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独占権

よろしくお願いします



各村に出向いて、これからの領地の経営について説明して回った次の日、各村では毎度毎度感動されるという目にあったがどうにかうまくいったのでよしとしよう


今日はアピエダの商業組合のリーダー的な人に会いに行くんだが、俺としては遊びに行くみたいな感覚である


ちなみに今日はシルが俺についていくというので一緒に目的の場所まで向かっていく



「我だけ契約できないとは...」


「まぁ仕方ないだろ、気にするなって。シルとは「眷属契約」してるから「絶対契約」ができなくても仕方ない話だろ」


今日の朝、シルが自分とも「絶対契約」して欲しいと俺にお願いしてきたので、やってみようとしたらできなかったのだ。エリーナと話してみたけど二重契約的なことは出来ないんじゃないかという結論に至ったんだが、多分それで間違いないだろう


「だけど、我だけというのは」


「いや、アンとレアもしてないからシルだけが仲間はずれってわけじゃないだろ?」


「そういう意味じゃないんだがのう......」


ここでじゃあどういう意味なんだと聞けないのは仕方ない話だと思うし、聞いちゃいけない気がする。


だから俺は別の話題を出すことにした



「そういえばファントムウルフのローガだっけ、昨日初めて知ったんだけどシルなら色々と知ってるんじゃないか?」


「おぉ、ローガか。ついに主殿も会ったのだな。いやな、あやつはシャドーウルフの群れのリーダーだったんだが我が鍛えているうちに進化してたのだよ」


うん、進化ね、確かに進化したんだろうけど

まさか喋るとは誰も思わないよね

しかも勝手に王様扱いだし、まぁ別にもうなんか慣れてきてるんだけどさ


「あぁそれでまさか喋るとは思わなかったんだが、そこらへんは理由はわかるのか?」


「うむ.....我も考えてみたのだがの...正直さっぱりわからん。我みたいな神獣の血族ならともかく一端のモンスターが喋るとは思わなかったのだ」


「うーん、じゃあ突然変異のユニークモンスターといったところか?」


「うむ、それが妥当であろうな」


ユニークモンスターね、確かに霊峰で修行してた頃に他の個体とは似て非なる個体をために見かけることがあったから多分それと同じような理由だろう


「というかシル、どこでシャドーウルフたちを鍛えてたんだ?ここら辺の森じゃ騒ぎになってもおかしくないだろ?」


「うむ、我もそれを考えてちょっと遠目のところにのいい感じの霊気が充満した山々があったのでそこを修行場としていた」


霊気の満ちた山々ね、うん、心当たりしかないけど、まぁ別に特に問題はないか


「それよりも主殿!今日はデートだぞ、デート!デートと年頃の男女が中睦まじく一緒に過ごす時間のことだとカトレアから聞いたぞ!」


そう言ってシルは俺の腕を抱き抱えて自分の胸に俺の腕を挟んでくる。


な、なんという圧力...!!こんなのに挟まれた俺は一生抜け出せない気がするぞ...!!


(はぁ...何を馬鹿なことを言ってるんですか...)


おっと、ちょっと幸せな感覚にトリップしてしまったみたいだ、まさかエリーナに注意されるとは......



「シル、今日は一応仕事だからな?」


そうだ、今日は一応(・・)仕事なのだ。

まぁ俺はアーニャの横に座ってニコニコしてるだけの簡単なお仕事なんだけど



「うむ、でも今から向かう先はエドの店のとこなのだろ?」


「あぁそうだぞ」


そうなんだ、まさかのこの街の商業組合のトップはエドさんだったのである。まあ街で1番でかい店持ってるし、そうであるのは当たり前な気もするけど


だから今日は別に仕事って感覚もないし、ちょっと久しぶりに顔を出しに遊びにいく感覚なのである


ちなみにシルは俺がカトレアと2人きりで過ごしていた時にカトレア以外のうちの娘さんたちと洋服とかを買いにエドさんの店に1回行ってるので初めてではない


「ならデートだな。エルザが主殿は押しに弱いからどんどん行きなさいと我に助言をくれての、だから今日はデートをしようぞ」


うん、エルザさん、あなた絶対楽しんでるよね。

どうせ今お家で「あらあら、うふふ」といつもみたいに笑いながら困る俺を想像して笑っている気がする......実際にありそうで怖い


カトレアとかもついてくると思ったんだけど、多分話を聞いた限りだとシルに遠慮したのかな?まぁなんかシルもうちの家族として認められてるみたいだからよかったかな


そんなこんな傍から見れば真昼間からイチャついてるカップルにしか見えない俺らはエドさんの店につく


「アレウス様」


「あぁアーニャ、悪いな待たせたか?」


「いえ、私も今来たとこです」


うん、何か知らないけどデートの待ち合わせをしていたカップルみたいな受け答えになってしまった。まぁこれは待ち合わせの時の決まり文句みたいなものだし仕方ないか



「んじゃ、入ろうか」


「はい」



俺はシルに腕を抱かれたままアーニャと一緒にエドさんの店に入る。なかなか舐めた態度だと思うけど、シルのLv300の筋力値はなかなか高いため逃げることは諦めた


決して幸せな感触を手放したいからではない



「「「いらっしゃいませ、アレウス 様」」」



店に入ると店員さんたちが一同揃って俺たちを迎えてくれる。うん、まぁ予想はしてたけど、驚いたよね



「アレウスさん!お久しぶりです!よく来てくれました、今日はよろしくお願いします」


「エドさん、お久しぶりです。こちらもよろしくお願いします。こちらは俺の代わりにこの領地の代官してもらっているアーニャです」


「アーニャです、本日はよろしくお願いします」


「はい、よろしくお願いします。それにシルさんも今日はアレウス様の付き添いですか?」


「うむ、今日は主殿とデートなのでな」


「それは、それは」


うん、だから今日は仕事だって言ってるでしょ?


ほら、なんかエドさん温かい目で俺たち見てくるし、ちょっともうやめてちょうだい


「それでは上の応接室の方でゆっくり話しましょうか」


「はい、そうしましょうか。シルはどうする?」


「うむ、主殿の話が終わるまで我は店を見て回ることにするぞ」


そういってシルは俺から離れる、まぁそれで暇が潰せるならいいんだけどさ


「それではうちのものに案内をさせておきましょう」


「わざわざありがとうございます。それじゃいきましょうか」


まぁシルの方は店員さんに任せれば問題ないか


そういって俺とアーニャはエドさんに後ろについていく



「それで本日はどういったお話を?」


俺は用意された紅茶を口にして一呼吸開けてから今日ここに来た理由を話す


「はい、税率についてなんですが」


「税率ですか?」


「はい、じゃあアーニャ任せるよ」



伝家の宝刀「他人任せ」の発動である

というかね、俺が説明するよりやっぱりアーニャが説明する方がわかりやすいしいいんだよ



そしてアーニャが正確にかつ短めに理解して欲しい要点をしっかりついて説明をしてくれる



「ふむ、商人の税率のみ変化させず5割のままということですか...」


「はい、やはり商人の皆様からの税収がうちの領地の財政を賄っていますからね。それでその代わりとして」


「その代わりとして特権制度をつくると」


「そういうことですね」


まぁ俺が適当に特権でも作ればいいんじゃね?みたいな意見をアーニャが細かく設定してくれたんだけど


ちなみに今回は考えた特権制度の主な内容は


1.アーレンハルト侯爵家の領地のおいて権利を持たぬものは商売ができない


2.新たな発明した技術や商品の利権はその製造元または販売者にのみ利権を有することを認める


の2つである。まぁもっと細かい内容もあるんだけど概ね、この二つが1番大事なのであろう


まぁ簡単に言っちゃえば独占権を認めるってことだよね


日本史で習った株仲間みたいな制度でもいいかなとか思ったけど、あれは人口規模が違いすぎるしあまり意味無いだろう


この独占権で本当に商人たちが納得するか俺としては不安なんだけど、アーニャが大丈夫って言ってたし大丈夫なんだろう



「本当にこの権利をお認めになさるのですか?」


「そうですね、別に技術の独占をされたって儲けが出ればうちの領地にも回ってきますしね」


「確かにそれはそうですな...」


今エドさんの中で損得勘定をしているところなのだろう。というか多分エドさんのところの利益が爆上がりして、他の商人たちに影響が及ぶ心配とかしてる気がするだけど


「もし新たな商品を売り出したら本当に独占を認めるのですか?」


「はい、それをうちの領地の特産品にしてもいいですしね」


今うちの領地が欲しいのは、うちの領地の特産品だ。正直目立つものがないので外の商人からの仕入れなどがあまり多くないのが現状であり


「そうですか...それはちょっと困りましたな...」


「えっと...何か問題でも...?」


「い、いえ!この権利は大変嬉しいのですが...これが認められるとうちがかなり儲かってしまうんですよ」


まぁそりゃそうだろうね、街で1番でかい店だし


「えっと...まぁエドさんのお店が1番大きいですし、それは当たり前なんじゃ?」


「いえ!そういうことでもなくて、あのですね、最近うちによくカトレアさんが来てですね......」


「カトレアが?......まさか?」


「はい、カトレアさんが色々とうちの店に色々な魔道具を見せに店に来てくれるのですよ。何個かうちでは販売を始めてて、最近もサスペンションなる揺れない馬車の部品見せていただき大変驚きました」


カトレアってそんなことしてたのか......

基本的にみんな自由に過ごしてるからぶっちゃけ何してるかとかイマイチ把握できてないんだよね


確かにこの前カトレアはお小遣い稼ぎしてるとか言ってたけど、利権とか考えるとお小遣いとは言えないほどの利益が出そうなんだけど


というか確かにそれはまずいかもな...

カトレアが発明したものをエドさんの店で販売することになると、マジでエドさんの店だけがありえないほど儲かる可能性もあるな


うーん、でもカトレアの技術はこの街に普及して欲しいわけでもあるしどうするべきか...


「あのアレウス様、すいません、私にも説明をしていただけないでしょうか?」


「あぁ、そうだな。まぁ簡単に話すとだなーー」


カトレアのことをよく知らないアーニャにカトレアとはどんな人物でなぜ俺とエドさんが困ってるかを説明する



「そういうことでしたか、それなら共同開発という形にしてみればいいんじゃないですか?」


うむ、共同開発か確かにそれなら利権の分散はできるかもしれないな。それにこの街の技術向上にも繋がる気がする


「確かにそれはいいな、エドさんはどう思われますか?」


「はい、それなら私のところだけに権利が集中しないで済みますしいいかと思われます」


「えっとそれじゃあこれで特に問題はないですし、商人方々にはそれで納得してもらう方向でいいんですかね?」


「はい、商人とは利にさとい者達ですから、この権利に食いつくはずです。私の方から通達しておきますので任せてください」


「わかりました、共同開発についてはカトレアに俺から話しておくので任せてください」


「はい、カトレアさんには結構お世話になっていますからね。よろしく伝えておいてください」



「わかりました。それとこれはまだ先のことになるかもしれないんですけどエドさんに相談したいことがあって」


「ほう、相談ですか、いったいなんでしょうか?」


「いえ、エドさんに人材の紹介とかしてもらえないかなと思いまして、または特定の特徴を持った奴隷を俺に紹介してもらえるかなと」


「特定の特徴とは?」


「そうですね、教養があって落ち着きのあるタイプですかね」


「ふむ......それは教師といった類の者達でしょうか?」



「まぁそうですね、いつか学校をこの街に作りたいなと思ってましてね、その職員となる人材をどうしようかと思っていまして」


「学校をですか?」


「はい、まだまだ領地の経営が安定するまではどうすることもできませんが、いつか作れたらなと思っていました」


これは俺の考えている俺の領地経営のゴールの一つであろう。未来の人材の育成、まぁあと本音でいっちゃうとアンとレアと同年代の子たちともっと触れ合えるようにしたいって言うのもあるんだけどね


あいつら狼とばっか遊んでるし、友達いるのか心配になってきたんだよね

まぁあの2人だったらすぐ出来るだろうけどさ


「そうでございますか、わかりました。このエド、商人の誇りにかけて探してみるとしてみましょう」


「本当ですか?ありがとうございます」


「はい、この街の未来のために私も何かしてみたいですからね。頑張らせていただきます!!」


この街の未来か


まだまだどうなるかわからないし、この政策が失敗する可能性もあるからちょっと怖いところもあるんだけど、いい方向に向かっていってくれると嬉しいよ


そういって俺とエドさんは硬い握手を交わして話し合いは終了した

お読みいただきありがとうございます

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