目隠し鬼・弐
私が売られたのは、七つの頃。
日々姉さん方の奉仕をし、遊女としての在り方を学ぶ毎日。
あれから数年の月日が流れ、新造となっていた私は、初めてあの方にお会いしたのです。
『目隠し鬼・弐』
今から六年前のこと。
当時十七歳だった私は、新造として姉さん女郎の付き人となり、身の回りの世話に明け暮れていました。
本来なら、突出しがあってもおかしくない年頃ではありましたが、未だ誰からも水揚げされることなく今日日、新造としてお勤めしていたのです。
このままでは誰からも貰われることなく、番頭新造になってしまうのでは?と、思った矢先。
私は、あの方と出会いました。
* * *
その日は、姉さん女郎でもある夕霧太夫の下に、本来ならもう少し遅れてくる筈のお客様が、どうやら早くお越しになったとかで。
急ぎ姉さんが遅れてしまうことを告げるべく、最も豪華な部屋に入ったのがきっかけでした。
橙の灯りが灯された部屋。
ゆらゆらと揺れる怪しい光を受けながら、入室してきた私に視線を向ける美貌の麗人。
「……夕霧は、どうした?」
「あ……、申し訳御座いません。姉さんは、只今他の方と共にすれば、もう暫く……」
危険な香りを伴う男の色香にやられ、一瞬自分のすべきことを忘れてしまいそうになった。
慌てて顔を伏せて言い募れば、
言葉が、途切れる。
「あ、あの……」
いつのまに近付いていたのだろう?
顎を持ち上げられ、綺麗な瞳と視線が絡み合うような錯覚。
「くくっ、そうか。……なるほど」
何がなるほどなのか分からなかったけれど、楽しそうに笑うお客様。
「これは……。夕霧も隠したくなるわけだ」
何を言われているのか分からなくて、困惑してしまう。
結局、何を言えばいいのか分からなくて。
頬に集まる熱をそのままに相手の動きを窺えば、顎にあった手が離れた。
「……明日、覚悟しておけ」
何を……?とは聴けず、次の日。
私の突出しが決まったのです。
『目隠し鬼・弐』 了
……まぁ、かなり俄仕込みの知識のもとで書いたので、色々違うと思います。
それなら、初めから遊郭ネタすんな、って感じなのですが(笑)
それで、色々と言い訳したいことを抜粋。
あやめの太夫付き新造について。
どこで蘇芳と出会わすか悩んだ結果、太夫付きにしました。
それなら、太夫が他のお客にいるとき、代わりとして新造であるあやめが近づけるだろうなと思ったので。
あとは、そうですね。
一人の遊郭に登楼してしまったら、その人以外決して登楼しちゃいけないんですけど、蘇芳にそんな常識通用しません!笑
それと、太夫付なのに、どうして水揚げがなかったのか。
考えるのが面倒だったので、夕霧姉さんのお気に入りで、手放したくなかったってことにしておこうと、そう思うことにしました(投げやり)
だって、私の中でのメインはそこじゃないので。
ああ、それと。
あやめだけ人種が違います。
彼女だけ黄色人種。
それ以外は褐色の肌です。
だもんで、似非日本の、似非遊郭という設定のもと進行しております(`´)キリッ