120話 誓約.....不死鳥は灰の中から甦る/121話 誓約.....不死鳥は灰の中から甦る2/122話 誓約.....不死鳥は灰の中から甦る3
次でロストーレ編は終わりです。
ロストーレはクラッド城近郊の港にいた。深く布を被り、カレコシア兵から情報を買っていた。
ロストーレ[スペリアルに?]
カレコシア兵[しーっ....その能力を買われたんだろうな。可哀想に...]
ロストーレ[可哀想?]
カレコシア兵[あそこは独裁国家だ。イモーラル王に過剰な税金を取られている。そしてそれらは[仕掛ける側の兵器]の開発に回される。博士は納得しないだろう]
ロストーレ[何故だ? 開発部門のお偉いさんなら喜んで飛び付く環境だと思うが....]
カレコシア兵[あの人は捕まえた敵のスパイさえ逃がしてしまうほど優しい方なんだ。口は皮肉やだが....彼の目的は強力な軍事技術によって戦争を終わらせるという考え方に基づいてだった。俺達下級兵には優しい方だったよ....]
ロストーレ(意外な反応だったな。殺戮兵器を造った男がね....)
ロストーレはある小屋を訪ねる。
ユアリン[ロストーレか、久し振りじゃあないか]
ロストーレ[ああ....情報を売ってほしいんだが...]
ユアリン[...じつはわしな、ここを離れる事になってんや]
ロストーレ[どうした?]
ユアリン[ジランによる征服が失敗したもんだから奴ら、スペリアルからの兵器の搬入を早めてやがる。こんなあぶねえところとっととずらかるのが殊勝よ]
ロストーレ[そうか...俺が聞きたいのは正にそのスペリアルに入り込む方法なんだがな]
ユアリン[なんと...正気かね?]
ロストーレ[厳しいのは分かってる]
ユアリン[.....ここの港はすでにスペリアルに押さえられた。1日に1度艦船がやってくる。チャンスがあるとすればそこだな]
ロストーレ[奴らの警備体制は?]
ユアリン[レベル...6か]
ロストーレ[当然と言えば当然か....!]
ユアリン[どうする? 行くのか?]
ロストーレ[.....仕方ない。この国の先進的未来においてもあの人の頭脳は必要だ]
ユアリンは奥から何か持ってくる。
ユアリン[拳銃じゃ。弾は4発。やるよ]
ロストーレ[いいのか?]
ユアリン[お前が生きて戻ってくるとは思えん。わしからの手向けじゃよ]
ロストーレ[.....よし]
ロストーレは金を渡す。
ユアリン[こ、こんなに!?]
ロストーレ[拳銃代と逃亡費用ぐらいにはなるだろ? 養生しろよ。じゃあな、ユアリン]
ロストーレは駆け足で出ていく。
ユアリン[バカな男じゃ....死にに行きおった]
11日目の夕方....
ロストーレ港の一角に隠れていた。艦船が入ってきて次々と兵器が出てくる。ロストーレはその裏を通るように移動する。
ロストーレ(ダメか....どうしても厳しいなこの警備体制は)
すると、兵器の運用について説明しているドラッキーがいた。
ロストーレ(幸運か悪運か...)
ロストーレはドラッキーが1人になった時、素早く通りすぎメモを渡す。
ドラッキー[......!]
マニュアルを見るふりをしてメモに目をやる。
[あなたを助けに来ました。私が中に入れるよう計らえませんか?]
ドラッキー[.......]
メモの裏に何やら書き、ロストーレに投げる。
[兵器を暴れさせる事くらいしか出来ん]
ロストーレはOKサインを出す。
ドラッキー[君! 中を調査したい!! いいか]
スペリアル兵[はっ! お願い致します!]
ロストーレ(大事にはされているか)
ドラッキーはライドポリス改の中に入り、すぐ出てくる。
ドラッキー[いいぞ! 少し調整が遅れているな....気を付けたまえ!]
スペリアル兵[はっ!]
スペリアル兵はライドポリス改に乗り、歩いていく。するとライドポリス改が煙を吹き出し暴れる。
スペリアル兵[な、なんだ!?]
スペリアル兵[止めろ止めろー!!]
その混乱の中、ロストーレはスペリアル兵を1人薬で眠らせ、服を剥ぎ取り兵たち中に紛れ込む。
スペリアル兵[よ、よし、止まった!]
ライドポリス改は止まる。
ドラッキー[ふう....]
艦船は出港する。ロストーレは艦船を見て回っていた。
ロストーレ(なんだここは...船のなかが兵器の工場になっている....)
スペリアル兵[おい貴様!!]
ロストーレ[!!]
スペリアル兵[返事はどうしたあーーっ!!]
ロストーレ[はっ! 申し訳ありません!!]
敬礼のポーズをとる。
スペリアル兵[....ここで何をしている?]
ロストーレ[機関室のほうから呼び出されまして...]
スペリアル兵[なに?....何かあったのか?]
ロストーレ[い、いえ、とにかく来てくれと...]
スペリアル兵[.....階級章を見せろ]
ロストーレ(ちっ...)
スペリアル兵[お前は持ち場を離れたんだな? 取り敢えず確認させろ]
ロストーレ(怪しまれている....!! 案外堅物の多い船だな、甘く見ていたか? 階級章は偽造してあるが、この距離では厳しいかも...)
スペリアル兵[早く見せんか!!]
ロストーレは銃に手を回す。
ドラッキー[おい!]
ロストーレ[!!]
ドラッキーが小走りで来る。
ドラッキー[人手がいる!]
スペリアル兵[お前、ドラッキー博士に呼ばれていたのか?]
ロストーレ[そうなんですよ、機関室へと]
ドラッキー[!]
スペリアル兵[何かあったんですか博士?]
ドラッキー[ちょいとエンジンがな! それより時間がない! そいつは船に詳しいからわしが呼んだんじゃ! 借りていくぞ!]
スペリアル兵[はっ! 失礼の無いようにな]
ロストーレ[はっ!]
ロストーレとドラッキーは走り出す。
ロストーレ[助かりました博士]
ドラッキー[ばかが...ウロチョロするんじゃあない。プロなのだろ?]
ロストーレ[面目ありません...どこに向かわれるのです?]
ドラッキー[俺の部屋にはキャメラが仕掛けてある。トイレに行こう]
ロストーレ[し、しかしトイレでは退避可能口が....]
ドラッキー[この艦船ではそこしかない!]
トイレに入る前にロストーレがドラッキーを押さえる。
ロストーレ[腹の痛いふりをして]
ドラッキー[何?]
スペリアル兵が2人トイレから出てくる。
スペリアル兵[どうしました博士?]
ドラッキー[あ、ああ、腹が痛くてな...]
ロストーレ[早く行かせてくれるか?]
スペリアル兵[お、おう、わりい]
ロストーレとドラッキーはトイレに入る。ロストーレはドラッキーの口を押さえる。ロストーレは個室のドアの下をゆっくり見る。
ロストーレ(1人はいっているな...)
個室は3つある。ロストーレはゆっくり誰も入っていないドアを開ける。
ロストーレ[入って]
ロストーレこそっと喋る。ドラッキーは中に入り、ドアを閉める。そしてもう1つの誰も入っていないドアを開け、閉める。そして足音をたてずに入り口のドアを開け、もう一回閉める。
ロストーレ[ああ、もれるなクソッ!]
最初のドアを叩く。中からノックされる。次のドアをノックさせる。もちろん誰もいない為ノックはしてこない。そしてそのドアを開ける。
ロストーレ[す、すいません]
ドアを閉める。そしてドラッキーのいる個室のドアをノックする。
ドラッキー(そういことか....くさい芝居を)
ドラッキーはノックし返す。ロストーレは地団駄を踏みながら[もれる!]を連発する。すると1つめのドア男がタバコを吹かして出てくる。
男[ほらよ]
男はトイレから出ていく。ロストーレはドラッキーの個室へ入り、鍵を閉める。
ドラッキー[で...どう助けてくれるんだね?]
ロストーレ[手短に話します]
ロストーレは自製の地図を広げる。
ドラッキー(この為に回っておったのか)
ロストーレ[この艦船は何故こんなに工場のような設備が?]
ドラッキー[ようなではない。兵器を造りながら現地へ届ける工場艦船だ。今の段階では海上のピンポイントを狙えるような兵器はない。だから効率的な方法をとっている]
ロストーレ[トイレはここで...水陸両用マシンはないですか?]
ドラッキー[ないな。プランはあるがね....]
ロストーレ[ここのライドポリス改はホバリング出来ますよね? それで脱出しようと思ったのですが]
ドラッキー[行き当たりばったりこの間抜けめ! まあ確かに可能ではあるが....]
ロストーレ[ここは駄目だから....え~3分後にここで合流しましょう。俺はこっちのルート、博士はこっちのルートで]
ドラッキー[強硬突破するつもりか?]
ロストーレ[思った以上に統制がとれていました。長居出来ません。ただ]
ドラッキー[何じゃ?]
ロストーレ[わざわざこの艦船に乗ったのはライドポリス改の奪取の為でもあります。あの機体の数はまだ3台程と聞いています。その技術を持って返れるのは嬉しい。海上なら逃げ切れるかもしれません]
ドラッキー[欲はかかんほうがいいぞ]
ロストーレ[有難いお言葉感謝いたします。行きましょう]
2人はトイレを出て別れる。
スペリアル兵[博士! 勝手な行動は慎んでくださいと!]
ドラッキー[腹がやんだんじゃ、どうしようもなかろうて]
ドラッキーはここ数週間でスペリアル兵の信頼を得ていた。その陰には粗悪な兵器事情から解放された兵達の喜びがあった。スペリアル兵が後ろを向いた時、ドラッキーは注射針を兵の首に刺す。
スペリアル兵[う!?]
兵は眠りに入る。ドラッキーは走り出す。ロストーレは兵が警備している部屋に着く。
ロストーレ;元カレコシアの諜報部員。現在はエレジー乗船。エミィとは恋人関係。
ドラッキー.ユリイ;元カレコシアの開発局部長。スペリアルに生活の為行ったが、悩んでいる。
ライドポリス改;ライドポリスの装甲強化、兵装を増やし、海上をホバリング出来るようにした機体。ホバリング使用時の燃費は最悪。