて進んでいた。目的地はギルドだ。屋根の上を伝っているので、通行人で気付いている人は少ないみたいだ。宿からはギルドまで少し距離があるので、この方法を取っている。

次第にギルドが見えてきた。

「お、窓開いてるじゃん」

俺は開いている窓に向かって飛び込み、部屋の中に着地した。奇麗な絨毯が少し歪んだ。

机で書類仕事をしていたであろうアーグは、驚いた表情でこちらを見ていた。まあ、驚かせてやろうと思って窓から入ったから、想像通りの顔だけど。

「アーゲインさん、こんにちは。ご招待ありがとうございます」

マリアを降ろすと、マリアが挨拶する。

「マリアさんは意外とおてんばだよね。物腰はおしとやかそのものなのにね」

「俺がさっき起きたとこだったから、急いできたんだよ」

「だからって窓から入ってくるのはやめてくれ・・・」

俺が悪戯っぽく笑うと、アーグは呆れたように手で顔を覆って言った。

そこに慌てた様子でリーエンが扉をバンと開けて入ってきた。

「どうした! 敵襲か!?」

「大丈夫、この二人が窓から入ってきただけだから」

アーグがそういうと、リーエンは深いため息を吐いた後、俺たちの傍まで来て、ポコンと頭を軽く殴った。

「ちゃんと扉から入れ」

「はーい」「はい」

ふふふ、にしし、と俺たちは笑いながら答えた。

「俺は下の連中に大丈夫だと伝えてくる。飯はここで食うからお前らは待っとけ」

そういうと、リーエンは下に降りて行った。



しばらく待っていると、リーエンが食事を持った女の人と共に戻ってきた。

「そこのテーブルに置いてくれるか」

「承知しました」

リーエンが女の人に指示すると、女の人はテーブルに持っている料理を奇麗に置いて、立ち去って行った。

「さ、アーグも仕事は休憩にして、飯でも食おうぜ」

「こちらから誘いましたからね。食事にしましょう」

アーグも机から立ち上がり、テーブルの方に移動する。俺たちは元々テーブルの方に座っていたのでそのままだ。

「糧となってくれたものに最大限の感謝を」


「そういえば、お前たちこれからどうするんだ?」

食事の途中、リーエンが聞いてきた。マリアも気になっていたようで、俺の方を伺うように見ていた。

「そうふぁな・・・王都に向かおうと思ってる」

「王都に? そりゃまたどうして?」

「マリアに依頼されてるからな。王都まで護衛してくれってさ。最初は路銀が無かったから動けなかったけど、それも稼げたし、そろそろマリアの依頼を済ませとかないとな」

「なるほど。それは丁度良いですね」

アーグはそう言うと、少し席を立ち、書類の置いてある机から、一枚の紙を取り出した。

「ここを発つときにケントさんにお渡ししておこうと思ったのです。これは紹介状です。今、王都のギルド宛にしましたので、冒険者ギルドに着いたら受付に渡してもらえればスムーズに事が進むと思います」

俺はそれを快く受け取った。

「ありがとう」

「じゃあ俺も―――」

「だめです」

リーエンの言葉を遮るようにして、アーグが言う。

「あなたはこの町の最大戦力です。ここにいてくれなければ、この町を守れる者がいなくなります。なのでそれは看過できません」

リーエンは残念そうに舌打ちをした。



後日、俺たちはアーグの手配してくれた馬車に乗ることになった。悪魔討伐の礼ということらしかった。謝礼もちゃんともらったのにここまでしてもらって少し悪い気がする。

アーグやリーエンは見送りに来てくれていた。

「元気でな」

「王都のギルドマスターにもよろしくおねがいしますね」

「また来るよ。俺の村も近いしね」

「リーエンさん、少しかがんでいただけますか?」

マリアがそう言うと、リーエンがマリアの目線と合うように屈んだ。

マリアはどこから取り出したのか、ネックレスのようなものをリーエンの首にかけた。そのネックレスは、奇麗な石を繋げたもので、真ん中には紫色の魔道石が付いていた。

「約束の物です。お守りにしたいということだったので、ネックレスにしてみました。周りの石は力強いリーエンさんをイメージして、筋力アップの効果のある魔法具となってます」

「おお・・・おお・・・! ありがとよ!」

リーエンは言葉にならないのか、ネックレスをまじまじと見ながら唸っている。そんなに喜んでくれるなら、俺としても金をはたいた甲斐があったというものだ。

「その魔法石の品質はアタシが保証するよ!」

先に馬車に乗っていたカエリアが颯爽と飛び降りてきて言う。

昨日、防具のメンテナンスのためにカエリアの店に寄ったところ、王都についてくることになってしまった。なんでも、王都で店を出す予定があったらしく、ちょうどいいので俺たちと共に来るということだった。ネックレスに使った魔法石はカエリアの店で調達したものだ。かなり値段が張ってしまって、悪魔討伐作戦の報酬が全部無くなってしまった。

まあ、リーエンがあれだけ喜んでくれているならその甲斐もあったよな。

「でも、ほんと地味だよねえ? もっといろんな効果の付いた魔法石をふんだんに使ってカラフルな見た目にした方が良いと思うんだけど!」

「リーエンさんにはこれくらいの方が似合いますから」

「それはそうかもだけどさ!」

カエリアはなにやら騒いでいる。いつものことか。

『あいつは相変わらず騒がしいな』

『元気なのはいいことだよ。ね、ヒメ』

『そうだよー!』

ホープたちも元気だ。彼らがいなければ、スミスの町にもきっと来なかっただろう。感謝してもしたりない。


「そろそろ時間だね。三人とも馬車に乗った方が良いよ」

「りょーかいです! アーグさんもお元気で! うちの店の宣伝、よろしくおねがいしますね!」

「ケント! マリア! それからねーちゃんも元気でな!」

「みなさんもお元気で!」

「みんなー! またなー!」

みんなにあいさつした後、俺たちを乗せた馬車は時間通りに走り出した。

王都には何が待っているんだろうか。期待と不安が入り混じった思いを抱きながら、俺は馬車に揺られることにした。

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