神獣の娘
よろしくお願いします
みんなが俺に呼ばれて裏庭に集まってくる
「アレウス、ちょっと面白いことするって言ってたけど何するつもりなの?」
「面白いこと!なになに!」
「何するんです?」
アンとレアがカトレアの言葉に反応して元気よく俺に聞いてくる
まだ俺が何をするかはみんなに教えていない
ちょっと秘密にして驚かそうと思っているからだ
(さっきまで忘れていたのによくもさサプライズしようと思いますね)
なんか聞こえるが、聞こえなことにしておこう
うん、何も聞かなかった。
「ま、見てればわかるから。ちょっと下がっていてくれ」
俺がそう言うとみんな俺から少し距離をとる
俺としても「眷属契約」を発動して何が起こるかわからないので一応みんなの安全は確保しておきたい
「さて...やってみるかな...」
とは言ったもののどうやってやればいいんだろうか。
俺はとりあえず「眷属契約」と念じてみた
「お......!」
俺が念じると俺の目の前に水色の魔法陣が生まれる
そして魔法陣から激しい輝きが流れ出る
そしてそいつが現れる
俺は魔法陣からあふれる光の影から何がいるかを判断する
「...あれは狼か...?」
見えてくるシルエットから俺はそこにいるのが一匹の狼であることがわかる
そして魔法陣からの光が収まり、そいつの全容が見えてくる
そこにたつのはシベリアンハスキーくらいの大きさの銀色の毛並みを持った狼
輝く銀の毛並みは少し青みがかっていている
「ワンちゃん?」
「アンです?」
おい、アンよ、あれがワンちゃんに見えるのかい?
それにレアよ、いくらアンが犬獣人だからといってそれはどちらにも失礼だぞ?
『貴様が我を呼んだのか?』
不意にどこからか女性の声が聞こえてくる
そしてその声の主はきっと目の前の狼であろう
「そうだな、俺の目の前にいる狼がその私ならお前を呼んだのは俺だ」
『我をただの狼と一緒にするな、我は神獣の一角であるフェンリルの娘だ』
ふむ、フェンリルか...確かに北欧の神話に出てくる神をも穿つ牙を持った狼のことだったっけ?
(その認識でだいたいあってますよ。あの狼が言っていることは事実でしょう。あれからは神獣と同じ雰囲気がありますね)
ふむ、どうやらエリーナは神獣とやらを知ってるのか、まぁ後で聞いてみようかな
「あぁそれは済まなかった。それでフェンリルの娘さんや、俺と契約してくれないか?」
俺はとりあえず目の前の狼に契約を申し出ることにする
正直穏便に済ませることが出来ない気しかしないがここは穏便に済ませよう
『ふんっ...!ただの人間が我と契約だとう...?』
はぁ...これはどうみても穏便に済ませられる感じじゃないよな...
俺可愛いペットをお願いしたはずなんだけどなぁ...
(わ、私のせいじゃありませんよ!アレウスさんがあの狼を引き当てたんですよ!)
そうだね、でもあの狼を引き当てた運は君のせいでカンストになってるんだけどね?
「あぁよかったら契約をしてくれないか?」
俺はとりあえず可能な限り穏便で済ませようとするために答える
『それならば我を屈服させてみろ!』
グルルと唸りながら狼がそう言う、あれ絶対犬と一緒にされて怒ってるよね?
そしてあたりの空気が一気に冷めていく
これはまずい......!!
俺は「察知」スキルでいち早く危険を感知して後ろで控えているミラたちまとめて「ワープ」でその場から退避する
「すごいわね、これは...!」
カトレアが目の前に光景を見て声を上げている
確かにこれはすごい
俺たちがもともといた場所には最小のような氷の剣山が出来上がっていた
「これは面白い...!!ミラ、イージスを展開させておけ」
「わかりました」
俺は安全確保のためにミラにイージスを発動させる
ミラは俺の言葉に従い無数の盾を浮遊させる
これでミラたちには被害が及ばないだろう
「さて、屋敷に被害が及ばないように気をつけないとな」
屋敷に被害があったら溜まったもんじゃない、せっかく立てた我が家だ。こんな所で傷つけたくない
『ふんっ!避けたか人間よ』
狼さんが俺の方を向いてそう言う
表情は詳しくわからないけど、あれは余裕だって表情だろう
まぁ今は魔力を抑えているし、基本的には一般人と雰囲気は同じだから仕方ないだろう
「悪いけど、あまり屋敷の方へ向けて攻撃するのはやめてくれないか?」
『そんなのは我が気にすることではない』
なんと傲慢な狼さんであろうか。
ちょっとお兄さんもカチンときちゃいましたね、本気出しちゃうよ?
目を閉じて俺は何もなしに魔力の抑えをきり、全力で魔力を放出していく
少し空気が震えいてるのを肌で感じる
ミラたちはイージスがあるから影響はないだろう
「屋敷に当たらないうちのさっさと終わらせ............あれ?」
俺がしゃべりながら目を閉じると目の前の狼が腹を俺の方に向けて寝転がっていて
え、なにこれ?
(これはいわゆる服従のポーズ何じゃないでしょうか?)
え?なに、何もしないで服従しちゃったの?
俺が後ろを振り向くと、肩をすくめるカトレア、苦笑するカグヤ、そして「流石です」と言わんばかりの頷いているミラがいた
アンとレアは何が起こったのかわからないのかポカンとしている
うん、これまた今回もやっちゃったかな
ちょっと調子にのりすぎてシリアス展開を壊してしまったようだ
「あ、あの狼さん?」
『我は狼ではない、フェンリルの娘だ、主殿よ』
「それはすまない。それより主殿、それって俺のことか?」
『あぁ我は主殿の眷属として使えることにする』
えっと...なに、これは認められちゃった感じかな?まだ何もしてないんだけど...
「理由を聞いてもいいか?」
『あぁ主殿の魔力を感じてすぐにわかった。我では主殿には敵わない、そしてそんな主殿に仕えようときめた』
あー、んー...久しぶりに魔力全開にしてみたらそれだけで認められちゃったと
まぁ穏便に済ませたのはいいんだけどさ、何この生殺しみたいな感じ
(アレウス、とっても残念な人ですね)
くっ...!言い返せないのが辛いところだよ
『それで主殿よ、よかったら我の名前を決めてくれないか?主となったものがつけるのが契約の方法なんだ』
名前か...これまでフェイトやイージスみたいな名前を付けてきたから名付けの経験はあるんだけど、今回は命あるものだし、一応女性だ。それなりにいい名前をつけてあげないとな...
そう言って俺の目の前で腹を見せている狼を見る。とりあえずプライドとかないだろうかとは思ってしまうけど、そんなことはどうでもいい
彼女の特徴はなんといっても、彼女の銀の毛並みだろう
銀......シルバー......シル...。
「「シル」って言うのはどうだろうか...?」
我ながら安直の発想だが、悪い名前とは思わない。結構可愛らしい名前だと思う
『あぁ我の名前は「シル」だ。気に入ったぞ主殿よ。我、フェンリルの娘、「シル」は一生、主殿に仕えることを誓う。」
シルがそう言うと俺の手の甲、そしてシルの肩口から小さな同じ魔法陣が生まれて、すぐに消える
「これで契約完了ってことか?」
『あぁそうだ、よろしく主殿よ。』
そう言ってシルは俺たちの仲間になった
俺に腹を見せながらしっぽをフリフリしている状態で。
お読みいただきありがとうございます
前回も言ったように更新ペースがこれから遅くなります、よろしくお願いします。
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