火山へ
俺達はクスリ屋を出たあと、クスリ屋で教えてもらった防火マントも購入し、村を出た。防火マントは燃えにくいだけではなく、軽い魔法がかけられており、少しの攻撃ならダメージを和らげてくれるらしい。一つ不満を言うとしたら、見た目がボロきれにしか見えないことだな。
「何はともあれ、これで準備はバッチリですわね」
「そうだね。でも、道案内があったほうが良くない?」
俺達が村の門前で振り返ると、無邪気な笑顔を携えたフランがいた。
「フランさんがやってくれるというのですか?」
「いぐざっくとりぃー!」
フランは親指を立て、グッと拳を突き出した。
「それは助かるな」
「でしょでしょ? だから、私も一緒に行くよ」
「なんだか嫌な予感がしてきましたわ……」
キリエだけ消極的だったが、俺達はフランに案内を頼むことにした。こうして、いざ火山へ向かうことになった。
「嫌な予感がしましたのよーーーー!!!」
キリエが上空で叫んでいる。キリエは脇をプランに抱えられ、俺の頭上をフランと共に飛んでいる。俺はマリアを抱えながら走っていた。
数分前、ブランが暇だと言い出したので、かけっこ勝負でもしようと俺が提案すると、フランが快諾。俺はマリアを抱え、フランはキリエを抱えながら、火山に向かって競争することになったのだった。
フランは風のツバサを背中から生やし、高速で空を飛んでいた。あれも魔法の一種なのだろうか。やはり、人族よりも魔法に精通しているようで、これまで出会ってきた人たちでは考えられないほどの高威力の魔法だった。
俺はというと、フランに対抗するために精霊魔法で地面を蹴る時に風を足の裏から噴出させ、速度を出していた。
「フラン、結構速いな!」
「ケントも、私に付いてこられる人族がいるとは思わなかったよ! でも、これでも付いてこれるかな?」
「え、ちょっと待ってくださいまし? これ以上はや―――」
キリエの声は、さらに加速したフランが纏う風によってかき消された。
「よし、じゃあ俺もスピード上げるか。しっかり捕まっててくれよ」
「はい!」
マリアが俺の首に手を回し、しっかりとしがみつく。俺は精霊魔法を使い、足元で爆発を起こした。地面を蹴る度に爆発を起こしその爆風で俺のスピードは飛躍的に上昇した。走っているというよりかは飛んでいる感覚に近い。
先に行っていたフランにだんだんと追いついてきた。もう少しで追いつくといったところで、急にフランが減速した。何事かと思って、俺も爆発を止め、減速しに務める。だが、少し遅かったらしい。目の前には目的地である火山があった。
「止まってくれーーー!」
俺は足と精霊魔法で前方から突風を吹かせて、減速しようとしたが、間に合わない。
「我らが神よ、我らを守り、その大いなる心で受け止め給え。【羽の壁】」
もうだめだと思ったその時、突如目の前が白一面に染まった。衝撃は無かった。俺はふわふわとしたものに包まれ、止まっていた。マリアも腕の中にいた。どうやら、マリアが神聖魔法でどうにかしてくれたようだ。
「ごめんマリア、大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですよ。今回ばかりは私の神様に感謝してくださいね」
「そうだな。ありがとう」
そうだな、週に一度くらいは神に祈りを捧げようかな。




