救われなかった世界1-1
この世界に、自分の居場所が欲しかった。
自分は、この世界で生きていて良いここに居ても良いと信じたかった。
今、この瞬間も止まることが無い涙を流しながら、信じている。
でも現実は、信じていても何も変わらない行動しなければ何も生まれないし、運命も分岐しない。それは、紛れもない事実であった。
俺は、その事実を受け止めたくなかった。
この身が引き裂かれても認めたくなかった……。
俺を苦しめるこの事実を素直に、認めれば楽になれるのに、涙がそれを阻む。馬鹿馬鹿しいのに、さらなる涙が視界を阻んでいった。
さっきまで降っていた雨もようやく収まり、とても静かになった。
いつもなら、隣にいつも一緒に居てくれた彼女が上機嫌になって優しい笑顔を見せてくれた。
……でもそんな彼女は、もういない。
彼女は、眠ってしまったからである。
だから彼女は、何も喋らないし表情も感情も無かった。
当然彼女は涙を流していなかった。
……でも涙を流してしまう。
彼女が泣いていないなら、流す涙は無いのに。
……心がものすごく痛かった。
何故こうなってしまったのだろうか。俺は、何のため生きてきたのか分からなくなってしまった。
なぁ……教えてくれよ俺は、どうすればいい ?
涙を流しながら、手を握ったまま彼女に、話しかけると、彼女が語りかけてきたような感覚に陥った。
……死んではいけない生きて。
もちろん彼女が目を覚ましたわけでは無い。でもそんな気がした。
俺は、彼女の手と悲しみの感情を花を手向けるように離し、剣を握る。
そして、一歩進むたびに忘れるんだ。
この果てのない空が広がる残酷な世界で君が僕の陽だまりだった。
頭を撫でるのが大好きだった。
俺の帰る場所だった。
この世界の生きる意味だったんだ。
これが最後で報われなくても良い……。
君に送る最後の花束。
俺は、君のことが……………………ずっと大好きだったかもしれない。
「……リボーンスラッシュ。」
竜騎士、最大の単発重攻撃技である《リボーンスラッシュ 》を彼女に向けて放つ。
眩く緑色に輝いた剣は、彼女を一刀両断し、彼女は微細なポリゴンのかけらとなり消えていく……。
俺は、剣を床に投げ捨てた。