1 wea in morning
タタタン♪タタタン♪タタタタタンっ♪
クシコス・ポストの曲が勢いよく流れてくる。近所のピアノ教室からだ。いつもはこの曲のffの音量で休日は起きる――――はずだった。
そしてこの後カノンを聞きながらのんびり朝食を食べる――――――はずだった。
なんで、こんなことをかいているのかって?それはその時間が今ではとても平和ではかないからだよ・・・。
朝6:30.きのう塾があったから、きょうはゆっくり遅くまで寝ているつもりだった。
それなのに・・。俺は朝悪魔に出くわした。
しかも、その悪魔は恐ろしいことに同じ血が流れているのである・・。
俺、浜崎一期の双子の姉、浜崎満波である。
その悪魔はまず、6:30にff×ffくらいの音量の目覚ましを隣の部屋からかけた。
耳をふさいで抵抗する俺。
だがさらにffが3条の音量で「起きろーおきろーおきろぉぉ!!」を連発。
それでも布団をかぶって防御したのだがー・・、
ひとつ、ミスをしていた。それは部屋の鍵をかけ忘れたことだ。みなさん戸締りにはお気をつけを・・。
奴はドアをあけつかつかと入ってきて、カーテンをあけまぶしい朝日を差し込ませてきた。
・・・気分は、朝日を浴びて灰になる吸血鬼・・。
あっけなく負けた俺は、いま6:30に起きたのだった・・・。
「で・・・?なに?」
怒りを示した声で聞く。
「何そんなことで怒ってるのよ。
あんまり怒るのは体によくないわよー。あんたは顔も頭も悪いんだから」
・・・・相変わらずの皮肉。これが双子の姉という悲しい性かな・・。
「これよ、これ。みて!この新聞の記事。ずっと今まで急に出演がなくなったと思ったからあんまり知ってる人いないかもしれないけど、地元で発表されたらしいからトップで出てるよ。」
『jokerの最後の挨拶』
これが始まりのあいさつだった。
Jokerというのは、だいぶ年老いたマジシャンである。
話のとうり、長い間活動がなくもう老人だから亡くなったとか行方不明になったとか言われていた。
それが、今になって引退宣言を、このあたりのとあるステージでした、とのことだ。
『最後のショー・・、それは、私に挑戦するものだけを招待しましょう。
私の、これからのトリックが見破れた方のみ、ご連絡を――』
そういって、jokerはお得意のトリックで消えた。
これが記事の内容である。
つまり、jokerは最後のショーでファンに自分のトリックが見破れるか挑戦する気のようだ。
とりあえず、コレくらいのトリックを見破れたものを挑戦者とし、誰が私を越せるか、諸君?とでも言いたいのだろう。
そこで、俺はきづいてしまった―――・・
なにをって・・?ナゼ満波が俺を起こしてこの記事を見せたか―だ。
「で、さ、一期、ものは相談なんだけど―― 。」
うう、嫌な予感・・・。
「私、トリック分かっちゃった!だからさ、家族では父さん忙しいし、1グループ6人までって言ってるし、せっかくだから・・・
部活のメンバーでいかない!?みんな好きでしょこういうの!!」
・・・予感、的中。
言ってなかったが、今は八月真っ盛り、半分を切った。
俺は悔しいが満波と違ってそんなにできはよろしくない。・・・悔しいが。
そんなわけで夏休みの宿題が終わっている事はない。
それを、夏休みの終わりがけに旅行だと・・!?
「嫌だ!断るー!!」
「あんたさぁー、成績はともかく、○点のテスト机の下に隠してるでしょ・・?母さんまだ知らないけどー・・、バラすよ?」
・・・・実力執行だ!!
「・・・・はい、いきます・・。」
蚊のなく声で従う俺・・・。ああ、悲しい・・。