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覚えられるか馬鹿!⑦

部下・おいら。

フィオナの可愛い部下たち。フィオナだけに忠誠を誓い、愛する。


『部下にとっての……』 


命じられるがままに人を殺すおいらたちに“学”は必要ない。

そんなの分かりきったことだ。

それが正しい。

下手に知能なんてものを身に付けたらお払い箱だ。

それと同時に自分自身の存在意義を失ってしまう。

だから、何も知らないまま、人に命令されたときに人を殺す。

それがおいらたちの役割。それ以上を望むものじゃないって、そう思うしかなかった。

けれど本当は、ずっと羨ましかった。おいらも勉強してみたいって、ずっとそう思ってた。


そんなある日のこと。

家庭教師とお嬢さまがいつものように勉強をしていたときだった。

お嬢様が影の中に身を隠していたおいらの腕を掴むと、その場から引きずり出したのだ。

「……っ!?」

「私一人で勉強するとかほんと、まじでありえないから!!

こうなったらこの子も道連れ!!私一人こんな面倒なことさせられ続けるとか、まじでありえねぇ!!だから、これは決定事項!!で、あんたもいいよね?いいに決まってるよね?問答無用で私と一緒にお勉強。いいよね?」

「……は、ぃ」

「よろしい!てなわけで、この子も私と一緒に勉強するからよろしくね ク ソ 教 師 !!」

「別に僕は構いませんよ?勉強を教える相手が一人から二人に増えようとも僕のお嬢さんへの対応が変わるとも思えませんしね」

「……うぐぅ」


そんなやり取りがおいらの間で交わされた翌日から、お嬢様とおいらを交えた勉強会が始まった。

普段だったら周囲にばれないような位置にいて、お嬢様を遠くから見ているだけだった。

けど、勉強のときは違って、お嬢様と一緒に肩を並べて知識を吸収していく。

楽しかった。本当に楽しかったんだ。

人を殺すことしか知らないおいらには、初めて知る物事があまりにも眩しくて……。


―――嬉しかった。

幸せだと、そう思った。


おいらにこんな経験を与えてくれたお嬢様に感謝してもしきれないくらいに。

お嬢様。おいらは幸せです。

貴女に拾ってもらったことも。おいらたちの寄る辺となってくれたことにも。

そして、こんなおいらに学ぶ楽しさを教えてくれたことも。

全部が全部、貴女から貰った大切なモノ。


お嬢様、貴女はおいらたちにとっての“光”だ。

光があるからこそ、おいらたち“影”は生きられる。

お嬢様のすぐ傍で。


だから、おいらたちの光であり続ける貴女に、絶対の忠誠を―――。


『部下にとっての……』 了

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