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「…元に戻ってくれた今なら聞けるから今聞くわ。

シャイン、あなたローゼンベルクって知ってる?」


「んー、何それ。人?場所?」



(…え?)



知らない、はずがないと思っていた。

予想外の応えに呆気に取られてしまう。



「ちょっと待って、あなたが教えてくれたのよローゼンベルク、って…」



夢の中でエルヴィス…いや、シャインは確かにローゼンベルクと言ったのだ。

ただタイミング的に夢見の悪い思いをさせたくて出てきたわけではないと信じたい。




だがそれでも不思議そうに、身に覚えがないというようなような顔をする相手に、きっと本当に何も知らないんだと愕然としてしまう。



「んー…それ、多分僕じゃないね、初めて聞くし。

人の名前なのか場所なのかすら分からない。」



嘘はついていない。

きっと彼は本当に何も知らないのだ。

でも本人を目の前にして、さすがに夢の人物が誰なのかと思うだけで怖くなり勝手に口ばかりが動いてしまう。



「で、でも!夢で見たのよ…確かにあの時の夢に出てきたのはあなただったわ…

断片的にだけど、あなたが出てきたことは鮮明に覚えているの。

確かにローゼンベルクと、聞こえなかったけどそう言っていたわ。

ローゼンベルクは、わたしの家が管理している領なの…ただ、あなたがそう言っていたから…わたしは…」



動揺し興奮して止まらなく動く口を小さい手で塞がれる。

シャインは目の前の前でふわりと優しそうに笑うと、頬を撫でるように触れる。



「…大丈夫だよ。夢の中の僕は多分僕ではないんだろうけど、ジェシカが僕のことを強く思っている事はよく分かったから。大丈夫…何も心配いらないよ。」




そう言うと、わたしは苦しくなった呼吸を整えるために深呼吸をする。

けれども呼吸が思うよう上手くできず余計に苦しく上手く出来ずに意図せず涙が出てきた。



(息が…できない、苦しい…)




するとシャインが何かを感じ取ったのか、わたしの背中を優しく撫でながら何やら呪文を唱える。




「御霊…水霊睡蓮、木霊王樹、我が名の下へ擬い物を祓い流るる川のように混沌を水に梳かしたまえ…」



シャインが唱え終わると同時に、背中からじんわりと温かい、まるで何かに包まれているような感覚になる。

気付けば徐々に苦しかった呼吸が楽になっていく。




(息が、しやすい…)



シャインを見つめると、優しそうに頭を撫でてくれたかと思うと、真剣な眼差しでわたしに向き直る。




「…これで大丈夫だよ。



ただ…ジェシカ、よく聞いて。

多分これは闇魔法だと思うんだ。

しかも夢の断片的な一部分が鮮明なのだとしたら、魔力自体は弱いけど少し厄介かも…」



「闇、魔法?」



「…そ。

相手にまるで現実のような夢を見させて、自分の元へと誘い出すんだ。

というか、今のは闇魔法の副作用みたいなものなんだけど、呼吸が上手く出来なかったでしょ?

僕や他の誰かに夢のことを伝えた場合の罰みたいなものだね…」



どちらにしよタチが悪い、そう呟くシャインの表情は恐ろしく冷たい。



「僕の魔法で副作用はなくなったけども、実際に行ってみてもいいかもしれないね、そのローゼンベルクとやらに。」





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