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10の魔剣と銃の国  作者: ☆ひさよ☆
天と地と出会い
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幕間:二章

第二章

パカラパカラ、ガタンガタンと一台の馬車が森の中の街道を走っていた。舗装された街道ではあるが、そこは平坦と呼べるほどの代物ではなく、小石が散らばっていたりそもそもの道がでこぼこしていたりで馬車も相応に揺れていた。

「結構揺れますが、大丈夫ですか?」

「ええ、なんとか」

「ここは人通りも少なく、王都からもかなり離れていますから、元々の舗装工事も手を抜いていたのでしょう」

馬車に乗っているのは身なりの良い初老の男性と、若い娘である。娘は白い衣を纏っていた。その姿は一見扇情的に見えるが、その娘の着こなしや立ち振る舞いから、神々しさすら感じられるほどの清楚な装いに感じられる。

「工事を行った作業員の皆さんも全力を尽くしたのです。元々は良い道だったのでしょう。しかし、昨今は査察なども行われず、整備が滞っていたのでしょう。そこはこちらの落ち度ですよ」

「そうかもしれませんね。王都に帰ったらすぐに査察に向かわせましょう」

「すみませんねえ!お二人とも!これ以上急ぐと馬車がひっくり返るかもしれねえんで、もう少しの間我慢していただけますか!」

御者の男が申し訳なさそうに声をかける。

「大丈夫です。馬の体力のこともあります。匙加減は任せますよ」

「ありがとうございます!この森さえ抜ければ―――」

その言葉は遮られ、突如馬車は大きく跳ね、前方に回転しひっくり返った。

「大丈夫ですか!」

「ええ、なんとか」

娘は痛む体を庇いながらも男性を気遣っていた。実際のところは数か所は打撲しているだろう。

「ここにいてください。私が様子を見てきます」

初老の男性が外に這い出すと、馬車がひっくり返った原因がずんと佇んでいた。

「コモドリザードだと・・・」

男性は絶句した。それは緑色の巨体を持った二息歩行の爬虫類だった。全長は五メートルほどはあるだろうか。コモドリザードは馬車を引いていた馬にむしゃぶりついていた。

「姫様、お逃げください」

男性は馬車の方に戻り小声で娘に告げる。

「一体何が・・・?」

「コモドリザードです。落ち着いて、町の方へ行ってください。私がなんとか足止めします」

「コモドリザードは温厚な性格をしているはず……それがなぜ……」

「わかりません。今は馬を食べることに夢中になっています。今のうちに行ってください。私も後から行きます」

「……わかりました」

娘が外に這い出して、できる限り静かに早く街道を歩いていく。それを見て、意を決したように懐に忍ばせておいた魔銃を引き抜き、男性が振り返る。その瞬間、巨体を持つトカゲと目が合う。何を思ったのか、コモドリザードは馬車の方を向いていたのだった。

コモドリザードの血走った目と目が合い、男性は死を覚悟した。

「姫様!走ってください!!」

男性の叫びと共にコモドリザードがのっそりと巨大な後ろ足を動かし、男性を踏みつぶそうとする。男性はとっさに横に飛び、間一髪足を躱す。

「こっちだトカゲ野郎!風魔法・エアスラ―――」

男性はコモドリザードの注意を引くために魔法を詠唱した。だが、その魔法が発動することは無かった。コモドリザードの巨大な尾が男性に襲い掛かり、男性は吹き飛ばされた。

そしてコモドリザードの興味は走って逃げる娘の方に向いてしまう。

娘は後ろが気になってしまい、ちらりと振り向いてしまう。それが良くなかった。神経を逃げること以外に削いでしまった娘は足を躓かせ、転んでしまう。

「うっ・・・だれか・・・」

悲痛な少女の叫びが小さく響くが、食欲という抗えぬ欲求にとらわれた爬虫類にはその言葉が届くはずもなく、もう終わりだと思ったそのとき、娘の目の前で大きな火の玉がコモドリザードの首元を掠めていった。そして、コモドリザードの首はその火の玉に切断されたように、地面にズシンと落下したのだった。その切り口は黒く焼け焦げていた。

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