アレウス憂え
よろしくお願いしますぞ
「はぁ...」
「なに、まだため息ついてるのよ、今日もうアピエダに帰る日なのよ!」
カトレアが俺の背中を叩きながら言う
授賞式の次の日、俺たちは王都での用事が済んだのでアピエダに帰ることにしていた
今は遊郭にカグヤ、アン、レアを迎えに行くところだった
「ご主人様、しっかりしてください。昨日のことは忘れましょう」
そういってミラも俺のことを励ましてくれる
ちなみに昨日のこととは二つ名のことだけじゃない
昨日はあの後祭りの最終日として王城で再び晩餐会があったのだ
俺は遊郭に向かいながら晩餐会の出来事を思い出す
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「アレウス侯爵、今後ともよろしくお願いしますぞ」
「えぇマルセロ男爵、まだまだ若輩者ですがイリヤ王国の一貴族としての国のために励みます」
俺はマルセロ男爵と挨拶して、その場を離れる
今ので何人目の挨拶だったろうか
前回の晩餐会とは違い、俺は英雄という新たな称号がついたため、前回より挨拶に来る貴族が多い
特にあるのは「うちの娘は年頃で~」なんていう、俺に取り入ろうとする人が多くて適当に言質を取られないようにはぐらかすのが大変だ
ちなみに今回はミラとカトレアも俺の後ろについて来てもらっている
前回のようなことにはなりたくないしね
それに二人がいることで俺に話しかけてる女性は少ない
「はぁ...貴族ってのはやっぱ大変だな」
俺は今さらなんで侯爵になったんだろうと考えていた
(ほんとに今更感ありますよね)
いや、だって晩餐会なんて想定してなかったし
「アレウス!」
「ダレル公爵、ご無沙汰しております」
俺たちが少し3人で話しているとダレル公爵が俺に話しかけてくる
ダレル公爵は今日は1人の女性を連れてきている
「公爵、横の女性はどちら様ですか?」
「おぉ、私の妻のヘンリエッタだ、ヘンリエッタ、この男が私が言っていたアレウス侯爵だ」
なんとダレル公爵の奥さんだったのか、美人な人だな
「これは失礼しました、私はアーレンハルト侯爵家アレウス・アーレンハルトと申します」
俺は姿勢を正して挨拶をする
「あら、これはご丁寧に。私はダレル・マグネスの妻ヘンリエッタ・マグネスと申します。あなたのことは夫からたくさん聞いてるわ」
ダレル公爵は俺のことをなんて話してるんだ?
「アレウス、わしのことをそんな見ないでも悪い話はしておらんぞ」
おっと、無意識にダレル公爵を睨んでしまっていた
「そうよ、夫は家じゃあなたのことを自慢に話してるわよ。いい家臣を持ったってね」
なかなかダレル公爵に気に入られてるみたいだな
「そうでございましたか、それは失礼しました」
「なに、お前の名誉をわしの名誉ともなるからのアレウスを侯爵に取り立ててワシは誇らしいぞ」
「ふふふ、その話はいつも聞いておりますから。それより後ろの2人がミラノバさんとカトレアさんかしら?」
ヘンリエッタ夫人が俺の後ろのミラとカトレアを見てそう言う
そういえば紹介してなかったな
「えぇ、そうでございますが...」
「あなたがミラノバさんとカトレアさんね!ふたりとは夫から聞いていて色々と話したいと思ってたのよ、ささ、ちょっとおしゃべりしましょ」
そう言ってヘンリエッタ夫人が2人を連れてどっか行ってしまう
「すまんな、アレウス。ワシと妻には子供がいなくてな、お前達のことを話したら2人を娘のように接したいと言っておってな」
「そうでございましたか、私の方は全然構いませんよ」
なんとダレル公爵には跡取りがいなかったのか
まぁ2人が夫人に気に入られるなら悪いこともないだろうし
それでヘンリエッタ夫人が喜ぶなら、それもそれでいいことだ
「それでアレウスよ、お前がこの国を救ったと聞いた時は驚いたぞ」
そういって俺はダレル公爵と会話をはじめる
なんでもダレル公爵はその時は王都の別荘にいて、安全のために別荘から出られなかったとか
「お前を侯爵として取り立てたわしにも色々と王からの計らいがあってのそれもこれもアレウスのおかげだぞ」
「いえいえ、それならよかったです」
あまり褒められなれてないから適当な返しとなってしまうが、結構嬉しい
そしてしばらくまた公爵と会話をしていると
「おぉ!ダレル、それにアレウスもここにおったか」
カイゼルが俺たちのところにやってきてた
後ろにはクリスティーナたちもいた
「アレウスよ、楽しんでるか?」
「えぇ楽しませてもらってますよ」
「うむ、それならよかった、それよりいつアピエダに戻るんだ?」
そうか、カイゼルとかには明日帰ることは言ってなかったな
「明日には帰ろうと思っています」
「なに、そうなのか?ダレルお前は知っておったか?」
「えぇ私は知っていました、私もアレウスについて行ってアピエダの街に行こうと思ってます」
ダレル公爵には代官候補の紹介のために俺たちと一緒にアピエダまで来てもらうことになっている
形的には俺たちがダレル公爵と一緒に帰ることになるんだが
「そうか、そうか、それなら色々と準備しないとな......ワシはダレルと話があるからこれで失礼するぞ」
そういってカイゼルがダレルを連れて行ってしまう
「アレウス、我が国を助けてくれてありがとう。そして弟が迷惑をかけた」
カイゼルと変わってアレックスが俺たちに話しかける
「いえ、私は自分の出来ることをしたまでです。それにハロルド様のことは兄であるアレックス様の方が傷ついているはずです、私のことは気にしないでください」
自分の弟がクーデター起こすんだ、俺より思うことはあるだろう
「そうだな......それでも弟は生きているんだ、それだけも充分なものだ。ハロルドを見てやれなかった僕のせいでもある」
アレックスが少し自嘲気味な笑顔で俺に答える
いやー、アレックス王城で顔だけじゃなくて性格もイケメンなのね、この人がこの国を継ぐなら次代もいい国として働いてくれるだろう、まぁ真面目すぎるところが弱点な気もするけどさ
「それじゃあ僕はまだ挨拶回りがあるからね、それじゃあ」
そういってアレックスは行ってしまう
俺がクリスティーナとステファニアに話しかけようとすると
スタスタスタ
ステファニアもどっかに行ってしまう
「なぁ...俺嫌われるようなことしたか?」
俺はクリスティーナに聞くと
「いえ...からかってるだけなら私もしてますし、そういうことではないですよ」
こいつ今からかってること認めたな
うーん...それだったら個人的に後で話しかけに行かないとな
「っていうか、クリス、お前理由わかってるだろ?」
「ふふふ、それは自分で確認なさってください」
やっぱりわかってるのかよ
「それよりアレウス様、S級への昇格おめでとうございます。似合ってますよ?「悪鬼羅刹」」
「えぇありがとうございます。とても高貴なるお方クリスティーナ王女殿下に褒められるとは私も幸せでございます」
俺たちは2人でうふふ、あははと笑いあっている
周りから見たら楽しく談笑しているように見えるだろう
お互いから見たら性格の悪い笑顔にしか見えないが
「それよりアレウス様、明日去ってしまうとは急ですね」
笑顔をケロッと変えて普通に会話に戻す
「あぁ元々帰ることは決まってたからな急ってわけじゃないんだ」
俺も慣れたように普通に会話を返す
「そうですか、寂しくなりますね。また王都には来てくれますか?」
「あぁ王様からこのペンダントももらってしな、王城にもいつでも入られるから会えるだろ」
俺はポケットから王家の紋章が入ったペンダントを見せる
「ふふふ、それもそうですね」
クリスティーナが楽しそうに笑う
「それよりお前はいいのか兄が捕まったんだがな」
俺は一応確認してみることにした
「えぇあの人とは半分しか血がつながってませんし、関わりが全くありませんから。思うところがないといえば嘘になりますが」
クリスティーナは少し躊躇った感じで言う
「母親が違うってことか?」
「えぇ、私とアレックスお兄様は第一王妃の娘、ハロルドお兄様は第二王妃の息子、そしてステファニアお姉様が第三王妃の娘です」
なんと王妃様はそんなにいたのか
「王妃様には一人もあったことがないんだが...」
俺はそう言おうとして自分のミスに気づく
「そうですね...3人とももう亡くなってしまいましたからな...」
クリスティーナが俯いてそう話す
「その...すまないな...考えずに喋って」
「いえ、もう昔のことですし、それなりに割り切ってますから大丈夫ですよ」
クリスティーナがいつもの笑顔で言うが、その笑顔が少し寂しかった
クリスティーナは成人したと言ってもまだ15歳なんだ、まだまだ子供だと言っても過言じゃない
「それより、アレウス様はステファニアお姉様のところへ行ってください」
「ん、そうか?確かに話とかないといけないしな」
「はい、それでは私も挨拶の方に回ってきますので」
そういってクリスティーナは行ってしまう
「さて、ステファニア様はどこに行ったのやら」
俺はそんなことを口にしながらステファニアを探す
その間にミラとカトレアがいないのをいいことに何回か貴族の娘達に話しかけられるが適当なことを返してその場をあとにする
途中でミラとカトレアを見かけたがヘンリエッタ夫人を仲良くお話をしている
どうやら本当に可愛がってもらってるみたいだな
パーティーホールを色々と探すがなかなか見つからない
そしてしばらく探すこと
「いた」
俺はテラスで一人たたずむステファニアを見つけた
まさかあの後あんなことになるとは思ってもいなかった
お読みいただきありがとうございます
伏線とかいろいろ考えてたら第2章がなかなか終わりません...
今日はもう1話ほどあげたいと思ってます
ご意見、ご感想があったらどんドン言ってください!




