クスリ屋
「アミラー! チユポ10個持ってきてー!」
「はーい!」
奥の部屋から可憐な少女の声が聞こえてきた。どうやら、ここは2人で回しているようだ。
「ちょっとまっててね。すぐにアミラが10個持ってくるからね」
しばらく待っていると、奥の部屋から上の開いた薄い木箱に水色のポーションの入った瓶を10個乗せて運んできてくれた。運んできてくれた人物の見た目に、少し驚いた。首から上は鱗のびっしりある、蛇だったのだ。首から下は人間だ。
「蛇竜族を見るのは初めて? って人族だから当たり前か。私達蛇竜族は、生まれながらに体のどこかが蛇に似た状態で生まれるのよ。ちなみに脱皮もするよ。それで、私は舌、アミラは頭ってわけ」
「お待たせしました。治癒ポーション10個です」
カウンターの上に木箱がどかっと置かれる。音からして、結構な重みがあるようだ。勢い良く置いたので、反動でポーションのビンが跳ね、軽く触れ合って綺麗なガラスのぶつかる音が鳴った。
「ありがとう」
俺はポーチから一番大きな金貨を取り出した。それを見たマリアが慌てて駆け寄って、金貨を奪い取った。
「なにするんだよ」
俺がマリアの方を見てみると、ものすごい剣幕だった。
「ケントさん! これは王家が特別な功績を残した人に送る、王家特性の金貨なんです! 言わば勲章です! それをおいそれとポーションなんかの代金にしてはいけません!」
「ご、ごめん……」
マリアの勢いに圧され、俺は謝ることしかできなかった。
俺は、改めてポーチを漁り、さっきの金貨よりも2周りほど小さな金貨を取り出した。と思ったら、それは白い硬貨だった。手触りは金属。金よりも少し軽い気がする。すると、それを見た店員の顔色が豹変した。
「そ、それは白金貨!? そんなの本でしか見たことないわよ!?」
「そんなに珍しいものなの?」
「まあ、価値的には10万バンくらいですかね」
目がギラギラして、大興奮の店員と対象的に、涼しい顔でマリアは言った。
「なんでそんな涼しい顔をしていられますの……?」
キリエからもつっこまれる始末だ。
しかし、お金はあったら嬉しいが、無くても困らないものなのだ。
「そこまで大事なものじゃないから?」
「キリエさん。ケントさんは王家の金貨を渡そうとする人ですよ?」
「そういえばそうでしたわ……愚問を投げかけた私を許してくださいまし……」
なんだか馬鹿にされている気がするのは気のせいだろうか。
「お客さん、もしかしてそれで払うつもり?」
「嫌ならもうちょっと小さいのもあるとおもうけど」
店員は長い舌を頭の上まで伸ばしながら考えているようだった。しばらくして、答えが出たのか、舌を引っ込めて口を開いた。
「わかった。それで大丈夫よ。お釣りを持ってくるわね」
そう言ってアミラと共に店の奥に消えていった店員は、しばらくして、白金貨と同じ大きさの金貨を5枚持ってきた。その間にポーションはポーチにしまっておいた。
「お待ちどおさま」
「ありがとう」
「ほんとにありがとうございました。今後もご贔屓にー!」




