閑話:欲望
俺は一体どうしたんだろう・・・悪魔とぶつかったところまでは覚えてるんだけど・・・。
「おい、お前の欲望を言ってみろ」
目の前で俺が囁く。どうして俺が目の前にいるんだ?
「そんなことどうでもいいだろ。いいから欲望を言ってみるんだ」
欲望か・・・やっぱり魔剣を早く集めて村に戻りたいな。
「なるほどな・・・その為におまえは―――」
それから村で父さんと母さんとのんびり暮らしたいよな。ビガンのやつとまた試合もしてみたいし、村の周りの警備とかしながら暮らしたいな。
「そうか。それな―――」
でも魔剣のみんなはどうしようかな。一緒に暮らしてくれるのかな。あいつらかなり便利だし、俺でも魔法がつかえるようになったらいろいろとできるようになるよな。
「・・・」
それにマリアを王都まで送り届けないといけないよな。マリアにはいろいろと世話になってるからちゃんと送り届けてやらないと。報酬ももらえるみたいだしな。
「いい加減にしろ! お前は欲望が多すぎるんだよ!」
っていうかお前はなんなんだよ。俺の姿しやがって。もし、俺自身を映したものだとかいうなら、いちいち言わなくてもわかるだろ。俺の欲望は、思う通りにやることだ。俺が気に入らないと思ったなら、それは俺の敵だ。
そして、俺はお前が気に入らないってことだ!
俺は手に持った木刀で目の前の偽物を切り裂いた。
俺の偽物は煙のように消え、代わりにぼんやりとマリアの顔が暗闇に映し出された。マリアは地面に仰向けに倒れており、擦り傷が目立っていた。そして、俺の声が響く。
「神官、これで最後だな」
そうか、俺は悪魔に体を乗っ取られていたみたいだな。
やめろ!そいつは俺が送り届けるんだ。俺が守る対象を傷つけてどうするんだ!
そう強く思ったとき、俺の目の前の景色がクリアになり、体をひどいけだるさが襲った。辛うじて振り上げた剣を逸らして地面に突き刺すことに成功したが、これ以上動くのは無理そうだった。
「マリア、セイントを・・・頼む・・・」
それだけ言うと、俺の意識は途切れた。




