第二王女クリスティーナ
よろしくお願いします
「ちょっと早く出すぎたな...」
俺は今ミラとカトレアに屋敷に行くと嘘をついて王都の街を歩いている
時刻は午後4時ぐらい、あと1.2時間ほどで日も沈み始めるだろう
ダースのことを調べるつもりで出てきたんだが早かったみたいだな
まだ王都は観光客でごった返している
「ま、ちょっとは1人で観光してみるか」
俺はとりあえず観光客を避けるために裏道を通る
(うわー、誰もいませんね。確かにこんな所観光客は通りたくないでしょうね)
「あぁ華やかの王都も裏では、みたいな感じだな」
俺が歩いている路地は薄暗く、少し薄気味悪い、こんな所好き好んで通る人間はいないだろう
「ま、意外こういう感じのも嫌いじゃないんだけどな」
現実世界でも海外の通な裏路地とか結構好きなほうだった、逆にその街の姿を写してるみたいで面白い
俺が裏路地探検していると人の気配がする
「おいおい、金目のもんは全部置いてきなぁ!」
「怪我したくなかったら、言う事を聞くでやんすよ!」
「......!」
「ふむ、これはなんともテンプレな展開だな」
俺は曲がり角で身を隠しながら、臼を見守る
俺の目の前でチンピラ2人にフードを被った女性がおどされている
ちなみに女性とわかったたのは体つきから判断できた
(何をのんきなことを助けなくていいんですか)
おっと、あまりのテンプレに見入ってしまったがここは助けるべきだろう
「おい!何やってるんだ!」
「あぁん!なんだテメーは!」
「けけけ、正義のヒーロー気取りでやんすか?」
おー、見事なまでのテンプレチンピラだ
「おいおい、びびって声も出せてないぞ!」
「とんだ雑魚でやんすね!」
うーん...ここはどうやってこの場をおさめるべきか
なんか色々言われてる気がするがさっさと黙らせよう
「おい、やっちまうぞ!」
「はいでやんす!!」
チンピラ2人組が俺に襲いかかってくる
ちなみにチンピラのLvは二人とも12
まぁ一般人よりちょっとだけ強いくらいだ
「ほっ!」
俺は突っ込んでくるふたりを避けて
ストンッ
すれ違いざまに2人の首に手刀を打ち込む
バタッ、バタッ
チンピラは2人組はそのまま気絶して地面で眠る
「おぉ、ほんとにこれってできるんだな」
俺は手刀をひらひらさせながら、そんなことを言っていると
(アレウスさん、助けた女の子を忘れてますよ)
おっとそうだったな
「なぁ、大丈夫...か......?」
俺は発動させたまんまだった「鑑定」をフードの彼女にも使ってしまっていた
鑑定の結果は
クリスティーナ・アクロイド
種族 人族・女
年齢 15
職業 イリヤ王国第二王女
ーー
ーー
......
...まさかのお姫様だった
確かこの前カイゼル陛下と一緒に俺の話を聞いていたお姫様だ
これはどうしたものやら...
「あ、あの...ありがとうございます!」
お姫様がフードをとりお礼に挨拶をしてくる
「...!?」
フードから出た顔は俺と知ってるクリスティーナの顔ではなかった
彼女の髪の毛は確か金色だったはず
しかし目の前の少女の髪の色は茶色
顔のパーツもどことなくクリスティーナと似てるだけで彼女とは思えない
変装の魔道具でもしているのか...?そういう魔道具があってもおかしくないはずだ
「あの......どうかされましたか...?」
「あ、いや、何でもない。それより大丈夫か?」
ふむ、向こうはどうやら俺に気づいてるっぽいが自分のことはバレてないと思ってるのか
まぁ普通だったらバレないんだろうな
「えぇ何もされていません、ありがとうございました」
ぺこりと俺に礼をする
見た目だけで言ったら完全に町娘だな
「いや、無事ならいいんだ。女性が1人でこんな所を歩いてるのは危ない。今は祭りだが人混みを通った方がまだ安全だぞ?」
「え、えぇ...それはわかっているんですが」
クリスティーナがそこで口ごもる
これは多分勝手にお城を抜け出して来たパターンだな、クイッケン当たりだったら変装してても気づくだろう
「まぁいい、これからは気をつけろよ」
俺は面倒ごとになる前にその場を離れようとする
「あ、あの!ちょっと待ってください!」
俺が去る前に俺の裾を捕まれる
「あ、あの!もしよろしかったら私と一緒に来てくれませんか、あなたといれば多分無事なんで...」
「......」
(くすくす、さすがトラブルホイホイのアレウスさん)
くそ...今日こそは何もなしに過ごしてやろうと思ったのに...
しかし相手は王女だ、断るわけにはいかない
「わかった、日が暮れるまでは付き合ってやるよ」
「ありがとうございます!じゃあついてきてください!」
俺が答えやすぐに俺の手を引っ張り俺を連れていく
俺はされるがままにクリスティーナについていく
「到着です!」
「......ここは本屋か...?」
「はい!」
俺が連れてこられた建物は本がいっぱい並んでいる店だった
「じゃあ私自分の欲しいものが探してくるので、アレウスさんもいろいろ見ていってください!」
そういってクリスティーナが言ってしまう
「はぁ...俺まだ名前言ってないんだけどな」
あのお姫様本当に大丈夫なんだろか?と少し心配になりながらも俺は店を見てまわる
「ふむふむ、「魔法理論」に「魔法大全」...」
なんともまぁファンタジーな専門書だこと
色々気になる本もあるので俺は一つ一つ手を取りながら内容を見ていく
「これはなかなか使えそうだな...」
俺が手に取っている本は「猿でもわかる領地経営」という本だ
最初はどこの世界でもこんなのあるんだなと興味本位でとったのがなかなか内容が充実している
俺はそれをレジに持っていって購入する
ちなみに1冊3万ユニオン、まだ活字などの普及がされてないので本はなかなかの高級品だ
本を購入するし終おえた俺は店先で待っているとクリスティーナもやってくる
「すいません、待たせてしまったでしょうか?」
「いや、さっき書い終えた所だ」
なぜか、待ち合わせをしていたカップルのような受け答えになっている
「そうですか!なら次ですね!」
「え、まだあるの?」
俺は再びクリスティーナに色々なところを連れ回せる
出店のスイーツを食べたり、ちょっとした見世物を見たりなど、傍から見たら若い男女のデートであった
俺もいつの間にかクリスティーナとの会話を楽しんでいた
そろそろ日が沈み始めようかとする時
「アレウスさん、最後に私の取っておきの場所に行きましょう」
そういってまたクリスティーナは俺の手を引っ張り、とある高台に連れてくる
「ここが私のおすすめの場所です」
そういってクリスティーナは俺のある景色を見せてくれた
「これは...!すごいな...」
俺の目の前に広がるのは夕日で真っ赤に染まる王都の街並み
「ふふふ、すごいでしょう?」
感動している俺にクリスティーナが自慢そうに話してくる
「あぁすごいな」
俺はただその景色に釘付けにされていた
そしてしばらく立つと夕日もほぼ沈みかけあたりは少し静かになっていた
さて...そろそろ話さないとな...
「クリスティーナ様、そろそろ満足していただけましたか?」
「っ!!」
クリスティーナが突如自分の名前を呼ばれて驚いている
「......いつから知っていたんですか?」
「途中からですかね」
本当は最初から知っていたが途中からと誤魔化しておいた方がお互いのためだろう
「そうでしたか...」
そういってクリスティーナごつけていた腕輪を外す
そして俺が以前あった金髪のお姫様が現れる
「まさかアレウス様に助けられるとは思いませんでした」
「えぇ、私も気づいた時には驚きましたよ」
俺は口調を丁寧なものにして答える
しかしなんだかむず痒い
「ふふふ、さっきみたいな話し方でいいんですよ?私もそっちの方が嬉しいです」
クリスティーナがそういったので俺は口調を崩す
「あぁ助かるよ、なんかこっちの方がしっくりくるんだ」
「ふふふ、私もそっちの方が嬉しいですよ」
クリスティーナがいたずらな笑み浮かべて俺に答える
なんていうかお転婆な妹ができたみたいな感じだ
「それでなんで王城から抜け出して街なんか歩いてるんだ?」
俺はとりあえず理由を聞いてみる
「そうですね、暇だったからでしょうか?」
「暇だったからって...」
このお姫様行動力ありすぎでしよ
「ったく、それで危ない目にあってたんだ。俺があそこな居合わせなかったら大変なことになってたぞ」
「ふふふ、でもアレウス様が助けてくれましたよ?」
「はぁ...それは結果論だろ?」
「そうですね、ならこれからはアレウス様が私のお買い物に付き合ってくださいよ」
クリスティーナがそんなことを言っている
これは絶対に反省してないやつだな
「クリスティーナ、ちょっとこっち来い」
俺がそう言うとクリスティーナが俺に近づいてくる
「目を瞑れ」
「え?...ですが...」
「瞑れ」
俺が少し強めに言うとクリスティーナが目を瞑る
何故か唇を少し前に出している、なんだ鳥の真似か?
パチンッ!!
「あうっ!」
俺はクリスティーナの綺麗なおでこにデコピンをする
「クリスティーナ、反省しろよ?」
「う、う...姫にそんなことをするなんて不敬罪ですよ?」
「それでも俺はクリスティーナに反省してもらいたいんだよ」
別に不敬罪とか言われても別の国に移ればいいだけの話だしさ
「わかりました...反省します」
クリスティーナがおでこをさすりながらそう答える
「ならいいんだよ、ほら、王城まで送ってってやるよ」
「ふふふ、ありがとうございます」
俺はクリスティーナの手を取り、彼女を王城へ送っていった
お読みいただきありがとうございます