真のドSとファントムウルフ
よろしくお願いします
前回のあらすじ
ミラの故郷の村に来ました。
村へと入ると俺たちはしばらく畑に囲まれたあぜ道を歩く
畑では耕作をしている村人がいて俺たちのことを興味深く眺めている
時々手を振ってくる子供たちがいたので俺もそれに答える
「アーニャ、この辺では何が取れるんだっけ」
「はい、ここら辺ではクロイモなどがよく栽培されてますね」
俺は村に入って先に来ていたアーニャと合流して、そんなことを会話しながら
ちなみにうちの娘さんたちは
「じゃあ私たち、ミラの家いってるから!」
とカトレアが俺にそれだけ言い残してみんないっててしまった
まぁ彼女らにしてみれば俺についてきても、つまらないだけだから別にいいんだけど
「ふふふ、向こうの方ではおコメも作ってますよ」
エルザさんが俺たちの会話を聞いて、そんなことも教えてくれる
「もしかして田んぼがあるんですか?」
「はい、ありますよ。昔の勇者様がこの国に伝えられたと言われており、昔から作っております」
さすが勇者だ、いい仕事をするじゃないか
最初異世界に米があることにはかなり驚いたが、別にこの世界でも普通に米は常食らしい
その後もしばらく歩き、畑に囲まれた道を抜けると建物が並ぶところに出る
そしてそこは俺が想像していた村とはかなり違っていた
村の広さは結構広いし(もちろん畑なども含めてるが)
街に比べると建物は大きくはないが木造のしっかりしている家が多いし、着ている服だって別にみすぼらしいものではなく質素で感じのいい服を来ている
これはアーニャに聞いた話なんだが基本的に村全体で色々なものを作ったり、供給したりしているらしい
税を農産物で収める理由は街からでは通貨しか納められていないのでそういった物も必要だからなんとか
まぁ小難しい話はアーニャに任せよう
俺はちょっと横からアイデアは出したりするくらいでいいんだ、なんて楽なお仕事でしょうか
(それは実質何もしてないってことですよね?)
いや、やることはやっている適材適所だよ、適材適所。
そんなこんなで俺たちは周りの家屋より少し大きめの建物につく
「ここが村の役場となっております。中で村長が待ってるいるので入りましょう」
俺とアーニャはエルザさんに従って、役場に入り
エルザさんは受け付けでなにか話し、しばらくすると1人の女性を連れてこちらに戻ってくる
「アレウスさん、あとはここで働いている私の妹のミルザに任せてますので」
そう言ってエルザさんと一緒にやってきた女性を紹介する
それにしてもエルザさんの妹か、すなわちミラの叔母にあたる人か
エルザさんは30代後半らしいけど妹のミルザさんは多めに見ても30過ぎてるか過ぎてないかくらいにしか見えないんだけど
「妹さんですか...」
「ふふふ、エルザとミルザは少し私と歳が離れてますから。ミルザは今年で27ですよ」
え、若すぎるだろ!
下手したらミラと姉妹といっても別に不思議に思えないくらいだ
「そうでか、俺の名前はアレウス・アーレンハルトと申します。今日はよろしくお願いします」
俺は、驚きのあまり語尾は敬語なのに一人称はいつも通りという訳のわからない自己紹介をしてしまった
「はい、姉やミラからは話は聞いてますよ。姉のエルザと姪のミラを助けてくれてありがとうございます」
このお礼は多分、ガストンに捕まった時のことを言っているのだろう
「いえいえ、当たり前のことをしたまでですから」
「ふふふ、あのときミルザは大泣きして大変だったわねぇ、それにミラの話を聞いて「どこの馬の骨」とかも言ってた気がしたかしら」
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!」
エルザさんがいつものウフフな笑顔でミルザさんをからかっている
というかミルザさんは素が出てしまっている
なんというかエルザさんにいじられているミラにそっくりというか、ミラとミルザさんは同じ苦労を味わっているんだなと思った
「あら、だってミルザ「私の姪であり、妹でもでもあるミラを!きぃーー、どこの男よ、ぶっ飛ばしてやるわ!」とか言ってなかったかしら」
「そんなこと...!......確かに言ったかもしれないけど......まさか領主様だと思わなかったし、お姉ちゃんやミラのこと救ってくれた人のことだとも思わなかったから」
あー、うん、俺そんなこと言われてたのか
まぁなんというかミラは愛されてるみたいだね
「うふふ、ほらアレウスさんがここにいるんだし言っていた通り1発お見舞いしてあげたらどうかしら?」
エルザがいい笑顔でそんなことを言うけど
なんか薄々感じてたけど多分この人かなりドSだ
アーニャのことSとか言ってたけど、アーニャ真面目なだけで、エルザさんは生粋のドSな感じがする。なんというか、うん、そそるな
(はぁ...アレウスさんはロリコンでドMだとは...)
別にそんな性癖を持ち合わせているつもりは全くないし、それはどう考えてもエリーナの言いがかりな気がする
俺に攻められたい欲求なんて存在しない、絶対。
「も、もう!ほんとにやめてってば!禁止!それ話すの禁止!!」
「うふふ、もうあなたのそういうところがなかったらすぐにお嫁にいけるのに」
「そ、それは関係ないでしょう!!」
なんというかエルザさんの妹イジリが止まらない、ていうかこの関係がずっと続いていると思うとミルザさんに少し同情しそうになってくる
エルザさんに口じゃ勝てる気がしない
「ご、ゴホンっ!すいません、エルザさん、そろそろ村長のところに」
俺より先にアーニャが我慢出来なくなり声を上げる
まぁあのままほっとくわけにもいかないし、このあとも他の村に行く予定もあるから、ちゃっちゃと終わらせないといけないしな
「あらごめんなさい、では私は家の方に戻りますね。ミラたちには少ししたらこちらに向かうように伝えておきますので」
「はい、ありがとうございます。それじゃ頼みます」
「うふふ、アレウスさん今度は1人でうちに来てくれてもいいからね?」
この人全く懲りないな、正直この場にミラがいなくて本当によかったと思うよ
そしてエルザさんが役場を出ていく
「え、えーと......じゃあミルザさんお願いします」
「あ、は、はい!すぐに案内します!えっと...その...さっきの話は...」
「別に気にしてませんから、ミラが大事にされてるとわかったので別にいいですよ」
「そ、そうですか...では案内しますね」
ミルザさんはほっとした様子で俺たちを案内する
なんというかエルザさん、ある意味俺が勝てない人の1人な気がしてきた
ミラもあの血をついていると思うと少しゾッとしたのは内緒の話である
◇
「えっと...それでは最近モンスターによる被害が減っていると」
「そうですね、最近かなりなくなってきました。そのおかげで今年の収穫率はかなり上がりそうですよ」
俺は今この村の村長さんのアントンさんと話をしている
ちなみに今は最近の村についての話だ
「はい、毎年モンスターにより被害がそれなりにあるのですが、今月は全然ありませんね。この村の警備を依頼した冒険者さんによると一匹の銀狼と黒い狼の集団が魔物を狩っていたとかなんとか」
うん、心当たりがありすぎる。多分その銀狼はシルのことで、黒い狼は以前シルが連れてきたというシャドーウルフたちだろう
なんかシルが村の近くの魔物を排除したとかなんとか言ってた気もするし
とりあえずシルにはあとでお礼を言っておかないとな
「そうですか、それはよかったです。それでこれからの税のことなんですが...」
そして俺は話すべき本題に入るためにアーニャに合図を送る
なぜなら説明をするのはアーニャだから!!
(ほんとに何もしないんですね)
いや、だって細かいところを決めたのはアーニャだし、俺が話しても質問とかされてもうまく答えられない気がするし
俺のそんな言い訳をよそにアーニャがテキパキと説明をしてくれる
「それではこれからは税率が下がると」
「はい、これは領主アレウス様による提案です」
「アレウス様、ほんとによろしいのですか?かなりの削減になってしまうのですが」
「いえいえ、別に構いませんよ。領地を経営出来るぶんだけ税を集められばいいんですから、俺は別にお金はいりませんし」
「アレウス様......」
なんかアントンさんの目がうるうるしてる気がするけど、まぁなんだろうかこれは了承してくれたということだろうか
実際金ならくさるほどあるから、俺から領地の財政のために金を出してもいいくらいだ
という出す気がするけど
「まぁそのかわりといってはなんですが、俺が困ったことがあったら力を貸してください」
「わ、わかりました!このアントン!いや、このカルルカ村!新たな領主アレウス様に忠誠を誓わせていただきます!」
んー、なんだろうかこの反応
まぁ力になってくれるならいいんだけど
今いろいろと考えていることがいっぱいあるからその時にでも力になってもらおうか
人手とかそれなりに欲しそうな計画とかも考えてるし
チラリとアーニャの方をみると、こうなることはわかってましたというような余裕の表情を浮かべている
あとでアーニャに説明してもらったところ
以前の税率では生活が結構苦しかったということらしい。
まぁ魔物の被害も出る中でね、農業やるって結構大変そうだし、何年かに1回は全く取れなかった年もあるとかなんとか
それで今回の税率になれば両手を上げて喜ぶのは当然の話だということだ
まぁなんだ、あの反応をされたのも納得がいったよ
その後も色々と今後のことを話し、他の村にも行くということで話を切り上げることにした
「村の出口までお送りしますぞ」
そう言ってわざわざ俺を見送るためについてきてくれる
なんというかそこまでしてくれなくてもいいんだが、好意は受け取っておくべきだろう
◇
「なんか騒がしいですな」
再び畑に挟まれた道を歩いているとちょっと離れたところで人が集まっている、確かになんかの騒ぎだろうか
集まっている人々はみんな農作業をする服を着ているのでここら辺で作業をしていた人たちだろう
「カザックよ、一体どうしたんだ」
「村長!いや、モンスターが出ましてね」
「なんだと!それは大丈夫か!」
「へぇ、見てもらえばわかりますぜ。村長がきた!少しどけてくれ!!」
そういって村長が話しかけたカザックという青年が俺たちにも見えるように人をどけてくれる
そして開かれた先をよく見ると
「ローガちゃん、やっちゃって!」
「倒しちゃうです!」
『御意。』
騒ぎの中心にはアンとレア、そして以前見たシャドーウルフより大きな狼がでかいイノシシを相手している
というかあのシャドーウルフ今喋ってなかったか??
そして一瞬でシャドーウルフがでかい猪を瞬殺する
それを見て周りにいた農民たちが喝采をあげる
「ローガちゃんお疲れ!」
「流石です!」
『姫たちの命令に従ったまでです』
うん、やっぱりあの狼が喋ってるよね
俺は気になって鑑定をかけると
ファントムウルフ(ローガ)
名前を見る限りシャドーウルフの上位互換のようなモンスターだろうか?
それにしてもシルは別してモンスターって喋れるものだろうか
「アン、レア!!」
「あ、お兄ちゃん!!」
「お兄ちゃんです!!」
俺が2人を呼ぶと、2人はこちらに気がついてやってくる。もちろんファントムウルフも一緒にだ
アーニャとアントンさんがびっくりしているが、さっきの光景を見て襲われることはないとわかったのか逃げたりはしていない
「どうして2人がここにいるんだ?」
「うん!お兄ちゃんに伝言伝えようとしてたら」
「突然大きな猪が出たからローガを呼んだです」
「ローガってのはこのファントムウルフのことか?」
俺はそうそってアンとレアについてきたファントムウルフに視線を送る
「うん!ほらローガちゃん自己紹介して!」
『御意、お初お目にかかります王よ。私はシャドーウルフの群れのリーダー、ローガと申します。』
うん、なんというかとても礼儀正しい狼さんだね。それに王というのは俺のことか?
「あ、えーと俺はアレウスだ。それで王というのは俺のことか?」
『はい、我が主シル様が仕える王、それがアレウス様でございます。私はシル様より姫たちの護衛を任されておりました』
「えへへ〜お姫様〜」
「お姫様です〜」
アンとレアがお姫様と呼ばれ身をくねられせて喜んでいる
「えっと、まぁそのよろしく頼むな」
『はっ!王のためにこれからも精進させていただきます!』
うーん、これはあとでシルに聞いてみた方がいいだろうな。あいつならなんか事情知ってるだろうし
「えっと、そのアレウス様これは...」
「あ、あぁすまない、こいつなら安全だから大丈夫だ。そのなんだ俺の眷属というか、まぁペットみたいなものだ」
「アレウス様はモンスターテイマーのスキルもお持ちなのですか?」
モンスターテイマー?そんな職業というかスキルがあるんのだろうか?まぁ確かにこの世界だったらそんなスキルがあってもおかしくないと思うんだけど
「まぁそんなものです。だから大丈夫ですよ」
まぁ誤解されてるけど今回はその誤解を利用させてもらおう
そして俺はこの機会にちょうどいいと思い、思いつき半分でこの村の護衛としてシャドーウルフを数匹置くことを提案してみた
今回の件で村人達にはかなりいい印象を持たれたのでアントンさんは村の者達で話し合って決めてみますと答えてくれた
まぁ別に断られてもいいんだが、シャドーウルフたちがいた方が安全だし、了承してくれるといいんだけど
ちなみにローガはいつものアンとレアの影に潜って入れるらしく、2人の影に潜ってどっかに行ってしまった
何でも固有スキルの「影渡り」だとか、なんとか、とりあえずかっこいいなと思ったのは内緒だ
こんなちょっとしたトラブルというかサプライズというかイベントが起こったがその後も各村に赴いて、カルルカ村の時と同様の話をして、同様の反応を得て、とりあえず今日の仕事は終わった
なんというかオフィシャル的な問題がひとつひとつ解決していく一方でプライベート方で色々と疲れることが起こってる気がするのは気のせいには感じられなくなってきた今日このごろである
お読みいただきありがとうございます
修正報告です
・ミラの第1章のパワーレベリングの期間を2ヶ月にしました。流石に1週間でレベルを100上げたのはおかしいなと感じてたので変更しました
・ミラとカトレアの「隠蔽」スキルをなくしました
第1章などは色々な変更しているのでもし時間があったら第1章を読み直していただけるとありがたいです。初投稿の時より結構改稿したのでそれなりに読めるものにはなっていると思います
これからもよろしくお願いします




