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女教皇は元王女 共通①
――黒い花嫁衣装をまとった王女は涙を流した。
彼女の名はアディス、プルテノ国王の一人娘。
3年前に敵国敗戦により両親を殺され、まだ若いアディスに代わり公爵である叔父が国を納めていた。
そして何事もなくアディスが20の誕生日を迎え、即位する日を待っていると、つい一月ほど前に叔父の妻が国の私財を横領していたことが判明した。
王城内は王女派と公爵派に分かれ荒れていた最中、敵国カネモーケンゾがプルテノを侵略。
武力を誇った王国は内部での対立から敗戦し、肉国の王アブラ・ギッテン・デブ王に嫁ぐことになった。
「ないわ、無理」
散々泣いた後、アディスは婚約指輪を投げ捨てる。
辛気臭い花嫁のドレスを脱ぎ、礼拝服を見にまとう。
窓から飛び降り、城を後にした。