いわゆる修行編に入ったり入んなかったり
よろしくお願いします
みんながダイダル帝国で開催される大会に参加することが決まって数日後
「すみませんご主人様、しばらくお暇を頂きたいのですが」
ちょうどミラが二人きりになった時にそんなことを話してきた
「誠に勝手ながらしばらく休暇をもらい1人で鍛錬に励みたいと思っているのです...ご主人様の正妻になるためより一層ご主人様の隣にたてる女になりたいと望みます」
「修行に出たいってことか...なら、そうだな大会の日まで休みでいいぞ」
「ありが.........え、よろしいのですか?それだとご主人様のお世話や家事などは...」
「大丈夫だよ、心配するな。なんならミラがいない間は旅館でせいかつすればいいわけだしな」
「そうですか...なんだかわかっていたみたいな反応をなされてますが...?」
「まぁミラより先に既に修行に出てったやつがいるからな」
そう、数時間前にシルが「すまぬ主殿、我はしばらく旅に出る。主殿や皆としばらく共に時間を過ごせぬのは寂しいが、それもしょうがないことだ」
なんて言って荷物をまとめて俺の元にきた
まぁ一年半くらい会えなくなるのは寂しいけど、ダメと言うわけにはいかなかったから許可したよ
まぁそれでシルが去り際に「たぶんこのような申し出をするのは我だけではないだろう」と言ってくれたから、ミラが俺にお願いしてきても普通に対応できてるんだよね
そしてそのことをミラに話すと「なるほど」と納得してくれた
「まぁだから気にするな、無茶するなとは言わないが何かあったらすぐに連絡しろ」
「はい、承知しました。しかしご主人様は私たちが参加するのには否定的でしたが、一体どうなされたのですか?」
「ん?あぁまぁな、最初はめんどくさい事になると思ってたからな...まぁそれでもお前達が参加して全力をぶつかりあってるとこを想像したらな...」
「それをとても見てみたいと?」
「まぁそういうことだな」
ミラたち同士がやり合うなんてこと普通ないからな、もう今回は開き直ってそれを楽し毛じゃないかという気持ちになった
(まぁほんとに命の危険があったらアレウスさんが割って入ればいい話ですしねぇ)
そう、エリーナの言う通りだ
やばかったら俺が介入すればいい
まぁでもなるべくは介入しないで置いた方がミラたちのためだから、我慢はなるべくしたい
そしてミラと少し話して、ミラは部屋を出て修行へと向かっていった
宛があるのかと聞いたら、「もちろんでございます」と答えたので心配はないだろう
ある程度の無茶はしてもいいしな、壊れるほどの無茶はしてほしくないけど
しかし...
「はぁ...ついにミラもか...」
俺はミラが出ていったことをしっかり確認して机にうなだれる
(ついにミラさんも行っちゃいましたねぇ)
「何人かは、っておもってたけど、まさか全員行ってしまうとはな...」
さっきシルのことを話に出したが、実はミラとシルの間に既にカグヤもカトレアもしばらく修行に行きたいと言われたのだ
まあつまり───────
(アレウスさん、しばらくずっと一人ですねぇ)
…そういうことだ
正直、正直いいますとね?
何もない感じでみんなを送りだしんですがね?
「めちゃめちゃさびしい…」
(いやー、アレウスさんほんとに頑張りましたよ。よく我慢したと思います)
エリーナの言葉が普段では絶対ないのに心にしみる
それくらい実は寂しいのだ
(まぁまぁいいじゃないですか、アレウスさんにはまだステファニアさんやクリスティーナさんとかいるじゃないですか)
おまえな…今俺がそっちに行ったらミラたちの代わりにステフたちに会いに行くみたいじゃないか…
そりゃシンプルな気持ちで会いたいが、そういう気持ちで会いたいとかは絶対考えない
それにクリスも参加が決まってミストの超強化合宿がどっかで始まってるみたいだしな
それにステフにも一応話して「私も参加しますわ!」とか言ってたのを俺がどれだけ頑張って説得してやめさせたと思ってるんだよ…
(えー…だってあの光景ほかの人が見たらただカップルがイチャイチャしてるようにしか見えませんもん)
………まぁ確かにそれは否定しにくいところだな
ジャンヌもジャンヌで珍しく休暇をとったと聞いたが…たぶん長期休暇だろうな
「まぁ俺も丁度いい機会だし、自分を見つめ直してみようかな」
(え、いきなりどうしたんですか?)
「ん?あぁ、まぁシンプルに俺は魔王になっただろ?それで失ったり逆に手に入れた能力があるからな、それがどんな感じか確かめようと思うんだよ」
ということはアレウスさんも修行を?
「まぁそんなとこだ。もちろん仕事の合間だけどな、流石に俺がこの街を留守にするわけにはいかないからな」
だけどこの屋敷はしばらく留守にしないといけないか
家事をやってくれるミラもいなくなるわけだしな、ミラに話した通りしばらくは旅館暮らしだな
というわけで俺も少し荷物をまとめる、仕事道具はすべて仕事場に移したので問題は無いろだろう
必要があったら別に取りに戻ってくればいいしな
そしてミラを待ち、ミラと一緒に屋敷を出る
ミラがホコリなどの心配をしていたが、そこはカトレアが知らぬ間に自動掃除機を作っていたらしくミラに秘密で屋敷に設置してあるらしい
あとで連絡して遠隔で作動しといてもらうか、ミラにバレると「私の仕事をとった」と言ってすねる可能性がバレないようにしとこう
屋敷を出る時いつもと違った感じがして不思議な感覚におちいる
まぁ新しいことがまたはじまると考えればこの感覚も悪くないか
(またどうせトラブルだらけだと思いますけどねぇ)
……今回はそうじゃないことを本気で願うとするしかないか
そしてみんなが修行に出ていって数日後───────
「ここに1人で来るのも久しぶりだな」
俺は休日に1人で霊峰に来ていた
まぁ俺が新しい技を実験するのはだいたいここだ
ここって山吹き飛ばしても不思議なことに数時間後には元に戻るからな、ほんとに都合のいい場所だよ
シルあたりここに来てるんじゃないかと思ったがいなさそうだな
「さて...ぼちぼち試したいとこだが、魔王化の能力ってどんな感じだったかもう1回説明してもらえるか?」
(えーとっですね、アレウスさんの場合魔王化は自分のコントロール出来ない怒りを動力源に基本的に発動するもんなんですよ)
「それは知ってるんだが、そんなにブチギレることなんてそうそうないと思うが?」
(流石に理性を失うほど怒ることは少ないですが、アレウスさんが理性を失ったら大変なことになるので正直魔王化は最初はストッパーのために組み込んだプログラムなんですよ)
「それでそのプログラムがさらに進行して変化したってことか?」
(多分そうですね、アレウスさん個人に合わせて適応化されたと考えるのが一番かと。たぶん魔王化しなくても使える能力っていくつかあるんじゃないですか?)
「あぁたぶん今の状態でも使えそうなのも何個かある」
(一応七つの大罪をテーマに作っているのですが、七つの能力を手に入れてるんですか?)
「いや、手に入れた能力は4つしかない。たぶん...怠惰、暴食、色欲、憤怒の4つだな」
(じゃあ残る傲慢、強欲、嫉妬をテーマにした能力はなくなってるんですか?)
「あぁないな」
(ふーむ...たぶんその3つのテーマはアレウスさんとは合わなかったのかと...でも傲慢と強欲と嫉妬ってかなりアレウスさんと相性がいいような気がしますが...?)
それは余計なお世話だっての、ないものはないんだよ
「てか、この4つなら基本的に魔王化しなくても劣化版として使用できると思うぞ?」
(つまり限定的に発動可能ということですか?そういえば以前も使ってましたね)
「あぁどんな能力かはまったくわからんが、そこらへんは感覚的にわかる。一度使ってる能力もあるしな」
とりあえず試してみるのが一番か
まず現状すぐ使えるのはこれか───────
「たぶんこの能力は憤怒の簡易版だな」
俺は黒質化した自分の腕を見ながらそういう
(見た感じ部分魔王化みたいなものでしょうか?アレウスさんが魔王化した時もそんなかんじになってましたよ)
エリーナは「もっと禍々しかったですけど」と付け加える
俺は腕を握りしめたりしながら感覚を確かめる
まぁ簡単にいえば肉体強化みたいなところだが...
俺は手のひらに意識を向けると、そこに謎のエネルギー体がたまる
「なるほどな、魔力を高密度に練り上げてエネルギー体に変換できるのか」
(魔王になった時も、それを槍の形に変形させてバンバン投げてましたよ)
「なるほど槍か...」
俺はエリーナの言われた通りエネルギー体を槍の形に変化させる
とりあえず投げてみるか
ギュン...!!ドカーーーーーーン!!
「...............」
(...............)
俺もエリーナも目の前の光景に言葉をなくす
とりあえず向かいの山になげてみたいんだけど、山の上3分の1が全部消し飛んだな
調子乗って全力で投げすぎたな、あれはやばいわ
(......アレウスさん、その技はあまり使わないようにしときましょう...)
「まぁ軽はずみで使う技ではないわな...」
まぁ正直コントロールが難しくて槍の形にしか変形させれない時点で威力は割と察してたんだけどね
まぁ憤怒の能力はこんなもんか
「あと使ったことはあるのは...暴食か?でも現状使える能力ではないっぽいな」
(もしかしてあの疲労を抜き取るやつですか?)
「そうそう、あの時なんであの使い方を知ってたかわからんけど、使えたんだよね」
(疲労を抜き取るですか...相手の何かを喰らうって感じの能力なんですか?)
「いや、疲労限定だと思う」
(疲労だけですか...たぶん回復魔法の派生系じゃないですか?)
「あー...確かに言われてみればそんな感じもしなくはないな」
まぁただ喰らうという時点でわかると思うが、相手の疲労を自分には取り込むってことなんだよね
たぶんやりすぎると俺が倒れる
ただ暴食を名乗ってるくらいだから、容量は以前と比べてかなり増えてる感じはあるから、1日の数回だったら使えるだろう
まぁ問題があるとすれば自分の疲労はどうにもできないことか
それくらいなら別に気にすることもないだろう
「たぶん魔王化してもこの能力だけは特に強化されないな」
(暴食をテーマにしながら、割とちゃっちい能力ですね)
「まぁな、でもどうしようもない強力な能力手に入れても困るし、これくらい使い勝手がいい能力の方がありがたいよ」
やばい能力って強いけど、圧倒的に制御出来ないし身体に負担が強いからそんなにあっても困るのが本音だしな
まぁ暴食は割とシンプルで助かったな
「さてあと2つだが...」
(あ、アレウスさん私怠惰の能力ならどんな感じ知ってますよ。アレウスさんが魔王化してた時に使ってるの見ましたし)
「ほんとか?どんな感じだったか?」
(んー...見た感じ相手の能力を支配するような力みたいでしたが...)
「支配?」
(たぶんですけど...いや、でもうーん...それだと怠惰というテーマとうまくマッチしないんですよね)
「まぁとりあえず自分じゃなくて他人を対象をする力って感じか?」
(そんな感じでしょうか?なんとなくですけど支配というよりは相手を封印する感じな気がしますね、相手を怠惰させる...いわゆる何かしらの負荷をかけてるって感じですかね?)
「なるほどな....試してみるとなるとこれ多分人間に対して使ってみた方がよさそうだな」
(まぁ使っても死ぬとは思えませんからいいんじゃないですか?)
「まぁじゃあ試すなら」
あそこしかありませんね───────
(怠惰の能力は結局言葉通りのまんまでしたね)
「まぁ何かしらで使いようがあるかもしれないな」
とりあえず試してきたところ怠惰の能力は相手に精神的な負荷をかける技だった
だいたいはエリーナが言ってることが合ってたみたいだな
俺とエリーナの考察では重力魔法の派生系ではないかということになった
つまり精神的な負荷...重りをつけるという発想から生まれた考察なんだが一番それっぽいし、たぶんそれだろう
ちなみに試してきた場所はウチの領軍連中、ちょうど訓練中で久しぶりに模擬戦闘しようという名目で戦闘中に何回か使用してみて能力がどんなものか調べてみた
まぁ使ってみた感じ一度の発動で対象に出来るのは一人のみ
威力のコントロールは出来るみたいで一発で相手を気絶させることも出来るみたいだし、早く疲労させることも可能みたいだ
ただバンガスだけにはレジストされた。能力弾かれたから精神的に強いやつにはあまり効かないのかもしれない
まぁでも割とレジストされた時はビビった、やるなバンガス
そろそろアーニャとの子供も生まれるし精神的にたくましくなったのかもな
まぁ流石はうちの領軍筆頭か、シルが褒めてただけのことはある
たぶんこの能力は戦闘が長引けば長引くほど効力が強くなるな
心に綻びができた瞬間にそこに重しがかかるわけだし
使い勝手のいい能力で大変助かる
「さて、最後だが...どうしようか」
(いやー....色欲って絶対まともな能力じゃありませんよね)
ですよね、まぁ正直使うの怖くて後回しにしてたけど
(どうせ夜の能力〜とか言って絶倫になるとかじゃないんですか?)
「魔王になって手に入れた能力がそんなにしょうもない能力だと困るんだが...」
(でも私的に異性を引き寄せるフェロモンを放つと絶倫の二択しか浮かばなかったんですが)
「どっちにしろしょうもない能力だな...」
まぁかくいう俺もそれくらいしか思いつかないんだけど
だって色欲だよ?絶対そっち系じゃん
「まぁでも...」
(正直気になりますよね)
そう、めっちゃ気になる
あとわけもわからない能力をずっと抱えてるのも怖い
俺が無意識に使ってとんでもないことになっても困るし
これは腹をくくって使うしかないか
俺は息をすって覚悟を決めて能力を発動させる
すると一瞬身体に違和感を感じ、すぐ元に戻る
特になんも起こらない
(どうしました?もしかしてすごいムラムラしてますか?)
「してないわアホ、してたら感覚共有してるお前だってわかるだろ」
いや、ほんとに変化なし
なんか胸に重みを感じるけ......ど?
「んんん?」
俺は視線を下に落とすと謎の膨らみを胸の部分で発見する
「なぁエリーナさんや...」
(えぇ...はい...言いたいことは分かります......とりあえず触ってみたらどうですか?)
「そ、そうだな」
その膨らみを触ってみると...
フニョンという音がなりそうなくらい柔らかい感触
これは......
(完全におっぱいですよね)
ですよねー...え、待ってなにこれ?もしかして色欲って身体におっぱいできる能力なの?
(というかアレウスさん、気になったんですけど髪色...という髪の毛なんか変わってません?)
エリーナに言われて確かめてみると髪の毛がなんと腰くらいまで伸びていた
そして色も黒から紫色に変化していた
「なぁ...なんとなくわかってきたんだが...」
(とりあえず鏡で確認するのが一番だと思いますよ)
俺は「そうだな」といい、転移して自分がこれなら生活する旅館の一室へと向かう
そして鏡と向き合った俺は───────
「や、やっぱりか...」
俺は鏡に映った自分の姿を見てそういう
(いやーまさかって感じですよね)
いやほんとにそのまさかだわ
「まさか色欲の能力が女になる能力だとは...」
鏡にはシル顔負けのナイスバディーなクール系のお姉さんがうつっている
そう、それが今の俺の姿
つまり色欲の能力を発動させると俺は女に変身するわけだ
もちろん下の方もチェック済み、バッチリ女になっていた
「正直一番どんでもいいけど、一番もんでもない能力だな」
(もうなんか何も言えないですね。見た目って変えることできないんですかね?)
「いや、できる感じはねぇね...解除は...できるな」
解除すれば本来の姿に戻る
そしてもう1度発動させると───────
「やっぱりこの見た目だな」
また鏡に映るのは紫髪の美女
(なんでこの見た目なんですかね?アレウスさんの理想的な感じですか?)
「いや、美人だと思うが理想とかではないな」
(そうですか、まぁ別に深く考えることでもないですし別にいいですね)
正直女に変身するのがやばいからもうそこら辺どうでもいいな
「しかし女になる能力ねぇ...」
一体何に使えるんだが、これ絶対使い道なんて......
いや、ちょっと待てよ?
これもしかしてめちゃめちゃ使えるんじゃないか?
俺はしばらく考えて頷く
(アレウスさん...本当に実行するんですか?)
「あぁ、かなり楽しめそうだから」
いやぁ一年半後が楽しみになってきたぜ
お読みいただきありがとうございます
なんか急いで書いたんでミスあったらよろしくお願いします