ここどこだよ。
「・・・完了しました。」
「次、そっちのカプセルよこして。」
意識を失ってから、どれくらいの時間がたったのだろうか。
聞えてくる会話で、俺は目を覚ました。だが、その思考も靄がかかったような状態で眠気でまた途切れそうだ。今掛け算九九全部言えるかって言われたらちょっと無理かも。
「伊藤 博文、転生完了しました。」
「織田 信長と豊臣 秀吉、記憶削除、完了しました。」
なんか歴史の偉人の名前がめっちゃ聞こえてくるんだけど。社会の授業してるのか?いや、俺はまだ学校にもついてねーだろ。
だったらここどこ?
体が思うように動かないし、頭がまだ痛い。目を開けて確認するのも面倒だ。
俺は夢うつつの状態でどこからともなく聞こえてくる声に耳を澄ませた。
「酒呑童子、転生完了しました。」
ん?俺か?俺だよな?酒呑童子って俺しかいねーもん。
今の話の流れからして俺は『転生』ってやつをするのか?いや何それ聞いたことねーぞ。ちょっとそこの人よ、説明プリーズ!!
「ねえねえ、この人前世のまま転生したことになってるよ。やばくね?」
「別に一人ぐらい変わんね変わんね。」
おいおいおいおいちょっと待てい。説明どころかろくでもねーこと聞こえてきたぞ!?
さすがにマニュアル業務でもそこはきちんとやろうよ!ほんと何ココ!?
「いや、もう一人いるんだけどさ。」
だめだこれ。こいつら仕事適当にやってるな。普通だったら訴えられてるとこだぞ。
あ、それよりもなんかメチャクチャ眠くなってきた・・・。
俺は再び意識を手放した。
「あー、いててて・・・。」
頭に走る痛みで俺は目を覚ました。前回に比べて意識がはっきりしている気がする。どうやら本格的に覚醒したようだ。
あと、なんか背中が柔らかい。さっきまでは氷のように冷たかったのに。
俺は頭をさすりながら体を起こした。
「は?ここどこだよ。」
目の前には草原が広がっている。
草原・・・草・・・あ?
・・・ちょっと待て。俺は京都の交差点の道路のわきでぶっ倒れたはず。どっかの草原に瞬間移動した覚えはない。
あ、そうだ!夢だ。これは夢なんだ!!
そうだと決まればもう一度寝てしまおう。
俺は固く目を閉じ、無理やり意識を殺した。
「いや全然景色変わってないんですけど!?」
二十分ほど眠っただろうか。体を起こしてみるが、そこはどう見ても先ほどの景色だ。
目の前には草原!果てしない緑!空には太陽!青い空!
・・・ん?太陽・・・・・?
違和感を感じ、俺はもう一度空を見上げる。
「おいおいおいおい・・・。なんなんだよ・・・。」
無意識に声がこぼれ出れた。
そこには、二つ寄り添うように浮かんだ太陽。さらに、羽の生えた蛇のような生き物が空を飛んでいる。
確信した。
ここ日本じゃねー!!