準備期間
よろしくお願いします
4連デート企画から2ヶ月がたった
すなわち、研究所開設からも2ヶ月程がたつことになる。研究所の運営は最初に関しては色々と大変だったみたいだが、今はうまく軌道に乗って様々な研究が行われているらしい、頼んでいた農機の生産も順調に進んでいる
そしてこの2ヶ月で変化もあった──
「やっぱり少し賑やかさにかけるわね」
朝食の席にてカトレアがコーヒーを飲みながらそう呟く、この時間にカトレアが起きてるのは珍しいな、カグヤより早いし
「お前、それ毎日言ってるな」
「だって、ちびっ子たちが全員いなくなるとやっぱり寂しくなるじゃない?」
「まぁそれは同意するけどな」
俺もカトレア同様朝飯ができる前のコーヒーが入ったカップに口をつけて答える
そう、我が家の屋敷にはアン、レアを含めた年下組が今は全員いないのだ。別に家出をしたわけではない
「しかしあんな大きな建物にしてよかったの?」
「ん?あぁ別にいいんだよ、あそこはどうせ学生寮になるしな」
「そんなに人来るの?」
「んー...アーニャが他の領地にまで宣伝してて、調査してもらったら結構来るみたいなんだよな」
そう、俺は学校建設に先立って学生寮を建設した。ちなみに既に住んでいる者達がいる
それは孤児院にいた子供たちのことだ。院長をしていたマリアを寮長として、他にもエミリアを含めた元々孤児院で働いていた数名、そしてエドさんの所から借金奴隷を数名買って寮の運営を任せている
「学費がないって言われたら確かに来たくなるわよね」
「まぁな、実際学費とったとしても大した額にはならないけどな」
実際教科書とかはないからな、本はこの世界じゃ流石に高いから教科書は導入しない。後はエドさんたち承認が学校建設推進派なので色々と寄付してもらってるみたいな理由もあるんだけどね、決して賄賂ではないからな?
それに教えるのは必要最低限の一般教養だからね、その先は基本的には自分がつきたい職に関する専門分野を学ぶって感じだから、どっいかというと専門学校ってイメージの方が合ってるんだよな。技術職の職人は後継者を作る為っていえばわかりやすいかもしれない
そのままそこで培った技術や知識を将来的にうちの領地に還元してくれることを目標としてるからな
「そういえば村の人たちの感触はどうだったんだ?」
「ん?農機のこと?それならバッチリよ、何人かに体験してもらったけど使いやすくて便利だってみんな言ってたわ」
昨日カトレアにはわざわざ各村に回って農機の体験会を開いてもらったのだ
子供を労働力として必要としている農民が多い。だから学校に子供をいかせるのを渋る人たちもいて、子供の穴を埋めるためにカトレアに農機の開発を依頼したんだが、どうやら成功みたいのようだな
「わりかし順調にいってるな...」
「あんたも大変ねぇ、そんな真面目に働くタイプでもないのに」
「俺が提案したことだしなキッチリやらないと流石に人としてダメだろ?あ、そうだ祭りの方はどうなってんだ?報告書の方は読んでるから、話が進んでるのは知ってんだけど」
「あ、それなら順調よ!出店に参加したいっていうところも増えてきたし、それに...」
「それに?」
「それに、クリスに頼んで王都とでも宣伝してもらってるわよ!!国の英雄アレウス・アーレンハルトが治める街でお祭りがあるってね!!」
「.......ちょっと待っててくれ」
俺は近くの棚の上に置いてある固定電話型の元までいって、受話器をとる。件のお姫様に連絡を取る
『...はい、クリスですが?』
「あぁ俺だ、アレウスだ」
『あら、アレウス様どうされましたか?』
「お前何勝手にうちの領地の祭り宣伝してるんだよ」
『あ、そのことでしたか。カトレア姉様に話を聞いて人が集まった方がいいと思って宣伝することにしました。あ、でもそのおかげで王都の有名店もそちらで出店を出すみたいですよ?』
「......それに関してはありがとうございます」
確かに集客に手伝ってくれるありがたいんですけどね!!
「とりあえず英雄とかなんとかって話はやめてくれ、恥ずかしい」
『え、でもカトレア姉様から聞いた話では祭りの名前は「英雄アレウス祭」だと...?』
あの野郎!!俺は優雅にコーヒーを飲んでいるカトレアを睨みつける、すると「え?なにか?」みたいな顔をして来る、あいつわかってやってるな...
「クリス、その祭りの名前は間違いだ。とりあえず俺の領地で祭りがあるってのは宣伝しておいてくれ」
『気になったんですけど、具体的な日にちとかは?』
「予定では3ヶ月後だな」
祭りのときに学校の説明会とか開けたらなと思ってるからな、色々なことの兼ね合いを考えて3ヶ月後に決まったんだ
『わかりました、もっと詳しく決まったらまた教えてください。...あとアレウス様自身がこちらにいつ来られますか?』
「ん?俺か?それだったら来月のアレックス王子の結婚式に出るぞ?招待状もらったから」
『わかりました...では私は学院の方に行かないといけないので』
「あぁすまんな、それじゃ急に悪かったな」
『いえ、アレウス様の声が聞けたのでよかったです。それでは』
クリスがそういって通信が切れたのがわかったので俺は受話器を置いた
「で、どうなったの?」
「とりあえずお前が考えた変な名前は取り消しておいたぞ」
「えー?でも、わかりやすくないかしら?どこのお祭りかってわかるでしょ?」
「だったら俺の領主権限で「天才・カトレア祭」するぞ?」
「......ごめんなさい、アーレンハルト祭あたりにしておくわね、」
カトレアも流石に自分の名前を祭りにはされたくないみたいだな、てかそう思うんだったら俺の名前も使わないでくれよ
(え、私はやって欲しいです「運命の女神エリーナ祭」を、ぜひ!!)
絶対やらないわ、そんな祭り
「おはようございます、」
「ん?カグヤか、おはよう」
「おはよう、カグヤ」
「あ、カトレア、今日は早いんだね」
「うん、ちょっと研究所の方に用事があってね」
なるほど、研究所に用事があってカトレアは早起きだったのか
「おはようカグヤ、パンかご飯どっちにする?」
「あ、ミラおはよう、じゃあご飯で」
キッチンの方からミラが顔を出す
ちなみに俺は今日はパンだ
(私はご飯の気分だったんですが?)
だからなんですか、エリーナさん?
「む、我が一番最後だったか」
その後すぐにシルが起きてくる
そしてカグヤの時同様ミラがキッチンから顔を出してパンかご飯か聞いてくる、シルはパンを選んだみたいだ
ミラがみんなの分の朝食を運んできて最後にミラが席に着く
「「「「いただきます」」」」
そしてみんなで朝食をとる
みんなで揃って食べるのは暗黙の了解みたいになってるな。まぁカトレアが来ない事は多々あるけどさ
「ご主人様、今日はどのようなご予定で?」
「ん?午前中は領軍のところに顔を出して、午後からは役所に出るって感じだな、夕方頃には戻るよ」
「何、主殿が来るのか、気合いを入れて鍛錬させないと」
ちょうど今領軍の奴らが地獄を見ることになってしまったな、今のうちにお祈りしておこうか
「シル、良かったら俺と模擬戦しないか?」
「なに?それは主殿とやれるということか?」
「そういうことだな、俺も身体動かしておかないと鈍るからな」
最近は事務処理ばっかだったからな適度に身体動かしておきたいんだよ
(だったらアレウスさん、魔神探ししてくださいよ!ナルムヨルグ探してくださいよ!)
いや、探せって言われてもどこにいるかもわからないし、それにジャンヌたち聖騎士団が頑張ってるんだから俺ひとりがなにかしても意味無いだろうが
それになにか怪しいことが起きたら俺にも連絡は来るようになっている
その後は俺以外の今日の予定を聞いて、軽く雑談をしてから各々動き始める
俺とシルは2人で領軍の修練場まで向かう
「あらあら、シルちゃん、それに領主様もおはようございます」
「これはセリー殿、おはよう」
修練場に向かっている途中でお婆さんに挨拶をされる
シルの知り合いなのだろうか?親しげに話しているな
「この前はありがとねぇ」
「なに、気にするでない、あれくらいならいつでも出来る」
2人の間に何かあったのか?俺はよくわからないのでとりあえず微笑んで適当に相槌をうつ
しばらくしてセリーさんと別れる
「シル、どんな関係なんだ?」
「ん?あぁ、昨日セリー殿が買い物帰りだったらしく大荷物を持っていたから我が代わりに家まで運んだだけであるぞ」
なるほどな、とりあえずシルさん偉いですね
でも「偉いぞ」とか子供みたいに褒めるのはなんか違う気がするので、いいことしたなとだけ答えておいた
するとシルが「我は無駄に力があるからな、あれくらいで誰かのためになれるのが嬉しいんだ」と笑顔で答えた
(し、シルの笑顔が眩しい!!)
確かにシルが無性に眩しく見えてきたな
「それで主殿はどうして今日も来ることにしたのだ?」
「ん?身体動かすのと、職場アンケートみたいな?不満がないかとか聞こうと思ってさ」
「なるほど、良い心がけであるな」
たまに酒とかおごってるし、不満がないといいんだが
ちなみに「シルをどうにかしてくれ」という不満だけは毎回スルーしている。いやいや、俺には無理だって、お前ら強くなってんだから気にするな、としか言えない
シルとおしゃべりしてるうちに修練場につく
既に領内の警護に当たっている者達以外は修練場に集まっていた
「けっこう人増えてるな」
「そうだな、志願する者が結構来ておるな」
報告書にはあがっていたが、実際目にすると結構な規模になってるな。元々運動場みたいなところだったのに今じゃ観客席もついて闘技場みたいになってるもんな
そして俺たちに気づいた領軍の奴らはすぐに整列をした
「皆のもの!!今日は領主である我らが主、アレウス様が来てくれたぞ!!」
シルが一歩前に出て、張りのある大きな声で言う
シルになんか仕事が欲しいと言われた時に、軽いノリで領軍の監督をさせてあげたんだけど、今じゃ立派な将軍みたいになってるな、酒の場で領軍の奴らにシルについて聞いてみたら、みんなシルの事は信頼してるみたいだしな
「お、おいやべぇぞ...」
「見ろ、シル教官のやる気に満ちた顔...」
「くそっ!なんで今日が警護じゃなかったんだ!」
うん、とりあえず俺が来たから最悪、みたいなのはやめてもらえないかな?悲しいんだけど
「主殿、皆の士気を上げるために一言言ってあげてくれ」
なんで鍛錬で士気をあげさせる必要があるのかは聞かないでおこう
よし、ここは気の利いた言葉を言ってやろう
「お前ら、安心しろ!!今日はシルに程々にしとけよって言ってやる!!」
「「「「ウォォォォォォォォォ!!」」」」
俺は片腕を掲げて、物語の英雄にでもなったのような気持ちになる
「領主様最高だー!!」
「ありがとうございます!!」
ふふ、君らには俺のことが魔王を倒した勇者に見えることだろう
(なにくだらないこと言ってるんですか...)
いや、だってみんな絶望した表情を浮かべていたからさ、ちょっとでもやる気を戻してあげようと思って
(完全にベクトルが違いますよね?)
いいんだよ、ほら?みんなやる気みなぎってるじゃん?
「ということでシル、今日はお前との模擬戦もやりたいからこいつらの鍛錬は程々でいいよな?」
「む、確かにそうだな、よし!今日は我の準備運動のために乱取りだけで終わらせよう!!」
乱取り、つまりシルとの実戦練習──
ごめん、領軍のみんなの事は救ってあげられなかったみたいだ
今日も今日とて、修練場からはアピエダ名物人間花火が打ち上がる
◇
「「「カンパーイ!!」」」
そしてその日の夜、領軍の野郎どもたちと酒場を貸し切ってどんちゃん騒ぎをする
どうしてかって?シルにしごかれてる野郎らを見ていたら、これは酒をおごらないとなと思ったからだよ
それに古参のヤツらはシルに結構食らいついて頑張ってたから、そのガッツを評してってところもあるかな
そして酒の場では人は饒舌になるもんで、職場アンケートもはかどるってもんだ
「しかし、アニキなんですかあの黒い鎧は?」
「ん?あぁ、あれな。なんとなくで思いついたんだよ、シルの真似だな」
バンガスが言っている黒い鎧とは、シルが手を氷でおおって野獣の爪のようにしてるところから、俺も「三日月」の変化特性を利用して「三日月」を鎧に変化させてみたってわけだ
名付けるなら「強化鎧モード」って感じか?
「しかしお2人が本気でぶつかるととんでもないですね」
「今日は少しやりすぎたな、修繕費出さないといけなくなったし...」
俺は元ベテラン冒険者出身、今は総隊長をやっているルドルフに答える、ルドルフは30代の男前だ
今はバンガスとルドルフと酒を酌み交わす
「アレウス様もノリノリでしたからね」
「身体を動かすのも久しぶりだからなぁ」
うん、流石に反省してる。途中からシルとガチでやってたらのって来ちゃったんだよね
修練場の地面に大穴開けちゃったからな、アーニャに報告した時はまじでビクビクしてたよ、修繕費いくらかかるんだろ...
「まっ、お前らには悪いがしばらくは穴あきのまんまだな」
「全然いいっすよ、むしろありがたいくらいっすよ!!」
甘いなバンガス、シルだったらむしろあの穴を利用してもっときついことをさせる可能性もあるんだからな?
「話は戻しますが、アレウス様の黒鎧はかっこよかったですね。もし息子が見てたら大興奮してましたね」
「確か4歳だっけ?」
「はい、最近はもう元気すぎて手に負えないくらいですよ」
子供か...俺もいつか持つことになるんだろうか、想像出来んな
(アレウスさんの子供...悪魔の子...)
おい、それマジで子供が出来た時に言うんじゃないぞ?
しかし子供が好きそうな鎧か......ん?お...!ちょっと面白いこと思いついたな、明日カトレアに相談してみようかな
とりあえず今は聞きたいことを聞いておかないとな
「お前らさ、なんか今の領軍の職場環境に関して要望とかないか?あ、無論これは他の奴らの要望とかも知ってたら言えよ、全員からわざわざ聞けないから隊の代表であるお前らには聞いてんだから」
俺がそう聞くと2人は考えるそぶりをして──
「「やっぱりシ──」」
「悪い、それは無理だ」
「「ですよね」」
とりあえず開口一発目にシルの話題を出すのはいつも通りだとして
「なんかないのか?ほら領軍の規模も増えてきただろ?修練場の拡張とか、設備の拡充とか」
「総隊長として隊全体を管理する身ですが、今の設備でもう十分ですからね。それに現在の雇用体系にもみんな満足してるみたいですよ」
「ん、そうか、問題はないか。まぁないのが一番だからいいのか、バンガスはないのか?」
隊全体を指揮する総隊長からは特に問題がないと言われたので、次は隊の一つを指揮する、すたわち隊員一人一人と関わりが深い部隊長のバンガスに聞いてみる
「......女っけがほしいです」
「女っけ?」
「へい!うちの領軍はみんな男のむさい集団ですがら、女っけが全然ないとみんな愚痴ってます」
「.........正直になってみろ」
そんな回りくどい言い方をしなくていいんだぞ、バンガス?
「俺も含め、みんな......彼女が欲しいんです!!」
バンガスがそう叫ぶと8割くらいの人間が一斉に「うわーん」と叫び始める
叫んでる奴らは全員独り身の奴らなのか......
「わかる、わかるぞバンガス!そしてお前達!!」
バンガスが俺の目の前で男泣きしてるので肩を叩いて励ましてやる、俺もミラやカトレアやカグヤやシルがいなかったらこんな感じだったんだろうと思うと、同情せざるを得ない
(アレウスさん、酔っ払ってますね?)
違う!!バンガスたちの正直さに感動してるんだ!!
しばらくして男たちの男泣きが終わり、再び3人の会話になる
「ルドルフは結婚してるからな、やっぱり守るものがあるといいものか?」
「そうですね、私は妻や子供を養う身でもありますから、仕事にも力が入ります」
「なるほどね、」
となれば、バンガスたちも彼女が出来て家庭ができれば、それだけ領軍の士気があがるってことだよな
そういえば、うちの役所の女性陣は未婚の奴らが多いって話を聞いたな...
これはちょうどいいんじゃないか?
立食パーティー形式の合コンみたいな感じにするのがいいよな...
でも何かしらのイベントがないとできないな......ん?イベント?
3ヶ月後に開く祭りを利用すればいいんじゃないか?カトレアもこの手のものにはノリノリで計画してくれそうだしな
「バンガス、お前らに彼女ができるように俺がなんとかしてやるから、待っててくれ」
「アニキ!!俺、アニキに一生ついてきます!!」
なんか祭りを開催するのが楽しみになってきたな!!
◇
酒場で領軍の馬鹿どもとどんちゃん騒ぎをした翌日の朝──
その日はちょうどカトレアの日だったので、ベッドの中で少しイチャイチャしながら昨日俺が思いついたことを話す
「まず、「領軍戦隊マモルンジャー」っていうヒーローはいいわね、かっこいい鎧に変身するヒーローなんでしょ?それでこのヒーローショーをお祭りの時にやるってわけね」
「そういうことだ、子供たちにはバカウケだろうな」
昨日の宴会中に俺が出した黒鎧が子供が好きそうなデザインだと言われて俺が思いついたアイデアだ、つまるところいえばご当地ヒーローを作ってやろうってわけ、名付けて「領軍戦隊マモルンジャー」
(なんのひねりもありませんね)
いいんだよ、シンプルで覚えやすいし
「そこからフィギュアとか変身アイテムのおもちゃを販売するっていう戦略ね」
「そういうことだな、これから金が必要になるしな。あとは話題性が高くなりそうだからうちの領地の人が集まるようにするっていうのもあるな」
「それで私に話を持ちかけたって事は...」
「あぁそうだ、カトレアには変身道具、俺のイメージだと展開式鎧みたいのを作って欲しいんだが」
「つまりボタン一つで鎧のヒーローに変身する魔道具を開発しろってわけね?」
「...できるか?」
俺の問いにカトレア「うーん...」と考える、多分今カトレアの頭の中は俺には理解出来ないすごいことになってるんだろう
ぶっちゃけこのアイデアはカトレア頼りだ、カトレアが無理ならこの計画はすぐに頓挫することになる
「祭りまで3ヶ月だから、その一か月前の2ヶ月後に完成させればいいのよね?大した昨日はつけられないかもしれないけど、展開式の鎧だったら作れると思うわ」
「本当か?」
「えぇ、ちょうど今何開発してみようか迷ってたところだから、タイミングがよかったわ」
「それじゃあ頼めるか?」
「えぇ、任せてちょうだい!!ついでにヒーローショーもイベントに組み込んでおくわ」
「そっちの方は俺がやっておくから、カトレアは開発の方に集中してくれ」
流石カトレアお姉様頼りになりすぎるな
せめて、俺が出来る事はすべて俺の方でやってしまおうか
「もう一つは...なんだっけ?合コンっていうお見合いパーティーをやるのよね?」
「そうだな、それを前夜祭に行おうと思ってるんだ」
「前夜祭?」
「あぁ、祭りの運営側の人間が祭りの前日に騒いだりするもんだと思ってくれればいい、そこでうちの領軍のやつら、そして役所の奴らで立食式のお見合いパーティーをやろうってわけだ」
「つまりカップル成立をプロデュースするイベントってわけね、面白そうねやってみましょう!!」
「それなら前夜祭にそんなことをしてもOKなわけだな?」
「あ、委員長である私に許可をわざわざとるために話したのね、律儀なことね。まぁでも全然OKよ!!」
よし!!あいつらとの約束は果たせることになりそうだ
そして俺らのイチャイチャはいつの間にかベタベタになっていて──
「ねぇ、アレウス、まだ起きるには早い時間だから......ダメかな??」
少し頬を赤らめて俺の胸元から俺を見上げるようにおねだりしてくるカトレア、「ダメかな」の言い方をとんでもなく可愛い
「ダメじゃないに決まってるだろ?」
領軍の馬鹿どもにもこんな時間が訪れることを願おうか──
お読みいただきありがとうございます
ただオチが書きたかった「魔王の娘に恋した男の話」という6000字くらい短い短編小説投稿したので良かったら読んでください




