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ようこそ、理想郷へ〜俺のLuck値がどう考えてもLack値な件〜  作者: 林桃華
第4章 聖国の聖女と最強の戦乙女編
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晩餐会 その3

よろしくお願いします


前回のあらすじ

ステフ「てめはアホだ」

アレウス「す、すいません...」

 


「クリスティーナ様」


 ステフと一緒に晩餐会の会場に戻ってきた後、俺はクリスを見つけ声をかける


 既にミラとカトレアの姿はなく、どこに行ってるのかと思えばカグヤとルーナと一緒におしゃべりを楽しんでいた



「あら、これはアレウス・アーレンハルト様ではございませんか」


 そう答えてくれるクリスはやっぱり俺と目を合わそとはしてくれない


「少し2人でお話できる時間を作ってくれると嬉しいのですがよろしいでしょうか?」

「私と2人でですか...ステファニアお姉様を口説くのに失敗したから次は仕方なくその妹の私を口説こうということですね?」

「.........」



 まさかの返答に俺は唖然としてしまった


 よくわからないけど怒ってるのは確実だろう、言葉の端々にトゲを感じるし

 だけどいつもの口調で無理やり連れ出すわけにもいかないからな、どうすればいいんだか



「一応誤解を解いておきますが、私はステファニア王女殿下を口説いてはおりません」

「そうですか?私にはお姉様と2人でどこかに行ったように見えたのですが?いいです、私は所詮二番煎じでしょうから」

「いや、あのなぁ...」

「所詮は第2(・・)王女ですから、お姉様の次が私にはお似合いなのでしょう。お姉様と比べると美しさにも負けますし、性格の良さにも負けますから」



 ......この娘は一体本当に何に怒ってるんだかわからなくなってきたぞ


(アレウスのそういう所はやっぱり罪深いと思います...)



 いやいやいや、だってなんかマジで何に怒ってるか、わからなくない??



 ここは仕方ないからカグヤの力を借りようか

 俺は通信機ですぐそこにいるカグヤにお願いしてあることをしてもらう



「さて「サイレント」......これで大丈夫だな」

「...何が大丈夫なんですか?」

「ん?あぁここは既に周りからは見えないし聞こえない別空間になったってことだな」

「何を言っているかわからないんですが...」

「まぁ簡単に言えば2人きりってことだ」



 詳しくいえば俺が空間魔法で空間を座標固定して、その空間をカグヤが結界魔法で囲んでかつ霧魔法で幻覚を生み出して完全なる別空間を生み出すという超高等な技をやっているわけだ



(なんかすごい能力の無駄遣いですね...)


 いいんだよ、便利なんだから



「...本当に2人きりなんですか?」

「あぁ俺たちから周りを見えてるけどが周りからは俺たちのことは見えていないからな、落ち着かないなら場所を変えるけどな」

「いえ、見えてないならいいんです」



 ......さて、本題に入るとするかな


 そして俺はクリスに頭を下げる


「......アレウス様?」

「すまなかった、お前が俺を避けている理由は正直はっきりわかってないが俺に非があるのはわかっている」

「アレウス様、頭をあおげください」

「俺はお前が俺を許すまで頭を下げるつもりはないぞ」

「私はアレウス様に怒ってなどはしておりません!」

「......だったらどうして俺と話してる時に俺と目を合わしてくれない」

「それは...」


 少し強く言い過ぎたかもしれないけど、これくらいはっきり言わないと埒があかない気がするからな


「アレウス様、お顔をあげてくださいもう目を逸らしたりはしませんから」

「本当か?」

「はい、本当です」


 俺はクリスの言葉を信じて頭をあげる

 そしてクリスはしっかり俺と目を合わせてくれていた


「...そうマジマジ見られると恥ずかしいのですが」

「あ、あぁ、悪い変に意識しすぎたな」


 確かにここまで意図的に目を合わせるのは恥ずかしいな、うん


「それで俺を避けてた理由を聞きたいんだが...」

「アレウス様自身はなんだとお思いになられてるんですか?」

「ん?あぁ俺はな──」


 そして俺はステフに話したようにクリスにも俺が思っていたことを話す。クリスが俺を恐がってるんじゃないかと思ってることを


 それを聞いたクリスはこう一言返してくる


「...アレウス様はアホですね」

「......」



 ...え?俺ってやっぱりアホなのかな?


(そうですね、アレウスさんはアホですよ。私を見習ってください)


 元祖アホに言われるのはかなり腹立つんであなたはちょっと黙っててくださいエリーナさん


「本当にアレウス様はアホです、私はそんな理由でアレウス様を避けていたわけではありません」

「はぁ...そうか、ってか同じことをステフにも言われたよ」

「お姉様に?」

「あぁさっきな、2人きりで話してたのは知ってるだろ?その時にお前とのことを相談してたんだよ、それでステフに「アレウスはアホですわ!」ってバッサリとな」


 カトレアにはよく「あんたアホね」とよく言われるけどまさかステフ・クリス姉妹にまで言われるとは思ってもなかったからな


「お姉様とそんな話を...」

「まぁな、俺としてもどうしたものかと悩んでたからな姉のステフに相談するのが一番だと思ってな」

「まさかアレウス様が私のことで悩んでるとは思ってもいませんでした」

「あのなぁ、2週間も避けられてたら流石に悩むに決まってるだろうが」


 普通は流石に2週間も避けられてたら誰だって悩みますよね


 俺のそんな答えに何故か嬉しそうにクリスは人の気も知らなずに「そうなんですかぁ」と言っているだけ



「んで、避けてた理由を俺としては教えて欲しいんだが?」

「え、まだわからないんですか?」

「あぁ全くわからない」


 本当に無意識に避けられるようなことしただろうか?いや、それ以前にまず関わることがなかったから避けられるようになった出来事が起こるわけがないわけで


「その...理由はですね...」

「理由は...」

「アレウス様に見られたからです」

「......はい?」


 見られた?え?何を?



「...俺は何を見たんだ...?」

「こ、これだけ言ってわからないんですか!?」

「すまんが、まったく」

「だから...!その、私の胸を...」

「胸?.........あ、」


 そういえばクリスの胸を普通に見てたな、俺


 ......え?もしかして避けられてた理由って胸を見られたからなの?


「もしかして避けてた理由って、そんなことか...?」

「そ、そんなことじゃなありません!胸ですよ!胸を見られたんですよ!女として恥ずかしいに決まってるじゃないですか!!」

「......確かに」



 確かに普通そうだな...


 やばいな、いつもみんなと普通に風呂に入ってたり、色々してて胸を普通に見てるからそこが問題だと全く思ってなかったな...慣れって怖いな


 というか第一に見た時がブチギレ状態だったから意識することがまずありえないし、確かに今回は深層意識に自我が残ってたから見たのは覚えてるけどさ



「もしかしてアレウス様はまったく気になされていなかったんですか」

「......い、いや、気にしてはいたぞ、うん」

「......嘘ですね、ミラお姉様やカトレアお姉様の言っていた通りです」

「...あの2人がなんか言ってたのか?」

「はい、アレウス様はそんなこと気づくわけがない、と」

「......」


 ほんとあの2人は俺のことをよくわかっていらっしゃいますね



「......それと自分の気持ちはまっすぐ伝えないと気づいてもらえないということも...」

「ん?なんか言ったか?」

「いえ、アレウス様は女性の気持ちがわかってないダメ男だと思っていただけですよ」

「......それに関しては何も文句は言えないな」


 そうだよなぁ、胸見られたら色々と思うことあるよね。これからは気をつけよ


「はぁ...気にしていた私が馬鹿だった気がしてきました」

「いや、俺が気づかなくて本当にすまなかった」

「いえ、もういいですよ。とりあえず仲直りしましょう」

「あぁ...えっと...握手か?」

「いえ、少しこちらへ来て屈んでください」

「ん?あぁわかった」


 俺は言われた通りにクリスに近づいて少し屈む


「では、失礼しますね」

「む...」


 そしてクリスは俺の首もとに腕を回して抱きつき、顔を耳元までよせてくる


「クリスさんや、少し冗談が過ぎやしませんか?」

「いいえ、これくらいがいいんです。アレウス様は腕を回してくれないのですか?」

「.....あぁわかったよ」


 なんかわからんけど別方向からとんでもない殺気を感じたからクリスに腕を回し少し力を入れて抱き寄せる



「......アレウス様、助けていただきありがとうございました。お礼を言うのが遅くなってすいません」

「ん?あぁ気にするなよ」

「あの時は本当に怖かったです、本当にアレウス様が来てくれなかったらと思うと今でもゾッとします、あの時私の呼ぶ声に答えてくださり本当にありがとうござました」



 クリスこ俺を抱きしめる力が少し強くなる、身体は微かに震えていた


「いや、俺がもっと早くお前を助けにいけたらお前に恐い思いをさせることはなかった。全部俺のミスだ、すまなかった」

「いえ、アレウス様なら私を助けに来てくれると信じてましたから」


 とは言ってくれるものの、今回ははっきり言って助けてやらなかったといっても過言じゃないからな、次からは気をつけないとな



「...いくら周りからは見えないと言っても流石に恥ずかしいですね」


 そう言ってクリスは俺から離れていく、その顔はどことなく紅くなっていた


「まぁ次からは俺もあんなヘマはしないから安心してくれ」

「そうですね、助けたといっても王女の胸を見たわけですから」

「......それは忘れてくれ」

「いいえ、忘れません責任とってくださいね」



 責任とか言われてもねぇ、どうすればいいんだよ。まぁクリスにデカイ貸しが一つできたと思っておこうか




 そしてそのクリスを見れば近くを歩くどっかの貴族のおじさんの顔の前に手をひらひらとやる、確か男爵家の人だったかな?


「あなたのようなタヌキの馬鹿息子と結婚なんかしたくありません」


 おい、反応がないからって悪口いうんじゃないよ、口悪いぞ


 そして俺にジト目で見られてることに気づいたのかクリスはゆっくりと俺の方に振り向いてくる


「すいません、少し前にこの方の息子さんに求婚をされたんですよ」

「へぇ、どんな人だったんだ?」

「いえ、典型的な貴族のお坊ちゃんでした。もちろん断りましたが」

「そういう事はけっこうあるのか?」

「えぇ月に4度ほどは」

「そりゃまたたいそうおモテになるな」



 流石は王女様って言ったところだな、月に4度とはやるじゃないか



「モテるわけではありません、どの方も私の王族の血が目当てですよ。私と結婚して王族の仲間入りを果たそうとしているのです」

「なるほどね、そりゃ大変だな」

「えぇ本当に大変です。それに私は外じゃ猫を被っていますから」


 あ、クリスってそういう所は認めてるのか。なんか意外だな



「求婚してくる方は誰も本当の私を知りません。無論知って欲しいわけでもありませんが」

「なんか矛盾してるな」

「それは自分でもわかってます。でも本当の私はなんの魅力もありません、ステフお姉様のような美貌も優しさも私は持っていませんから」


 意外だと思っていたが、単に自分を自虐するためにらしくないことを言っていたのか

 人のことをアホ呼ばわりしといてクリスも大概だな


「わわっ!アレウス様いきなり何を」

「別にアホな子を慰めてあげてるだけだよ」

「だからっていきなり頭を撫でないでください!子供じゃないんですよ!」

「まぁ気にするな、それよりよく聞いておけよ...」


 俺がそう言うと少し暴れていたクリスがきょとんと俺の顔を見る


「お前に魅力がないなんてことは無いし、美貌が優しさがないなんてこともないから安心しろ。あ、これは慰めじゃなくて事実を言ってるんだぞ?」

「......ステフお姉様と比べては...?」

「あのなぁ...そういうのは比べるものじゃないだろ?どっちも魅力的だから気にするな」


 意外とクリスも妹としてのコンプレックスみたいなのを感じていたのかもしれないな、ここは兄貴分としてなんとかしないいけないな


 もちろん全部本心から言ってるしな


「ま、それでも本当のクリスに惚れて求婚して来るやつがいなかったら俺がクリスをもらってやるよ」

「......今なんて言いましたか?」

「ん?お前が納得できる相手がいなかったら俺がお前をもらってやるって言ったんだよ。ま、猫を被ってないお前は十分魅力的だからその必要はなさそうだけどな」



(いいんですか〜アレウスさん、そんなこと言っちゃって)



 ま、別にいいだろ。クリスだったら俺よりいいやつを見つけるだろうしな



「ん、そろそろカグヤの幻術の効果が切れそうだな。まぁそれじゃとりあえず仲直りできたってわけだ、これからもよろしくな、クリス」

「はい......」



 なんか少し惚けてる感じがあるけど大丈夫か?


 そしてとりあえず俺はクリスから離れて会場を歩く、クリスの方を見てみるとマリーとダミアン君が話しかけてるところだから幻術の効果は切れたんだろうな


 ちょっとまわりを見ると貴族の子女さんがなんか俺の方を見ている気がするので俺はそそくさと再びテラスへ逃げることにする



「やっぱ居心地いいな」


 なんか既に晩餐会の時に定ポジションになりつつある庭園が見下ろせるテラスの手すりによりかかって星を眺める


 ま、ここに来た理由は3人を待ってるからなんだけどね



「見たわよ、アレウス〜」

「見ちゃいましたご主人様」

「すいません、アレウス様、見てしまいました」


 そしてテラスへと続くガラスのドアからひょっこりカトレア、ミラ、カグヤの三人娘が顔を出してこちらにやってくる



「そんなこと言っといて見る気満々だったろお前ら」


 俺は苦笑しつつも3人に答える、なんか変な殺気を感じると思ったけどこの3人からの殺気だったんだよな



「それにしてもアレウス、あんたやっぱりアホよね」

「うるさいな、というかその口ぶり的に知ってたのか?」

「はい、ご主人様が何かを悩んでるのは私たちは気づいていました」

「まさかアレウス様が本当に勘違いしてると思いませんでしたが」


 3人とも特に躊躇なく俺に言ってくる

 まぁそれくらいの方が心地いいんだけどな


(やっぱりMですよね?そうですよね?)


 ミラに1発つねって......あ、黙った



「とりあえずこっちに来いよ、ゆっくり話すのは久しぶりだからな」


 俺がそう言うと3人は何故かジャンケンを始める


 負けたカトレアが悔しそうにしている



 そして俺の両脇にカグヤとミラがきて、カトレアはミラの隣に並んだ。もしかして場所取りジャンケンしてたのか?



「それにしてもアレウス今回は大変だったわね」

「ん?あぁそうだな。お前らには迷惑をかけたなすまない」

「いえ、ご主人様には使命がありますから」

「それに私たちは私たちで楽しませてもらってますから」



 俺は全然楽しんでないよとは言えない状況なのが少しつらいなぁ...


「.........ねぇ、アレウス?忙しいからって2週間も私たちを蔑ろにしたのはどう思ってるかしら?」

「......それは...」

「そうですね、ご主人様を2週間.........もう自殺しようかと考える時もありました」

「...それは言い過......」

「私は来る日も来る日もアレウス様の温もりを思い出しながら枕を抱きしめていました」

「.........僕は何をすればよろしいんでしょうか...?」



 僕はもうこの状態のこの子たちに逆らうのはまずいだろうなと覚悟しましたよ...



「そうね、私たち1人ずつなんでもお願いを聞いてくれれば許してあげるわ」

「......そんなんでいいのか?」

「はい、ご主人様が1人1日私たちそれぞれのお願いを聞いて頂けるだけ私たちは十分です」

「......あの、それでなんでもって...」

「アレウス様、私たちはこれで許すと言っているんです、いいですよね?」

「......わかりました、そうさせていただきます...」



 カグヤが完全に俺にトドメを指したところで俺はその要求に答えるしかなかった


 というかカグヤが怖いよ、完全にミラとカトレアに染まっているな



「よし、私はもう何してもらうか決まってるからその日が楽しみね!」

「ふふふ、私はどれにしようか迷うわ」

「私もして欲しいことがいっぱいあって迷っちゃうわ」



 ははは、楽しそうですね娘さんたちや


 でも実際ここ最近ずっとみんなとはしっかり触れ合ってなかったからしっかりサービスはしてあげるべきだよな、何を要求されるかわからないけど...


 この娘たちたまに無茶なお願いしてくるから怖いんだよね...



「アレウス、とりあえず明日には領地に帰るのよね?」

「あぁ、途中でエレナたちを迎えにいってそのまま家に帰る」

「ずっと帰ってませんでしたからお掃除が大変そうです」

「それに子供たちが増えますから賑やかになりますね」

「あぁ大変になりそうだが楽しみで仕方が無いよ」



 明日からはまた忙してくて騒がしい領地経営の日々を頑張りますかね

お読みいただきありがとうございました

更新ペース落ちてるのに気づいたら150話でした、これからも頑張りたいです


今回の章はこれで終わりにしようかなと思ってます、すごい内容薄くなってる感じがあるんですがこの章は次への伏線としての章にする形にしました


カトレアとカグヤのお願いは決まってるんですがミラのお願いをどうしようか迷ってます、ミラはどんなプレイが好みか悩み中です

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