アレウスとジャンヌ
よろしくお願いします
すいません、今回で終わらせようと思ったんですが出来ませんでした
「ここにいたのか、ジャンヌ」
ジャンヌが俺の声に反応して、こちらを向く
場所は俺とジャンヌが戦った聖教国・旧聖堂
俺はあることを正式に処理するために聖教国に赴いていた
そして、その事と同時にジャンヌとふたりきりで話せなければならないこともあったので俺はジャンヌを探し回り、今やっとのことでジャンヌを発見できた
「来ていたの、」
「来ていたのかってなぁ...俺が今日来ることくらい騎士団長のお前なら知ってるはずだろ?」
「......この旧聖堂も随分荒れ果てたものね」
ジャンヌは俺の問いに答えず、そんなことを言う
俺はスルーされたことは気にせず、三日ぶりくらいにやって来た旧聖堂を見渡す
俺たち2人が戦う前はまだ廃教会って感じだったが、俺たちの激しい戦闘により天井は既に存在せじステンドグラスも全て消し飛んでいた
もう元々は聖堂だったとは言えないレベルで荒れ果てている
「そういえば、ここは聖域指定されるらしいわ」
突如ジャンヌがそんなことを言う
聖域指定、その言葉の意味はわかるが...どうしてだ?
「なんでだって、顔してるわね」
「まぁそれはな。なんで、ここまでボロボロになったこの場所を聖域なんかにするんだ?って普通は思うだろ?」
「それもそうね...なんでも、英雄達の聖戦とかなんとか、お父...教皇様がそんなことを言っていたわ」
「英雄達の聖戦って、まさか...?」
「えぇ、ここで争ったことがあるのは私とあなただけよ」
「だよなぁ...」
女神様公認の勇者となった俺、そしてジャンヌも元々勇者であるが、俺同様この世界全土に勇者として認知されることになった
いわずもながな、その後の対応は本当に大変だった
世界中で主神リリアーナの顕現で大騒ぎになり、イリヤ王国の王城ではさらに俺の登場でさらに混乱する事態となった
他国の対応も様々なものであり、大陸会議が一ヶ月後に再び開催されることになった
議題はたぶん俺に関することなのだろうが....一体なにを話すんだか
まさか聖教国でも聖域指定とか、そんな大層なことをしてくるとはな...まぁあの教皇様だったらやってもおかしくないか
うちの街でも勇者祭りだかなんだか新しい祭りを開くとか言ってたな
俺はイリヤ王国の王城とかで様々な対応を追われてから、そこら辺は詳しくどうなってるかはよくわからないんだよな
そういうのはカトレア辺りが率先してやりそうだけど、今朝グータラしてたからどうなんだろうな
まだ魔神との1件からは三日してたってないから、基本的に俺以外の身体を癒すためにみんなはゆっくりと過ごしている
俺もゆっくり出来るもんならしたいんだが、今回の件においては他人任せにしておけない事がたくさんあるので仕方が無い
「あなたって考えると黙る癖があるみたいね」
「ん?あぁすまんつい癖でな。みんなにもよく言われる」
「みんなって...彼女達のことかしら?」
「ミラたちのことを言ってるんだったら、当たってるな」
あとは一緒に働いているアーニャ辺りにも仕事中によく言われる気がするな
口数が少ないわけではないけど、無駄におしゃべりはしない性格だからな
それでもなぜか独り言は結構多いって言われるけどさ
「聖女様の件は結局どうなったのかしら?」
「ルーナの件なら、正式に教皇様に承認してもらって丁寧に証明書まで書いてもらったよ」
今日俺が聖教国に来ていたのはルーナを俺の妹にするための正式な手続きをするためだ
貴族が存在するこの世界では養子をとるというのは普通のことだけど、やっぱり血の繋がっていない者を妹にするってのは前例にはない
もちろん血が繋がっても家族というのはあるけど、今回のように公的に妹をとるということはやっぱり異例らしい
だからさっきわざわざ俺と教皇様、直筆のサインがあった公的文書が作成された
文句を言うやつが一人でも出てくるかと思ったが、女神の化身とまで称される聖女のルーナが女神の守護者と認識された俺の元に来るのは当たり前のことらしく誰ひとりとして文句を言ってくることはなかった
そのルーナは既にうちの領地に昨日からお引越しして住み始めている
ちなみに住む場所は俺の屋敷ではなくて、学生寮の方である
同世代の友達を作りたいと言っていたルーナの希望を叶えるためにそのようにした
もう17なので1年くらいしか通えないが、たぶん学校にも通うことになるだろう
ルーナのためにも現在街に教会を建てる計画も進めるつもりでいるが、完成するのはまだ先の話だ
「用事は済んだのでしょ?聞いたわ、ステファニア王女殿下への対応が大変だって、行かなくていいのかしら?」
「あぁステフなぁ......ってなんでお前が知ってるんだ?」
「カトレアさんに聞いたのよ、」
「またあいつは...」
カトレアのやつめ、いつ間にジャンヌと連絡とってんだよ
しかもどう考えても、ただのおしゃべりの内容としてステフのことを喋りやがったな
別にダメだとは言わないが、他人に知られて嬉しい話ではないんだぞ、まったく
ちなみにステフのことだが...自分で言うのもなんだけど、俺への気持ちを隠すことがなくなったせいでこれまで溜まっていたものが爆発したみたいでね。嬉しいんだけどちょっと困ってるって話なわけだ
まぁ今はステフの話をする必要は無いんだ
俺が今ここに来た目的をしっかり果たさないとな
俺は一息だけついて、ジャンヌの方を向き直す
「そろそろ、本題に入っていいか?」
「本題?何か話すことでもあるの?」
「お前もわかってるだろ、流石にもう目を背けているわけには──」
「世界中にステファニア王女殿下とのキスを見せた貴方が私ごときに話でもあるかしら?」
「─いかな......申し訳ございません...!!」
ジャンヌの言葉に俺はただ謝ることしか出来なかった
(ぷーくすくす...アレウスさん...ほんともう...アレウスさんって感じですね...!!くすくす...)
この野郎...ずっと黙ってるから楽だなと思ってたら...!!
実際エリーナに笑われるのも自業自得な話だからどうしようもない
だがやはりこのアホ女神に馬鹿にされるのだけは我慢は出来ない俺がいる
そして、次会った時はアイアンクローよりきつい技をくらわせてやろうと心に誓っていた時にジャンヌがクスっと笑みを漏らした
「言っていたとおりの反応をするのね」
「......?何のことだ?」
「ふふ、あなたの所にいるみんなが私があぁ言えば貴方がとても困ると聞いていたのよ」
俺の所にいるみんなって...ミラたちの事だよな?
さっきカトレアとは何かしら連絡を取ってることはわかったが...まさかミラやカグヤ、そしてシルまでも、魔神との一件以降ジャンヌと関わっていたとは
みんな家で思い思いにゆっくり過ごしていたから全然気が付かなかった
事前にミラとカトレアにはジャンヌとも同じような関係になるだろうと示唆していたから、たぶんそこから広がったんだな
ジャンヌは「とてもいい反応をしていたわ」言ってと楽しそうに笑っている
ジャンヌのこんな子供みたいに笑う笑顔は初めて見た
そしてその笑顔を見て、やはり自分の気持ちを無視することは出来ないなと改めて思ってしまう
「...貴方が言ったように、もう目を背けることは出来ないわね...その、でもいいのかしら?私は後から出てきた女だし、彼女達から疎まれる可能性もあるから...」
やっと話が出来ると思った矢先にジャンヌがそんなことを言い始める
真っ先にそういうことを気にするのは真面目なジャンヌらしいが、今はそういう話をしているんじゃない
俺はジャンヌに近づいていく
「ジャンヌ、そういうことを話す前にもっと大事なことがあるだろ?」
「...え?大事な話?」
どうならジャンヌはわかっていないみたいだな。でも、それは俺たちのつながりが少し特殊だから仕方ない話でもある
「ジャンヌ、俺はお前のことを愛している。お前はどうなんだ?俺のことをどう思っている?」
俺は真っ直ぐ、変に言葉で飾り付けないでジャンヌに告白し、そして語りかける
そしてジャンヌは「えっ...」と言ったあとにハッとした顔がある
そう、俺たちはまだ互いの気持ちを伝えあったわけじゃないんだ
だが伝えあわなくても分かってしまう、俺とジャンヌは感情を共有しているため互いに対する気持ちも言葉せずとも伝わりあってしまう
だからジャンヌは俺たちが互いに思い合っているという前提で話しをすすめていた
もう既に俺の思いは直接伝えたわけではないが教皇様との会話の端々などでジャンヌへの気持ちは伝えてしまっていたりもしていたので、ジャンヌがそうしてしまっていたのはやはり仕方ない話だ
ちなみにそのジャンヌは今俺の前で絶賛顔を真っ赤にしてうつむいてプルプルと震えている
これが初めてあった時、あの堅物無表情だった騎士団長様だと思うと笑えてきてしまう
でも、ここまで真っ赤になられちゃうと俺もすごい恥ずかしくなってくるのだが
(さっきの告白はアレウスさんらしくないですし...ハーレム作ってるアレウスさんがどの口で言ってるんだって感じはありましたねぇ)
それは俺も思ったから、わざわざ口に出すんじゃない
仕方ないだろ、俺が真っ直ぐ言わなかったらジャンヌがクドクド関係ないことを言いそうだったんだから
だけどやっぱりらしくないことはした感じはするなぁ、うちの娘さんたちが聞いたら笑いそうなくらいらしくないな
まぁでもやってしまったものは仕方ないか、ここは勢いに任せてジャンヌの答えをジャンヌの口からハッキリと聞かせてもらおうじゃないか
「それで...お前の答えはどうなんだ?」
「ずるい...ずるすぎるわ。貴方がそんなことを言うなんて思わなかった」
「それは悪かったよ。でもこうでもしないと、俺たちの関係は前に進まないだろ?」
(なーですかねぇ、この甘甘なラブコメは...砂糖をどれだけ入れたらこんなに甘くなるんですか、まったく)
ちょっとエリーナさん、今いいところだから黙ってなさい
「でも...やっぱり...その...」
「ジャンヌ、他のことはいいんだよ。お前がどうしたいかなんだよ。俺はお前といたい、俺はお前が側にいてくれないとどうにかなりそうなくらい愛おしい」
俺はさらに、感情を共有しているからこその真っ直ぐな言葉をジャンヌに伝える
そしてジャンヌはついに自分の思いを口にする
「私も...私も、貴方といたい...貴方が私を守ると言ってくれた時...私も貴方から絶対に離れたくないと思った...こんな気持ちになったのは初めてだし...この私が男に愛してほしいなんて感情を持つなんて思わなかった...私はアレウス・アーレンハルト、貴方のことが大好き...」
ジャンヌが恥ずかしさを隠すためか、俺の胸に顔を押し付けてくる
俺はジャンヌを受け入れ、ジャンヌの頭をなでる
そしてジャンヌがゆっくりと顔をあが、俺と目が合う
俺たちの次の行動は意識せずとも決まる
「あ、あの...私...男性とこういうことをするのを初めてというか...その...」
「...っくく...っ...」
「な、なにか可笑しかったかしら?!」
俺はジャンヌの狼狽えぐらいに笑いを堪えることが出来なかった
ジャンヌが真面目がゆえの純粋さ、可愛い、すごい可愛いと思うがやはりあのジャンヌがと思うと笑えてしまう
「何もおかしくないけどよ...っくく...」
「バカにしているのでしょう?けいけんがな...んんっ──!!」
そして俺はこれ以上茶化してしまうと、先延ばしになってしまうのではないかと恐れジャンヌの唇に自分の唇を重ねる
(あー、甘い甘い、ほんと甘い。見せられる側の気持ちにもなって欲しいもんですよ)
エリーナのこの一言がなかったら、最高の瞬間になっていただろう──
そしてジャンヌとキスを交わして、しばらくジャンヌがやっとの事でキスをした恥ずかしさから復帰した
「あんな強引にされるなんて...」
「悪かったよ、別に無理矢理やるつもりは無かったんだがな」
「いいわよ別に...なんか手馴れるって感じだったしで」
「あー...それはなぁ...」
キスくらいなら、朝起きた時にみんなとしてるくらいだし...流石に毎日やってたらキスをすることに対する抵抗感は薄れくるな
シルなんて隙あらば狙ってくるからな、これまで自分ができてなかった分を取り戻すとか言ってたしな
場所とかはしっかり弁えてくれるから全然構わないんだけどな、むしろ嬉しいくらいだし
「その...これからのことなのだけど...」
ジャンヌはそう言って新たな話題を出す
これからの事、たぶん俺とジャンヌ...俺たちとジャンヌの事だろな
「私はあなたの側にいたいと言ったのだけれど、生活はこの聖教国でしようと思うの。この国のみんなが私を必要としてくれるし...私自身この国を守りたい、今までみたいに義務感とかくるものじゃなくて、心から自分で望んでこの国を守りたいと思うの」
「そうか...いいんじゃないか?お前がしたいならそうすればいい」
「...本当に?」
「当たり前だろ?もちろん一緒に暮らしてみたいとも思うが、俺には俺の、お前にはお前の守りたいものがあるんだ。そこがここだろ?それに俺とお前の能力があれば距離なんて関係無しに会いたい時に会えるからな」
「そう...ありがとう、」
ジャンヌは少し意外そうな顔をしながら、微笑む
意外そうな顔をしてるってことは俺がそんなにわがまま野郎に見えたってことか?まぁ確かに好き勝手やってる感じはあるから仕方ないか
そしてジャンヌは「でも...」と言いながら
「私が忙しい時にいきなり来られても、困るから気をつけてちょうだい」
ジャンヌのその笑顔が俺にはどうしようもなく眩しく見えた──
お読みいただきありがとうございます
次で終わりますとか言ってて、終わらせることが出来なくてすいません。本当は今回の200話ピッタシで終わらせてやろうと思っていたんですが、ジャンヌのデレ方がいまいち上手くかけなくて変に時間もかかり結局アレウスとジャンヌの絡みだけになってしまいました、すいません
改稿版のジャンヌはもっとお堅い感じにしようとと思ってます、その方がキャラ立ちがしっかりしそうなので!!