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地下牢

よろしくお願いします

ーアーレンハルト邸─


「こっちの分量はこれくらいで......よし、それで分離をして......はぁ、雨の音がうるさいわね、まったく」


カトレアは窓の外を眺めながら鬱屈と呟く


昨日から振り続けている雨が勢いが止むことはなく、むしろ勢いが強くなってると感じるほどに激しく窓を叩く



そして試験管に入った薬品がコポコポと音をたてているその部屋に1匹の影が現れる



「......誰かしら?」


いきなり現れた影にカトレアは警戒した声をあげる



「カトレア様、私でございます」

「その声はローガ?」


机の角から姿を現したのは1匹の黒狼、シャドーウルフのローガであった


カトレアの表情からは警戒の感情は亡くなった代わりに戸惑いの表情が浮かび、すぐにあることを悟り真面目な表情に変わる


「あんたが来たってことは、アレウスたちになんかがあったのね?」

「流石はカトレア様、日頃から王が言ってるだけはあります」

「アレウスが?」

「はい、困った事態になったらカトレア様にまず相談するとよくおっしゃっております」

「...ほんとは喜びたいところだけど、いまはそれどころじゃないわね。向こうで何があったか教えてちょうだい」



カトレアとしては気づくのは簡単な話であった。まずはじめにローガが自分に話しかけてくること自体が珍しい話なのである、ローガは基本的にアレウスかシル、またはアンやレアたちを影から護衛している


カトレアだけアレウスがローガを諜報のために重用しているのを知っていた、実際それを提案したのはカトレア本人であるので当たり前な話であり、そしてアレウスが今回の会議にローガを連れて行ったのも知っていた


そのローガがアレウスの命令で自分の元へとやってきた、普通だったら通信機で連絡を取ってくればいいものの、それをしてこなかっということはアレウスが通信機を使えない状況であるというのはすぐにわかったのだ



「わかりました、実は──」



そしてローガはアレウスの現在の状況を説明する



「アレウスが魔神疑惑にかけられて、処刑されそうになってるですって?」

「はい、王自らそれを申し出て、今は王城の地下の牢獄に閉じ込められております。一人になった隙に私に命令をくださりました」

「アレウスが命令したってことは何か考えているみたいね」

「はい、手短にカグヤ様をお連れしろ、とあとはカトレア様が聞けば王の考えを理解してくれるとおっしゃってました」

「なるほど...カグヤをね......うん、アレウスの考えてることはわかったわ、後で私がカグヤとあなたに作戦を伝えるわ。それで、他には何か言ってなかったかしら?」


カトレアはちょっと思案して、アレウスの作戦を理解する。カトレアは屋敷の人たちの能力についてならだいたい理解していたし、本人よりもその使い方や応用法を思いついてもいたりする、だからこそアレウスの考えもすぐに理解することができた



「はい...王はミラ様にはバレないようにと」

「あー...ミラに聞かれた、1人で王城に突っ込んでいくわね......って、王城に突っ込みそうなのがもう1人アレウスと一緒に王都に行ったじゃない、どうしてるの?」

「......実は、───の可能性が」

「............どういうこと?───って、確かに見たの?」

「えぇ、王に探しておくようにと命令され、見つけたのですが、その時に」

「まずいわよ、アレウスがそれを知ったら...」

「......それを知ったら?」

「王都が1日で滅びるわね」


カトレアは真面目な口調でそう告げる、それは全くをもって冗談などではなかった



「かなりまずいわよ、アレウスの置かれてる状況の1万倍はまずいわ、アレウスが知る前にすぐに行動に移さないと......あ、カグヤ、今時間ある?そうそう、うん、研究室に......って、実験台になってほしいわけじゃなわいよ!!......かなり深刻な事態、アレウスがやばいのよ、ちょ、ちょっと落ち着いて、こっちに来たら詳しい話をするわ。えぇ、そう、とりあえずミラにはバレないように......そう、ミラにはバレちゃダメ......って、だからいたずらとかじゃないから!!とりあえずに早く来てちょうだい!!......はぁ、まったく困った子だわ」


カトレアはやれやれと言った感じで通信機を切るが、怪しまれるのは自業自得な話であった


ローガも本当に大丈夫なのかと、狼ながらカトレアを見て思ってしまっていた




─大陸会議6日目・イリヤ王国王城・地下牢─



「くっそ、ジャンヌの野郎......こんな鎖使いやがって」


俺は腕を後ろに回され、グレイプニールと呼ばれる天界の鎖でぐるぐる巻きにされていた



俺が魔神だと嘘を言われてから1日、特に何もなく俺はただ薄暗く湿った地下牢に閉じ込められていた



とりあえずはローガに手短に命令をくだしておいたから、ことは動き始める。俺はただ時間がたち、タイミングが来るのを待つだけだ


しかしあれだな......暇だな、話し相手くらい──


(うんしょ、よいしょっと...ただいまです〜、愛しのエリーナ、帰ってきました!!)



.........来ちゃったよ、この人帰ってきちゃったよ


(え、なんで歓迎されてないムードなんですか......というか、なんで縛られてるんですか?状況やばめですか?)



いや、まだ大丈夫だな、ことは動いていないぞ



俺はエリーナに脳内会話で答える



(そうですか、なら良かったです。あ、とりあえず私が天界で聞いてきた情報をお伝えしますね)


あぁよろしく頼む



(わかったことといえば、あの枢機卿が言っていことは完全に嘘でした、リリアーナに確認をとってきましたが、天啓システムは作動させていませんでした)


あぁそれについては知ってるぞ?


(えぇ...私がわざわざ戻ってお説教まで受けて手に入れた情報が無価値に......)


お説教されてるのはどう考えても自己責任だよな?



(ま、まぁ、次の情報は知らないでしょうね。アレウスさんはこの世界でリリアーナの天啓を受け取れることの出来る人は誰だか知ってますか?)


は?それは教会の人間じゃないのか?


(ぶっぶー!じつは天啓を受けられるのは、聖女のルーナだけなんです!!)


なるほど、だから聖女ってことなんだな


(そういうことですねぇ、なんせ見た目がまんま......おっと、これは天界規則上言えない話でした、危ない、危ない)



.........そういう気になる言い方されるのが一番困るんだが......これ以上聞くとやばいのはなんとなくわかったから聞かないでおくわ



(それがいいですね〜、あ、というかなんで牢屋にいるんですか?)


ん?あぁ、それは明日俺が処刑されるから



(......処刑?...Shokei?)


うん、だから処刑、どうして無駄に発音良くしたんだよ



(え、え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!全然大丈夫じゃないじゃないですか!!なんでそんなに余裕でいられるんですか!?ちょ、ちょっと、早く逃げましょうよ!!)


暇だから話し相手が欲しいとか考えちゃった俺が悪いんだろうな........くそうるさいな


(だって、え?死んじゃうんですよ、アレウスさん!?処刑ですよ!?アレウスさんみたいな人なんて市中引き回しされた挙句に、街の広場に縛り付けられて、人々に石や腐ったトマトをぶつけられ、最後に首切られちゃいますよ!?いいんですか!?)



おい、てめぇは俺をなんだと思ってんだよ...



(私は死にませんけどねぇ、感覚共有してるんですから、ほんとやめてくださいよ!?)



話聞いちゃいないし......超自分勝手だな


とりあえず落ち着け、色々な問題は考えて俺は大人しく処刑を受けると言っただけだ、誰が好き好んで処刑されるかってんだよ



(そ、そうですよ...ほっ...よかった......余裕があるってことは何か考えてるんですよね?)


まぁな、この場を丸く収める作戦なら一応な


カトレアが理解してくれたらいいんだが......とりあえず一昨日ローガに命令を出したから、今日のうちに来るはずなんだが......



『王よ、カグヤ様をお連れしました』

「......来たか、」


俺はできる限り声を潜めて、ローガに答える


本当は魔法で音の指向性を操作して普通に喋りたいんだけど、下手に魔法使うと疑われるから仕方がない


「で、カトレアはどう理解した?」

『はっ、カトレア様は────と、』

「流石だな、俺の考えを理解してる。それで問題ない、頼んだぞ。......それとだ、救出してほしい人間がいる、───だ。方法は俺と同じだ、カグヤに頼んでおいてくれ」

『はっ、かしこまりました』

「タイミングの方は俺がわかりやすい行動を示すと伝えておけ......これ以上は危険だからお前はカグヤと共にいろ」

『了解しました、では最後にカトレア様からの伝言です......「何があっても落ち着きなさい、冷静にいるのよ」とおっしゃっておりました』

「......わかった、下がっておけ」


ローガは俺の影の中からすっと消えていく



「何があっても落ち着きなさい、冷静にいるのよ」ね


カトレアは何を予測したんだ?あいつがわざわざそういうことを言ってきたんだ、あいつは俺が予測できない最悪の事態を予測しているのか


(これ以上最悪なことってないと思うんですがねぇ)


そうも言えるが、カトレアがわざわざ言ってきたんだ、心に留めておく必要はあるさ



とりあえずカグヤはこちらに来たし、俺の作戦もしっかり理解されている


心配事はかなり多いが、今俺ができるのは時が来るのを待つだけか.........



「.........ん?」


地下牢部屋の扉が開く音がする、誰か来たか




「.........てめぇらかよ、別に俺は大人しくしてるぞ?」



誰かと思えば、ジャンヌとルヨナであった



「やぁアレウス・アーレンハルト、久しぶりだね」

「は?久しぶりだと?てめぇは昨日も来たじゃねぇか、クソッタレが」

「貴様!!猊下に対して、なんという口の聞き方だ!!」

「ぐっ──!!」



ジャンヌが怒鳴ると同時に俺を縛る鎖の締め上げる力が強くなる



「はぁ...はぁ......どうやって、ジャンヌを手なずけたんだ.........一日考えてやっとわかったぞ、お前ナルムヨルグだな?」



俺は自分が辿り着いた答えをその場で吐き出す



俺が疑いを持っていた様々な点がついに線を結び答えにたどり着いたのだ



「ほう、よくわかったね」

「認めたか、クソッタレが」



当たっても全然嬉しくないな


(ちょ、ちょっと!?どうしてわかったんですか!?え?こいつが魔神!?鑑定しましたか!?)


したよ、だがそれだとわかんねぇんだよ


俺が答えにいきついた理由は3つだ


一つはは内通者の件、俺たちの行動がダダ漏れだったということ、俺は協会内部に内通者がいると踏んでいた


二つ目は、ディストラーダが言っていたことから推測したナルムヨルグがどこか国のような拠点を手に入れたということ、


そして三つ目は──


「ジャンヌを堕とすなんて、魔神ぐらいにしかできやしない」


俺は堕天勇者という大層なものになってしまったジャンヌを睨みつける


「おいおい、僕の可愛いジャンヌをそんな目で見ないでくれ」


ルヨナ......いや、ナルムヨルグがジャンヌを抱き寄せると、ジャンヌは身を任せるように頬を紅らめて、ナルムヨルグに身を寄せる


心の奥から、何かが溢れ出してくる感情が生まれてくる



(アレウスさん、この男が魔神なのはわかりました......ですが、本体はどこにあるんですか?目の前の男の身体が別個体だとしたら、本体はどこかにいるはずですよね?)


それは俺も困っていたことだ、本体がもしかしたら別に存在するかもしれないし、精神思念体みたいな存在で、宿主の深層意識の中で生きてるような存在かもしれない


(かなり厄介な相手ですね...)


あぁ今回のやってきた手法といい、魔神はただの脳筋だと思ってたんだけどな、ここまで用意周到にやられるとは思っていなかった


「お前、前はデブな王様じゃなかったか?」

「あぁ、あれはもう用済みになったからこれにくら替えしたんだよ」



これ、とはきっと、目の前の身体のことだな


だったら精神思念体で憑依しているという線が高そうだな



しかしジャンヌはこの会話を聞いても無視か、完全にやられてるな




「そういえばもう一人君に紹介したい人がいるんだ、ほら入ってきなよ」



ナルムヨルグがそういうと1人の女性が入ってくる


銀髪のその女性が──


「...............は?」



その女性はこちらへとやってきて、ジャンヌ同様ナルムヨルグにそっと見を寄せる



「紹介するよ、僕の一番可愛い眷属、シルだ」





その瞬間すべてがどうでもよくなった




「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」





殺す!!目の前のこいつはすぐに殺してやる!!

お読みいただきありがとうございます


自分で書いてるのに心傷めます

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