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10の魔剣と銃の国  作者: ☆ひさよ☆
天と地と出会い
38/111

VSケント

ケントさんの体が宙に浮いたまま項垂れます。なぜか剣は握ったままなのですけれど。

おそらく、悪魔に体を乗っ取られたのだろうと察しました。

「これはまずいことになりましたね・・・」

「おいおい、ケントのやつはどうしちまったんだ」

「ケントさんはおそらく悪魔に取りつかれています」

「なんだと? じゃあどうすりゃいいんだよ!」

「私が悪魔を追い出します。リーエンさんはケントさんの動きを止めてください」

「無茶言うじゃねえかよ!」

リーエンさんが背中に背負ったライフルに手をかけます。なにか策はあるんでしょう。

「死ぬなよ」

「はい」


相談が終わると同時に、悪魔が叫び声をあげました。

「ひゃははははははは!」

それは普段のケントさんからは到底聞くことのないであろう叫び声でした。

「このよく鍛えられた体、最高じゃないか。しかも丁度良く獲物が二匹もいるよなぁ」

悪魔はねっとりとした視線で私とリーエンさんを見ます。

私はいつも冷静に、物事を判断してきたつもりでした。いつ何時も、激情に駆られることなく、正しい選択が取れると、自負していました。でも、このときだけは、今だけは我慢なりませんでした。

「その姿と声でそんなことを言うな!」

気付けば私は走り出し、悪魔に殴りかかっていました。

「我らが神よ、神敵を滅ぼしたまえ! 聖撃(ホーリースマイト)!」

私がかざした掌から光の槍が悪魔目掛けて飛んでいきました。

しかし、それを悪魔は難なく剣で防ぎました。

「おっと、危ない危ない。お前からは嫌なにおいがプンプンすると思ったら、神の力を行使することが出来る者だったか。人間の言葉で言うならば、神官・・・だったか? 生意気にも我らが王の邪魔をするか!」

悪魔が私に突っ込んできます。ですが、すんでのところで止まってしまいました。その瞬間に私と悪魔の間を銃弾が通過します。リーエンさんが銃弾で私を助けてくれたようです。リーエンさんは軽く舌打ちをしていました。

「リーエンさん! 体はケントさんなんです、頭を撃ちぬいてしまえば死んでしまいます!」

「そうだったな・・・すまん」


それを聞いた悪魔が高笑いします。

「お前らは俺に手を出せないようだが、俺は手を出せるってことだなあ?」

悪魔は私に向かって手を伸ばし、首を絞めながら持ち上げてきます。

「これなら神の力は使えないよなあ?」

どんどん首を絞める力が強くなっていき、苦しくなってきます。その時、ひと際大きな銃声が鳴り響きました。

その瞬間、私の首を絞める手は外れ、息が普通にできるようになりました。少し咳き込んだ後、顔を上げると四肢を縛り上げられている悪魔がそこにいました。

「くそ! なんだこれは!」

「拘束弾だ。できることなら悪魔を生け捕りにしたいと思って持ってきてたんだが、まさか仲間に使うことになるとはな」

この機を逃す手はありません。私は詠唱を始めます。

「我らが神よ、悪しき者に囚われたわが友を救い給え」

私が悪魔に近寄り触れようとした時でした。

「うがあああああああああああ!!!!」

急に拘束が解け、悪魔が私を蹴り飛ばしました。

「なに!?」

私は地面に仰向けに倒れ、詠唱で集めた魔力も霧散してしまいます。

気が付けば目の前に悪魔が立っていました。

「神官、これで最後だな」

悪魔が剣を私の心臓目掛けて突き立てました。私は死んだんだなと思いました。

友達も救えないなら、国なんてきっと救えなかったでしょう。王都に戻らなくてよかった・・・。


ですが、いつまでたっても私は痛みを感じることはありませんでした。目を開けると、頭の横に剣は突き刺さっていました。

「マリア、セイントを頼む・・・」

弱弱し気なケントさんの声が聞こえました。私は慌てて詠唱をし、ケントさんの体に触れました。

私の手がケントさんに触れると共に、押し出されるように悪魔が出てきました。

「ありがとう・・・」

ケントさんは気を失ったようでした。きっと心の中で悪魔と戦っていたんでしょう。

「ここからは私がやります」

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