逃亡
ケントさんが炎に焼かれたのを見た瞬間、私は【聖十字】を発動していました。ドラゴンの吐いた炎は【聖十字】に阻まれ、ケントさんを焼き殺すに至らなかったようです。
ケントさんが地面に転がり落ちると、鞘からスイさんがこぼれ落ち、スイさんの水がケントさんの傷を少しだけ癒やしたようでした。
『貴様、なにをしている』
『あのままでは、ケントさんが死んでしまいます!』
『たとえそれでも、それはしてはならないことだとわからなかったのか!』
『わかっています。しかし……』
ドラゴンがスイさんを叱りつけます。どうやら、お二人はお知り合いのようでした。
しかし、今はそんなことを気にしている場合ではありません。一刻も早くこの場を離脱しなければならないのです。
「キリエさん! ドラゴンを怯ませることはできますか!?」
「まかせてくださいまし!」
キリエさんは既に【モード:レーヴァテイン】になったレーヴァテインを構えていました。
「3,2,1、今です!」
「【レーヴァテイン】!」
キリエさんが5つの魔導石に触れ、引き金を引くと、レーヴァテインから5色の銃弾が円形になったような銃弾が発射され、ドラゴンの頭に命中しました。そのすさまじい威力に、さすがのドラゴンもよろけます。今度は私の番です。キリエさんが作ってくれた千載一遇の機会。無駄にはしません。
「我らが神よ。我らをこの地より旅立たせたまえ。【光の波】!」
私が唱えると、私達の目の前から光が溢れだし、私達を火山の外まで押し出してくれました。
「なんとかなりましたわね……」
「そうですね……」
ほっと一息つこうとすると、ホワイトが叫びました。
『ケント! ケントのことわすれてない!?』
私ははっとしてケントさんを探します。ちゃんと私達と一緒に火山の外に倒れていました。私は駆け寄り、すぐに神聖魔法で回復させます。
「我らが神よ。我が願いを聞き届け給え、この者の傷を癒やし給え、救い給え、導き給え、助け給え……【偉大なる神の祝福】!」
ケントさんは光に包まれ、みるみるうちに傷が塞がっていきました。
「これで……なんとか……」
私も生きも絶え絶えになってしまいましたが、ケントさんは助けられました。
「よかった―――」
私はそこで意識を手放しました。




