表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
器の勇者  作者: Naito
1/2

1.始まり

初投稿です

拙い文章ですが何卒ご容赦ください







「こんにちは!勇者さま!!」




勇者 エウル-ボンプティは運命と出会った









俺の名前はエウル。エウル-ボンプティだ。呆れ返るほど平和な村ボンプティに住んでいる今年でだいたい17くらいになる事情が複雑なだけのただの村人...だった者だ。

今の俺に両親はおらず、当時6くらいだった俺が門の側に蹲っていたところを拾われたらしい。くらいと曖昧なのは外見からの推測しか年を知る方法がなかったからだ。俺はこの村に来る前の記憶がすっぽりと抜け落ちている。この村に来てからの事なら詳細に思い出せる程記憶力に自信があるのだけれども、まるでなかったかの様に覚えていない。両親が誰かは分からない。しかし、強いて言わずとも俺の親はこの村だ。子供がほとんど居ないという事情もあったが、明らかに訳ありの俺を受け入れてくれた。それだけでなく、身元も事情も怪しい俺に愛を持って育ててくれたのだ。

だから俺のファミリーネームはボンプティとした。村の人達も賛同してくれたとっても誇らしい良い名前だ。


他所から見たボンプティはある程度の家、数人の大工や木こりなどの職業持ちと、やたらと強力な神聖結界に、定期的に来る商人、たった1人の門番しかいないつまらない村だが、村の人たちはいい人ばかりな素敵な村だと俺は思う。


普段の仕事は村の家を回って家事や仕事の手伝いをしていたりするんだが......たった1人の門番に村の安全を任せていると思うと少し不安に思う。俺がその門番で、先週辺りに歳が来て仕事を辞めた隣の家のじいさんの代わりにやってたんだが...



「えぇっと...なんだって?」


「会いたかったです!勇者さま!」



今の時間は昼飯時、丁度腹が空いて来たもんでそろそろ飯かと思っていたが、なんだろうかこの変なちんちくりんは。見たところ連れもいない、馬車で来た訳でもないのに素人目で見ても分かる程旅に向いていないその服装、しかも土や砂で汚れた様子でもない。

修道服に似合わないその体に対して大きすぎるバックパックは、彼女の華奢な低い身長と合わせて、酷く奇妙さを覚える。首元で紅く光っているペンダントは、貴族や王族が持ってそうな程装飾や素材に凝っている様に見える。彼女は組み合わせを間違えてしまったのだろうか?


それに「会いたかったです!勇者さま!」だって?勇者なんて単語を聞いたのは村に来た商人の連れの子供と一緒に魔王討伐ごっこをしたとき以来だ。

魔王討伐や勇者の話はありふれた昔話で、詳細は違えど8~9つぐらいの話を聞くことができる。話の大筋は、日常的な生活を送っていた人物が聖女の導きで聖剣を手に入れて魔王討伐に挑む。その結末は子供向けにアレンジされたものを除けば全て残酷に終わる。其の事を彼女は知らないのだろうか?


彼女はその銀に光って見える長い白髪を揺らし、黒い瞳を輝かせながらこちらへ向かってきている。


ともかくわざわざこの何にもないこの村に来たからには、相応の理由または目的があるはず。あまりにも意味がわからない用事なら不審者として追い返すしかないが...



「あんた、一体どんな用でこの村に来たんだ?この辺にはあんたらにとっての聖地なんてないぞ。」


「勇者さまに会いにやってきました!魔王討伐に行きましょう!さあ!さあ!」


「ちょっと待て。俺は勇者じゃないし、魔王討伐ごっこに参加した覚えはないぞ」


「あなたはエウルさまですよね!なら間違いなんかじゃありませんよ!勇者さま!だって神様から貰ったんです!相対的未来観測っていうんですけど、未来で私はあなたをエウルって!呼んでたんですよ!」



まるで意味がわからない。あまりに強い勢いとおかしな話で俺を混乱させようとしているんじゃないか?わからない事だらけだ。

彼女は何故俺の名前を知っているのだろうか?ボンプティの外じゃ知り合いの商人でも覚えてないだろうに。

なら彼女の言う通り、その相対的未来観測で本当に観たのか?あり得ない。そんな有用な物なら、国やら其れこそ教会が囲いこむんじゃないか?野放しにする理由が分からない。

さらに神様までもが出て来るときた。まさか本当に魔王討伐をしに行くとでも言うのか?



「そもそもあんた「私の名前はファイス-リクサといいます!」ならリクサ、仮に俺が勇者だったとして倒す魔王なんているのか?」


「います、この村の神聖結界が強すぎるので魔物よけになっているようですが、他の村や街は神聖結界の外に出て辺りを見渡せば2~5体はいました。それくらいには魔王の力が魔物のどもに影響しているようです」


「それも未来予知か?」


「はい」



彼女-いや。リクサの真剣な表情は初めて見たが、これでおままごとなら、大した役者だろう。もしくは、天才詐欺師か。

ともかく込み入った事情があるらしい。わからない事が余りにも多すぎて、長い話になりそうだ。怪しくはあるが悪意がありそうには思えない。



「村に来たやつを理由も無しに追い出す訳にはいかねからな。ずっと立ち話もなんだ、其の勇者辺りの話も聞いてやろう。とりあえず、入るか?」


「!!いいんですか!」


「その前に確認だが武器や危険物は持ってないよな?一応門番だからな流石に確認しない訳にはいかないから、一応バックパックを見せてくれないか?」



直後、リクサに緊張の表情が見える。こいつ...持っているな。

危険物を。魔王討伐の話から筋は通ってるかもしれないが、これは不味い。流石にこのままいれる事は出来ない。


「...あー...えっと、そのーああー...あはは」


「未来予知はしていなかったのか...」


「ずっとしてる訳じゃないですし..疲れますし。てっきり話の流れで入れてくれるかな~~と」


「あほか」



悪意や悪気は恐らくないのだろうが、こいつはどれだけ厄介な存在なんだろうか?なんだか話しているだけなのにどっと疲れたような気がする。頭が休みたがっているようだ。



「念のために聞くが刃物か?」


「う~ん」


「なら爆発物か?」


「いや〜」


「薬品とかだったりするのか?」


「え~っと~」


「まさか魔力結晶とか?なんてな(笑)流石にないな。一体何が入っているんだ?」


「...ん...」


「何だ?」


「.........んぶ」


「ん?」


「..................ぜんぶ」


「...」


「...」


「?......!!!!!、おい...嘘だろ!?」


「ほんと」


「嘘だと...頼むから...嘘だといってくれよ!!!!」


「ほんと」


「.........」


「.........」


「うわあああぁぁぁぁ!!!!!!」






エウルは叫んだ

あまりのどうしようもなさに限界がきてしまったのだ

だが正しい手順を踏んで最高の威力で使えば世界一の山が消し飛ぶものが、未精製でも辺り一帯が更地になるのだ

魔力結晶は未精製状態だと奇跡的に安定している

と表現されるほど不安定なのだ

魔力的な力が干渉しようものなら即大爆発してしまう

門番になる時に、先達は口酸っぱく皆こう言うのだ


魔力結晶はみつけるな


認めてしまえば軍が動くそんなモノ誰が喜んで報告できようか

誤報告は死罪なのだ

見て見ぬ振りが最良の選択だと

相手が自棄になったら二番目に死ぬのが自分なのだと


エウルはひとしきり叫んだ後、静かにバックパックを整理し始めた

その表情には決死の覚悟があった

まじで魔王許さんと        

完全に八つ当たりである











「やっぱり街が一つ吹っ飛ぶのってやっぱり危険物ですか?」


「当たり前だ!!」



やはりそんな気はしていたがリクサはおかしいやつだ。それはもう頭の辺りが。本当にもう、勘弁してくれ








運命はここから動き始める


彼もまさか彼女と一緒にいることがあれ程まで大変だとは

思いもしなかっただろう

でも これから長い付き合いだ 上手にやってくれたまえよ

私の勇者様

最後まで読んでくださり誠にありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の一人称視点から始まり、それがブレることがなかったこと。 最後の語り部の思考と、主人公の思考の書き方が分けられていたこと。 [気になる点] 文のまとまりごとに空行を作っていて読み易い…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ