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10の魔剣と銃の国  作者: ☆ひさよ☆
天と地と出会い
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神聖魔法

俺たちがギルドを出ようとすると、一人の男が声をかけてきた。

「よう、新入り。ここではな、先輩には敬意を払うのがお約束なんだよ。かわいい嬢ちゃん連れて良いご身分だよなあ?ええ?」

振り返ると、顔に傷のある大柄な男が話しかけてきた。男はそう言うと、マリアに手を伸ばす。その手をマリアは意外にも払いのけた。

「触らないでください。あなたからは悪しき匂いがします」

「なにぃ?」

男は憤慨して、掴みかかろうとしてきた。そこに俺が割って入る。

「何する気だ?」

「なかなかやるじゃねえか・・・新入り!!」

俺が男の腕力に屈しなかったのが予想外だったのか、少し驚きを表しながらも男は俺を押しのけようと力を込めてくる。俺もそれに対抗して力を込める。

「天におわす我らの神よ、彼の者を救う為、我が手に御身の力を授けたまえ・・・」

マリアが呟いた。次の瞬間、俺を押しのけて、どこに仕舞っていたのか、チェーンの付いたロザリオを手に巻き付けたマリアが、男に掌を当てた。

聖印(セイント)!」

瞬間、男から小さな虫のようなものが押し出されるように飛び出し、どこかへと飛び去って行った。男はその場に膝をつき倒れ込む。

「俺は・・・何をしようと・・・」

我に返った男は慌てて立ち上がり、深々と頭を下げた。

「す、すまねえ嬢ちゃん!俺はとんでもないことをしでかそうと・・・」

「顔を上げてください」

マリアは男に優しく言った。

「あなたは今悪魔に取りつかれていたのです。悪魔は人の心の隙間に入り込み、その者を意のままに操ります。主に悪行を働かせたり、悪魔に有益な行いをさせたりします。本当のあなたはあんなことをする人間ではないでしょう?」

「あ、ああ。確かに俺は奇麗な女を見つけたらナンパしているが、決して無理やりとか、困ってるところに付け込もうとかはしねえ!俺のギルドカードに懸けてそんなことはしていないと誓う!でもな・・・」

男は少し俯いて続けた。

「最近女に逃げられてばかりで、鬱憤が溜まっていたんだ・・・。ここ一か月は誘っても食事すらしてくれねえ女ばっかりでよ・・・」

「そこに付け込まれたのでしょうね」

マリアは男の手を握りしめて続ける。

「人生山あり谷あり、そんな時もあるでしょう。そんなときは、今のように悩みを吐き出してしまえば、少し楽になりますよ。教会にいけば、神様はどんな悩みも黙って聞いてくれます。もし、この先もそういうことが続いたら、教会に足を運んでみてください。我らの神は何者も拒みませんから」

男は、涙目になりながら膝をつき、感極まったといった様子でマリアを見つめた。

「あなたが・・・天使か・・・」

「うふふ。私は天使様ではありませんが、もしよろしければ今夜の夕飯はご一緒しませんか?」

「い、いいのか・・・?」

「ええ。こちらにいる、私の護衛をしてくださっている方もご一緒でよろしければ」

「ああ! もちろんさ!」

そして男は俺に向き直り、謝罪してきた。

「さっきはすまなかったな。お詫びに夕飯は奢るよ。俺の行きつけの店があるんだ。夕方……五時くらいにここに来てくれよ。待ってるからさ」

「わかった。ご馳走になることにするよ」

「それじゃあ、俺はこれで!」

男は上機嫌でステップを踏みながら駆けて行った。


「とりあえず一件落着か」

「何とかなってよかったです」

俺は改めてマリアの服装を見てみる。俺の服を着ているからか、いやに扇情的に見える。

「薬草を取りに行く前に、マリアの服をどうにかしないとな」

「良いのですか?」

「旅は道連れ・・・だろ?」

「ありがとうございます!」


俺たちは、一緒に冒険者として活動するならただの服よりも防具を身に付けた方が良いと受付のセレンに助言をもらい、武器、防具が揃うという、鍛冶屋を紹介してもらった。

「さっきのはなんだったんだ? せいんと・・・だっけ?」

道すがら、さっきの魔法についてマリアに聞いてみた。っていうか本当に魔法なのかあれ?

「あれは神聖魔法というものです。神様の力を一時的にお借りして、奇跡を起こすというものです」

「はえー、そんなのもあるんだなあ」

俺が感心していると、ホープが口をはさんできた。さっきの騒動の時は一切喋らなかったくせに。

『今は神聖魔法と呼ばれているのか。あれは紛れもなく精霊魔法なんだけどな』

「精霊魔法ですか?」

『ああ。精霊ってのは人の思いや願いで生まれる。信仰だって例外じゃない。人々の信仰が集まって、本当に神が生まれたってこともあるからな。その精霊の力を借りて、魔法を行使する。それが精霊魔法だ』

「ホープの炎も同じような感じ?」

『そうだな。俺は精霊力を使って発動するから、本当の精霊魔法とはちょっと違うけどな。おそらく剣に宿っているから力が限定的になってるんだと思う』

「本当の精霊魔法はホープさんの力とは少し違うということですか?」

『そうだな。精霊魔法は本当に願いや思いだけで発動する。さっきのマリアの詠唱があっただろ。それは自分で紡いだ言葉だな?』

「はい。そうです」

『言葉には多かれ少なかれ思いが乗る。何かを音読するんじゃなく、自らが紡いだ言葉ならな』

「その言葉に乗せられた思いの力で魔法が発動するということですか?」

『exactly! ケントと違ってマリアは頭の回転が早いみたいでたすかるぜ』

「おい、今俺を貶す必要あったか?」

「お前も精進しろってことだよ」

ホープはかっかっかと、マリアはうふふと、二人して笑っていた。少しイラっとしたのは当然の勘定だよな?

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