覚えられるか馬鹿!⑥
キーワード:追加項目。
近親相姦・百合要素。
お姉ちゃん・わたくし。
妹のことを変態的な意味合いで愛している。
『お姉ちゃんの心配事』
わたしくしの妹は、生まれたときから可愛かったのよ?
あら、信じていないのね貴方。
あーうーって必死に手を伸ばしてくるところとか本当に思わず鼻血が出ちゃうくらい可愛かったもの。
それに、成長してもたどたどしい言葉遣い。
必死にわたくしたちの言葉を覚えようとしているところがいじましくて可愛かったわ。
それなのに、あの家庭教師が来ちゃったものだから、言葉を覚えるようになってしまって……!
あのたどたどしい感じが可愛かったっていうのに!
ああ、心配しないで。あの子は今も可愛いのよ?
けれど、言葉が喋れない方が可愛いじゃない。
言葉が話せないと生活に支障をきたすでしょ?
そうなったらわたくしと仲良くいつまでも一緒に生きていけるじゃない。
子供の頃、その事実に気付いたときは興奮しましたわ。
夜も眠れないほどに。あの子がわたくしだけに縋り生きる。
なんて素敵なのでしょう!
ああ、あの子と一緒に暮らす日々。あの子はどんな声を奏で、わたくしを求めるのか。
その白い肌にわたくしの赤い舌が這い、やめてと懇願することも出来ずにただただ喘ぐだけの妹。
うふふ。想像しただけで興奮しちゃいますわ。
でも、その夢が潰えてしまうのですわ。あの家庭教師の手によって。
しかもあの子ったら、言葉を覚え出して間もない頃に狂戦士を自分の傍に置いてしまうだなんて……!
まぁ、その件に関しては、100歩譲って認めたとしましょう。
けれど、何なのよあの男は……っ!
わたくしに見せつけるようにあの子の手の甲に忠誠を誓うようなキスをしたかと思えば、小さな手にゆっくりとした動作で舐め出して!!
指と指の間に厚みのある赤い舌が這い、皮膚を軽く吸うような音をわざと鳴らして周囲の人間を挑発するような態度。
けれど、わたくしはその挑発に乗ることはなかったのよ?
だって、わたくしは不覚にも目を奪われてしまいましたもの。
あの無駄に色気過多な男にではなく、男の行為にぴくりと小さく肩を震わせ甘い声を漏らすあの子によ。
いいわね、こういうのも。わたくしが組み敷いてもきっとあの子を満足させられない。
それならあの子に助けを求められたり、あの子の痴態を見ているほうがよっぽど愉しくて興奮するわ。
だから、わたくしはあの子たちの行為に口を挟むつもりはないの。
だって、可愛い妹の姿をこの目で焼き付けるほうが楽しいじゃない。
ああ、けれど、最近わたくしどうしてだが殿下に目を付けられているのよね。
帰りが遅くなれば、あの子との時間が減ってしまうというのに。
本当に最悪ですわ。
王子という身分でなければ、即お断りしてやりますのに。
それが出来ないだんて、本当にこの世は不公平ですわ。
しかも、殿下も殿下でわたくしと同じで変態だから、多分同類扱いっていうのかしら?
お仲間が増えたとか思っているみたいなのよ。
そのせいで、あちらから軽々しく話かけてくるものだから、それを見た外野たちからのやっかみが凄いこと、凄いこと。
そんなに殿下とお話したいのなら、変態の森に足を踏み入れてしまえばいいのに。
それはそうと、どうもあの子ったらわたくしが苛められていると思ったみたいで狂戦士を護衛に送り込んでるのよ。
わたくしにとってこの人たちの苛めなんてさほど気にならないのだけども。
でも、わたくしのことを心配しているあの子の心情を想えば、身が震えそうだわ。
なんて優しい子なのかしら、と。
けれど、出来ればあの子には狂戦士どもを送り込んで欲しくなかったわ。
隣にいる殿下が興味を示したみたいなのよ。
これが妹の部下で、しかも近々デビューするって知られたら……。
そう考えただけでも嫌だわ。
あの子から殿下を遠ざけないと。ついでに私もこの変態から離れないとね。
何か、嫌な予感がするのよ。
『お姉ちゃんの心配事』 了