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めんどくさがりの平日

書き散らしていく所存。



 めんどくさい。


 何かやるのがひどく億劫でダルい。一々申し付けられる用事をこなすのがダルい。家の手伝いとか。買い物とか。学校に行くのもダルい。出席日数計算してんなら自由登校制にすりゃいいのにね。もうね、体動かすのもダルい。深く考え事して頭働かせんのもダルい。ダルくて、たるくて、めんどくて、生きるのって大変だよな?


 そんなダルさを極めし俺が一番ダルいと思っているのが、


「にぃーちゃん! 起きろって! 母さんが朝飯どうするかって」


 ……朝起きるのがダルい。


「ぅぅぅう」


 唸り声を上げる俺。


 よく「あと五分」とか言うの聞くけど、あれ嘘な。意識覚醒してっから。自分の中で予定立ててっから。まだ間に合う的な。

 本物のめんどくさがりはその後の事を考えないよ? だから俺はそのまま二度寝を開始する。みんな朝の眠気にどうやって勝つんだろね?


「もう〜。またかよ! 学校遅刻してもいいのかよ! 俺ももう朝練あるから行かなきゃなんねーんだけど!!」


 いいよ。


 再び深い(重要)眠りにつこうとした俺の布団を弟が剥ぐ。

 布団をそのまま部屋の隅に投げ捨てて、弟が部屋を出て行く。


 ……遠い、遠いよ。せめてベッドの脇に置くとか足元に纏めるとか優しさがあってもいいんじゃないか? 弟よ。

 仕方なくゆっくり起き上がる。が、そのまましばらくボーっとして意識が目覚めるのを待つ。布団を取りに行くとか面倒なことはしない。


 ――三十分後。


 漸く体を起こし時計を見る。


 いつも通りギリギリだな。朝飯はいいや、めんどい。コーヒーだけ飲みたいな。狂おしい程甘い奴。


 わざわざ下に行って、また学校の準備のため上に上がるのが面倒なので、いつも通り部屋着の上から学校指定のブレザーを着て、空のカバンを掴んで部屋を出る。


 ああ、いつになったら何処でも行けるドアができるんだろうか? もしくは瞬間移動。覚えるのはめんどいから覚えた奴が俺を送ってくれ。


 台所のドアを開けると母親が食器を洗っていた。


「おはよう。けん君がお兄ちゃん朝ご飯いらないっていうから作ってないけど……どうする?」


 けん君とは弟のことだ。……あいつめ。返事はしなかったというのに。


「いや、いらない。コーヒーだけくれ」


 俺は空いてる椅子に座った。


 それにしても学校ダルいな。家の隣にあればいいのに。あと週三にして。秋休みも作ってください。なんで秋だけないんだよ。秋、可哀想だろ秋。

 そんなことをボンヤリ考えながらコーヒーを啜っていると、姉が台所に入ってきた。


「お母さ〜ん。あたしも……朝ご飯……食べる〜」


 ……かゆ、うま。とか言いそうな姉はそのまま俺の隣で突っ伏した。


 いいよなー大学生。朝遅くても起こされないし。起きてこなくても起こされないし。早くなりたいなー大学生。そしたら毎日起きてこないのにね?


「……あんた、……なんでまだ家に入るの?」


 うるさいな。今からいくよ。


「ごちそうさまー。いってきまーす」


 俺は姉に構わず立ち上がった。


「はーい。いってらっしゃい」


「……いってら〜」


 俺は母さんとゾンビに手を振ると家を出た。着替えからここまでのタイムは十分。俺のコストパフォーマンスが留まる所をしらないよ。マジで。







 俺の家から学校までは徒歩十五分だが、自転車なら五分。当然自転車。自転車通勤する人は学校に申し込んで自転車にステッカーを貼らなきゃならない。めんどくさいので勝手に乗ってる。学校の駐輪場では、毎日ステッカーの有無を教師が見てる上に三ヶ月置きに自転車の点検やらがある。暇か。見つかれば当然怒られるしペナルティーがある。だから俺は学校の近くのアパートの駐輪場に自転車を突っ込んでる。叔父が住んでるのだ。便利。


 学校に着くまで同じ学校の奴に会うことは少ない。遅刻ギリギリだしね。道幅一杯に広がって歩いてんのイラッとするしね。やっぱり遅く行くほうがいいよね。


 俺が下駄箱に着くとチャイムが鳴った。大体いつもこの辺で鳴る。学校着いた時や教室に入った直後ぐらいの誤差だ。

 出席番号が遅いので少し遅れても出欠には間に合う。担任はいい顔をしない。当然ですね。ごめんなさい。


 出欠が終わると周りはガヤガヤと友達と話したり授業の準備をしたり。

 俺も授業の準備をする。友達? いませんけど?。人間関係とかめんどいので。作らないだけっ、とか言いませんけどね。普通にできないだけッスわ。


 勿論学内カーストとやらも最底辺でFA。つーか最高ランクの人も知らん。興味ないからなぁー。多分あの辺? 声デカいから。昔のカラオケの点数の付け方と同じ。



 そんな俺の授業態度は意外と真面目。他にやることないからずっと黒板見てる。あの、先生? 見えてますよ? 顔の前で手を振るのは止めてくれますか?

 ノートは一冊。全教科通して使ってます。ワォべんりー。見せてって言われることもないしね。


 ……一応言っとくが、イジメに会ってるわけじゃない。話しかけられたら応えるし、授業の変更とか教えてもらったりするので。ぼっちって言われたらそうだね。コミュ障って言われたらノーで。どもったりしないよ? 人と接点もつのがめんどいだけで。



 昼休みは一人で食べる。大抵学食なんだが、偶にパン。余った時間は寝たり本読んだり。

 本読む時は図書室に。


 図書室に行くのはたるいんだが、教室で本読んでるとたま〜に声を掛けられたりするんだ。端的に返事をしてたら、感じ悪い奴になっちゃうじゃん?


 午後になったら俺のテンションは若干上がる。


 もうすぐ帰れるしね! 一日で一番楽しい時間だよ! 部活? なにそれ? 食えんの?





 放課後に、なったよー!!


 鞄を引っ掴んで教室を出る。


 特に急いでるわけじゃないんだが、一番。なんでかな? あー、席近いもんね。納得。


「あの。や、ヤガミ君?」


 新世界の神じゃないよ? 俺の名字。


「何?」


 用事は端的に要点まとめて言ってね? 俺も暇で忙しいから。のんべんだらりが俺を待ってる。

 俺に声を掛けてきたのは、同じクラスのロリっ子。身長が頭一つ分俺より低いツインテ。名前? ……自分の事よく知らない奴が名前知ってたら怖いよね? だから知らないだけ。……え? ヤダこの子コワイ。


「あ、あの、ね」


 下を向いてモゴモゴ言うロリっ子。


  ……なんだろうー? 告白かなー? 衆人環視度がすげえよ。そろそろいたたまれなさがマックス。


「今日ね、当番なの。……あたしと……ヤガミ君」


 …………あ〜。そういやそうだね。当番でした。

 この当番というのは、日直とかゴミ捨てじゃない。ていうか朝から何もしてねーよ。そこまでヒドい奴じゃねーよ。

 図書当番の事だ。俺図書委員。


 各学年七クラスの我が校は図書委員総勢四十二名。各クラスに男女一人ずつ。持ち回りで放課後カウンター係をやる。大体二カ月に一回ペース。計算がおかしい? 一週間に二回閉鎖してんだよ。


 俺は楽そうなのでやることにしたが、女子は確か推薦。交代でやればめっちゃ楽なのにね。男子が先に決まったからね。大丈夫、泣かない。


「俺だけでやろうか?」


 沈黙が厳しいからね。そして、次は貴様だけでやれ。友達呼んでキャッキャウフフとな! 双方に損がないよ! なんてお得なんだ!


「えっ? だ、大丈夫だよ。一緒にやるよ!」


 ……なん……だと?!


「あっ! かっ鞄取ってくるね。ちょっと待っててね」


 一緒に行くの?! なんだよそれなんの拷問? ここが小学校ならからかわれる事必死。……行っちゃうし。待っとくか? 先行くか? DEATHorDIE。 死亡フラグばっかだよ処理しきれねーよ!






 意外と大丈夫です。


 図書室行くまでは微妙に距離空いて少し気まずい感じ。

 でも図書室着いたら別々の仕事。一人はカウンター。一人は返却本を本棚に戻す。

 レディファーストでね、どっちやるか聞いたら、返却本。……え?


 オチが見えてるんだが、何これ? 未来が見えちゃうとか人生勝ち組過ぎる。おっと貸し出しだ。


 我が校では図書カードは無いよ? 全部パソコン。

 生徒手帳と貸し出し本をカウンターで出して、本のタイトルと生徒手帳の名前をパソコンに記入。出てきたレシート見たいなのを生徒手帳に挟んで本と一緒に相手に渡す。返す時はレシートがあれば借りた本人じゃなくてもOK。レシートなくしても本人が来てればOK。ありがとうございました〜。


 顔を戻すとロリ子が踏み台の上でプルプルしていた。……ですよねー。届きませんよねー。


 俺は起こるべく未来を変えるため動き出した。


「上やるわ」


「えっ?! あ、う、うん。……あり、ありがとう」


 転んで怪我したら大変だしね。ギリギリ受け止めても、うわっ最悪〜な顔されたら涙を止めるのは無理だよ? 明日学校休みます。「……あ。でも……」


 ロリ子がカウンターを見る。


「あー、大丈夫大丈夫。今、図書室俺ら以外いねーから」


「……そっそうなんだ。良かった……」


 ロリ子が俺から少し離れた。違うよ? 分担してるからダヨ。まだだ! まだ殺られはせんよ! ……俺の涙腺は必死に戦ってた。


「やっ、ヤガミ君ってさ」


 沈黙に耐えきれなくなったのかロリ子が話し掛けてきた。


「ん?」


「あっ、あの」


「すいませーん。返却ー」


 いつの間にかカウンターの前に男子が。忍の者かよ。


「届かん所のは置いといて」


「……うん。ありがとう」



 少し悄げてるロリ子。うん。会話バッサリだったからね。上忍クラスだな、あいつ。


 返却はレシートをピッして本のタイトルを確認するだけ。顔を上げたら閉まっていく図書室の扉が見えた。……火影レベルだったよ。


 その後ぼちぼち客(?)が来て、先生がもう閉めるからいいよーと言ったので解散になった。

 ロリ子にはお迎えが来ていて、ロリ子に「お疲れ」と言って先に図書室を出た。……友達呼ばないとか、ロリ子真面目。おかげで俺のライフもそんなに減らなかったよ。






 家に! 帰って! きたよー!! フハハハハハハ!


 拘束具(制服)を解くと俺は覚醒(就寝)した。

 嗚呼。なんて君(枕)は魅力的なんだ。思わず深い口づけを交わしてしまうよ(うつ伏せで寝るのが好きです)




 この後、夕飯まで寝て夕飯食って、風呂、ゲーム。で、また寝る。意外と普通。眠る時間とボーっと時間が少し多いだけだ。現代人って流されてなんぼ。考えんのめんどいしね。


 これが俺の平日。一年だいたい百四十日ぐらいをこうやって過ごしてる。……休むのは問題じゃないよ。セルフコントロールが大事。


 ふー。やれやれ。明日も学校か……ダルいなー…………。

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