Infinity・World
この世界に来たきっかけは、夏休みにさかのぼる。
次世代MMOゲーム「Infinity・worldⅡ」の起動実験の会場がたまたま、俺が通っている中学校……鈴ヶ森南中学校だったのだ。
対象者は、中学3年生とその担任で俺の中学校以外にも、9校選ばれていた。
まぁ最初は、喜んださ。
……世界初のフルダイブシステムを使ったゲームに参加出来るということだけで頭の中がエキサイトしたし、しかもスマホゲーム「Infinity・world」のデータを移して遊べるって聞いたから、フルダイブしてから、1時間ずっとソロでプレイしていたよ。
でもな、その後が問題だったんだ。
「最初の広場」に戻ったら、みんな泣いているんだよ。
ゲームで負けたくらいで泣くか ?と不穏な空気が流れていた。
その後、担任の杉田からとんでもないことを聞かせれた。
「このゲームにログアウトが無い。」
……だからどうしたの?
「ゲームクリアされるまでずっとここに、居なければいけない。」
……へー、そうなん?
「冗談じゃないんだぞ !」
……うるせー。
まぁクリア出来ないと現実に帰れないということを聞かされて、俺は、少し同様したけど、じゃあ死ねば、強制ログアウト出来るんじゃね ?
という疑問が出来たから、とりあえず現実世界で散々いじめてくれた。担任の杉田を試しに殺すことにした。
一応、レベルを確認したが、レベル1の雑魚だった。
俺は、5連続剣技を放つモーションを構えた。この技は、レベル1のHPなら即0にすることが可能な剣技である。
杉田は、俺から放たれる殺気を感じたのか慌ただしく逃げようとしたが、俺は、無感情に杉田に向かって剣技を放った。
「オメガ・ドライブ!!」
赤い光を放った剣は、光の速さで杉田を切り裂く。
もちろん杉田は、避けられないため全て食らってHPが0になり
ゲームオーバーというCPUの音と共に、ポリゴンのかけらとなり、消えていった。
見ていた周囲の奴らは、ただじっとこちらを無表情で見ていた。
……杉田が死んだ。
……ケイタが人を殺した。
……化け物が。
と周囲の声が聞こえるが別に気にもしていなかった。
ポリゴンのかけらが完全に消えたとき、チュートリアルのアナウンスが殺すとどうなるか説明を開始した。
……このゲームでは、死んだら元の世界に戻って来れる確率は
……0.0000001%です。
それでは、チュートリアルを終了致します。プレイヤーさん全員のご健闘を祈っております。
死んだら最後、つまりこのゲームは、とんでもないクソゲーということだ。
このゲームをクリアするには、最後のボスである。《アナザーサタン》を倒さなければ、いけない。
しかもそこまで、辿りつくには、100体のボスを倒さなければならない。
もちろんその事実を知っているのは、今のところ俺だけ……。
「ねぇ……ケイタ。」
俺の肩を叩いてきたのは俺のクラス、302の学級委員をやっている。寧々だった。
「ケイタは、このゲーム中でトップを誇る強さを持っているんでしょ ?
なら、さっさとこのゲームクリアしてきてよ!落ちこぼれの君がこの世界で役に立てるのは、そのくらいでしょ ?」
ここまで学級委員がクズだったのは、知らなかった。
寧々は、その親切な性格から誰からでも慕れており、良い人だと、心の中からずっと思っていた。
まさかこれが、本心だったとはな……。
ここで殺すことも考えたが 、とりあえず答えを返すことにした。
「俺は、このクラス……いや、学年全員を1度に殺すことが出来る。お前も殺されたくなければ、これ以上俺に気安く話しかけるな。」
周囲がざわざわとうるさくなったのでとりあえず、このゲームは、ステージを上がっていく仕組みになっているので、25ステージには、俺が買ったログハウスがあるので、とりあえず25ステージまで攻略することにした。
「俺は、25ステージまで今日、攻略してくる。しかしそれ以降は、攻略などしない。それはこの世界が心地が良いからだ。それに、この世界は、自分でクリアしなければ、上のステージに上がることは、出来ない。せいぜい頑張るんだな。」
このゲームでは、自身がクリアしなければ、他人がクリアしても前に進めないシステムになっていた。
俺は、転移石を使い《ステージ1ファーストオーダー 》に移動した。それからは、語らなくてもいいかな。
基本的に俺のレベル以下のボスなため基本的に一撃で倒すことが出来た。25ステージ以降からは、一撃は不可能だが、多分ステージ70くらいまでならソロでも行くことができるが、他のプレイヤーを待つことにした。
それに、この世界の硬貨である《ネオ 》は、50万ネオ持っているし、食べものも寝る場所も全てログハウスにあるため、何ら不自由も無く、1ヶ月過ぎようとしていた。
他の学校の生徒が作っている新聞によると、まだステージ5で立ち止まっているらしい。そして死者は、300人増え、残り1100人になった。
初日の後、どうなったかというとクラスでギルドを作り、鈴ヶ森南中学校のギルドである301団が最前線にいる。
ただ、俺は、その最前線より遥か彼方の世界で快適な生活を営んでいた。
「おっと湯が沸いたな。コーヒーでも入れるか……。」
この生活を気に入っている自分が何だか不思議でもあった。