探索
俺はマリアとリーエンと、大地の森にいた。
「こんな開けたところがあったとはな」
リーエンは辺りを見回している。俺たちが来たのはヒメの刺さった森の開けた場所だ。ついにヒメを抜きに来たのだ。
「これが俺の探してる魔剣の一つ、大地の剣だ」
「ほう・・・って錆びてるじゃねえか」
ヒメを見て大げさに言うリーエン。ヒメが傷つくからやめて欲しいんだけど。
『なにこの人! 失礼!』
頭の中にヒメの怒鳴り声が響く。さすがにそんな反応になるよな。
『まあまあ、ヒメの力を見せればきっと驚くよ』
ミコトがなんとかなだめている。
この数日、ヒメを抜きに来なかったのは理由があった。集中の訓練をしたかったからだ。数日間、何度もやってみて、火を灯さないホープを振るくらいなら五分はもつようになった。それを超えると気を失うか、体が酷く重くなる。でもこれだけもつなら抜けるはずだろう。
俺はヒメの柄を強く握った。
『お、本当に抜けるようになったのかな? でもその前に、魔導石は?』
「あ、忘れてた。でも、これどうやって使うんだ?」
「貸してください」
マリアに魔導石を渡す。するとマリアはヒメの錆びた刀身に半透明な魔導石を当てた。すると見る見るうちに色が橙色に変わっていった。
「この程度で大丈夫ですかね」
『いい感じ』
「じゃあこれを地面に埋めてもらえますか?」
マリアは俺に橙色に光る魔導石を差し出した。それを受け取り、地面に穴を掘る。
「もっと深く掘ってください」
『深くないと全域に行き渡らないかもしれないでしょ!』
「わかったわかった」
ヒメがなんでそんなに偉そうなのかは今は置いておくとしよう。
30センチメートルほど掘って、魔導石を埋めた。一応目印のために石を積み上げておいた。
「じゃあ、改めて」
『ほんとに抜けるのかな?』
「馬鹿にすんなよ」
俺は柄を握り、目を閉じ集中する。精霊力が体の全身に行き渡るのを感じると同時に目を開け、ヒメを思い切り引き抜いた。引き抜いた拍子に、ヒメの刃の方向にあった木が数本なぎ倒された。
「え」
「おい、今なにをした?」
「ただ引き抜いただけなんだけど」
本当に、何が起きたかわからなかった。俺はヒメを地面から引き抜いただけなのに、木が倒れていた。しかも切られたとかではなく、なぎ倒されている。
『それがヒメの力だよ。引き抜くときにちょっと勢いを付けすぎたみたいだね。ボクやホープを振った時にも風が起こるでしょ? それと同じだよ』
「は? それはつまり、ヒメを勢いよく振ったときの風で気がなぎ倒されたってことか?」
『そういうことだね』
『すごいでしょー!』
すごいとかそんな次元じゃないぞそれは・・・。慎重に扱わないとな・・・。
俺は慎重に鞘に納め、集中を解いた。
「これはとんでもないものを手にしてしまったかもしれないな・・・」
「力には責任が伴います。気を付けてくださいね」
「うん・・・」
気を付けてどうにかなる物なのか・・・?
「終わったか?」
リーエンは俺がヒメを抜いている間、大人しく待っていてくれた。木がなぎ倒された時はさすがに声を上げていたが。
「なんとかな」
「じゃあ、俺たちも捜索を開始するか。一応、変わったのを見つけたら信号弾を撃つ手筈になっているが、この森の中では見えるか怪しい。できれば俺たちが見つけるんだ」
俺たちは深く頷いた。
『なんか探してるのー?』
「この森に悪魔が潜伏してるらしいんだ。俺たちはそれを探して討伐する依頼を受けて、その途中、といったところだな」
『それってアイツのことかなー? っていうか、この森の事なら隅々まで私がわかるよ?』
嘘だろ・・・?
それが本当だとしたら捜索が一気に楽になるぞ。
「ヒメ、そういつがどこにいるか、教えてくれないか?」
『私が言葉で言うよりも、ケントが自分で探した方が早いよ?』
「うーん・・・。じゃあ、やってみるか」
俺はヒメを鞘から抜こうとした。が、抜けない。そうか、集中しないと持つことすらできないのか。
俺は再び、精霊力を全身に行き渡らせる。
「集中」
そう呟いて再びヒメを鞘から抜く。もちろんゆっくりと慎重にだ。
『地面に刺して、精霊力を込めてみて』
言われたとおりに、俺は地面にヒメを突き刺し、精霊力を込めてみた。すると、込めた精霊力を伝って、この森のすべての生命を感知することができた。それはもちろん悪魔も例外ではない。
「わかったぞ。悪魔は北の方にいる」




