66話 何故俺を助けた?
カレコシアに男性女性の概念はほとんど存在しません。
強いか弱いかです。
翌朝
ウィークス[ナナン]
ナナン[う~ん...何パオライ....!!]
ナナンが目を覚ますとウィークスがナナンの顔をのぞきこんでいた。ナナンはウィークスのベッドに顔をうずめて寝てしまっていた。
ナナン[!!]
ナナンは飛び起きる。
ウィークス[心配してくれるのは嬉しいがよ.....ちゃんと自分のベッドで寝ろよ]
ナナン[さ、最初に言っておくわ!!]
ウィークス[ん?]
ナナン[カレコシアのためだからってだけで....あんたは父さんの仇!! 私以外に殺されることは許さないわ!! 覚えておきなさい!!]
ウィークス[覚えてるよ。よ~くな.......]
ナナン[.....あんた、その傷....あたしの為....]
アコーディーが来る。
アコーディー[どうだ、痛むか?]
ウィークス[いや....助けてもらったんだってな。ありがとう。えーと....]
アコーディー[アコーディーだ。傷が癒えたなら出ていけ。お前からは何か....禍々しい気を感じる]
ウィークス[!]
アコーディーは立ち去ろうとする。
ウィークス[待ってくれ! 何故俺を助けた!? 肌の色が違う俺を!]
アコーディー[私にとっては大地が全てだ。いちいちお前の肌の色など見てはいない]
ウィークスはベッドをぎりっと掴む。
ウィークス[嘘つくんじゃねえ! 俺はあんたらに家族も仲間も殺された!! 大地の色だ!? あんた家族殺された事あんのかよ!? ねえから平気で俺を助ける事が出来たんだ!!]
ナナンがウィークスをビンタするが、ウィークスは気にもとめずアコーディーをにらみ続ける。
嫉妬だった。
アコーディー[言わせてもらおう]
ウィークス[おう! なんでもぶつけてこいよ!!]
アコーディー[カレコシアの住民は私にとって家族だ]
ウィークス[ああ、だろうな!]
アコーディー[家族が他人に危害を加えたから止めた。そして詫びにお前を助けた。それだけだ]
ウィークス[ーー!!]
アコーディー[もういいか? 仕事があるんでな]
アコーディーは立ち去る。
ナナン[あんた最低よ....!!]
ナナンも立ち去る。
ウィークス[!!]
アコーディーの足元から光のようなものが見えた。
ウィークス[.........くそっ!! 俺は...なんだよ、畜生....]
ウィークスはまた横になる。自分が凄く情けなく思えた。
夜
ナナンはスコップを持って鉱山を掘る男たちの元へ訪れる。
ナナン[あのバカを助けてもらったお礼をさせてください!]
ナナンは壁を掘ろうとするが、びくともしない。
ナナン[うっ...]
腕に痛みが走りスコップを落とす。
アコーディー[見ろここの奴等を]
男たちが一生懸命壁を崩している。
アコーディー[握り飯でいい、こさらえてくれ。後、水も頼む]
ナナン[い、嫌です! 女だからといってなめないでください!!]
アコーディー[なら出ていけ。仕事の邪魔になる]
アコーディーはまた壁を堀始める。
ナナン[くっ....]
ナナンは握り飯を作っていた。
ナナン(屈辱だ....しかしカレコシアは恩義に報いる国。耐える、絶対に。あんなチンピラ兵士やネカロパとは私は違う!!)
鐘が鳴り作業員達が集まってくる。
作業員[おお...飯が用意してあるぞ!]
作業員[ありがとうお嬢ちゃん、助かるよ]
ナナン[お、お嬢ちゃんではない! これでも国に仕える立派な兵士だ!]
誰も聞いていない。作業員達は握り飯を食べる。
ナナン[........]
作業員[おっ....上手いな]
ナナン[そ、そうか! まあ当たり前だな、私が作ったんだからな]
作業員[具はなしか....]
ナナン[グ?]
ナナン[おいウィークス!]
ウィークスはまだ横になっていた。
ナナン[お前もこいよ! みんなで夕食だ]
ウィークス[いいよ俺は....]
ナナンはウィークスの手を引っ張り、起こす。
ウィークス[おい....]
ナナン[あ、い、言っておくがな! お前に死なれると私の立場が...]
ウィークス[分かったって]
ウィークスは少し微笑んだ。