3話 大使
すこし改変してます。
夜ーー ウィークスは火を焚いた。
しばらく炎に照らされるマジスの遺体を眺めた後、人形のような感触となったマジスを持ち上げ、無意識に流れ落ちる涙と共に火葬した。街人はほうっておくつもりだったがーーマジスが少しでも上に行けるように、薪がわりに全部の遺体を火にくべた。
翌日....
ウィークスは血で濡れた街中で目を覚ます。暫くぼーっとして、マジスが居ないことに気がついた。そして、街人の何人かは自分が殺したんじゃないかと思って、泣いた。
ウイークスはあちこちの家から食料を漁った。だが水だけは取る気になれなかった。
ウィークス[よし、いくか...]
ネカロパ[どこへだ]
ウィークス[.......]
不思議と恐れはなかった。自分と会話しているような、奇妙な親近感があった。
ウィークス[カレコシアへだ]
ネカロパ[正気か? たった1人で戦争するつもりか? 我とて今の状態では....]
ウィークス[1ッ発で十分さ。懐に潜り込んで、放てば....]
ネカロパ[どうやって潜り込む]
ウィークス[.......]
ネカロパ[その後はどうする?]
ウィークス[気合いで逃げるさ!]
ネカロパ[ガキが....いいか? 魂を喰らうまでお前に死んでもらっては困る。我は力を貸さんぞ!]
ウィークス[お前に選択権があるのか? 契約して命まで捧げてるんだ。嫌でも従え!!]
ネカロパ[....こざかしい知恵ばかり回りおって]
ウィークス[行くぞ....僕は]
ウィークスは荷物を背負い、北東の村キャリーを目指す。
翌日ーー
ウィークス[はあ....はあ....]
喉が乾く。
ネカロパ[近い村じゃなかったのかアホが! 近くにオアシスでもあれば....]
その時だった。
?[う、うわあああ!]
ウィークス[ーー!]
馬車が襲われていた。兵士と盗賊らしき奴らが戦っている。
兵士[あはああ]
兵士が1人、斧で斬られた。
盗賊[へへ...いけそうだな]
?[た、大使! お逃げください! 持ちそうに....ありませんっ!!]
大使[[しかし...!]
ウィークス[ネカロパ....行くぞ]
ネカロパ[ああ? ほっとけよお前そんなもん、その体で....]
ウィークスは走り出す。
ネカロパ[ちぃっ! 知らんぞワシは!]
赤い宝玉は鎧と化し、ウィークスに瞬時に装着される。
盗賊[ん?]
盗賊の1人がウィークスのボディーで3m程吹っ飛ぶ。
盗賊[何だ!?]
兵士[!?]
ウイークスは馬車へ駆け寄る。
ウィークス[水くれ! 頼む!]
大使は困惑しながらも、その焦りきったウィークス素直にぽっとをわたす。
大使[君は....?]
ウィークスは兜を脱ぎ、水をがぶ飲みする。
ネカロパ[たわけ!! 頭を晒すな!!]
ウィークス[ぶは~...]
盗賊[てめえーーーっ!!]
ウィークス[5人か、問題ねえ!]
兵士[!]
一瞬だった。ウィークスの回転するような連打で5人は一気に吹っ飛び、気絶した。ウィークスの鎧は勝手に外れていき、宝玉に戻る。唖然としていた兵士は倒れている兵士の首を触る。
兵士[駄目か....]
大使は地に降りる。
大使[....君の名を聞かせてくれ]
ウィークス[あ、水飲んじゃった]
兵士[.....]
ウィークスは馬車にのせてもらい、大都市ミストへ向かうこととなった。
大使[私達はカレコシア人の事についてアルファの代表と話し合い、ミストに帰る所だったんだ。君の事も話してもらえるかい?]
ウィークス[.......]
大使[今私は今国の重要機密を君に話した。出来ることなら誠意をもって話してもらいたい]
ウィークスは渋々経緯を話した。
ネカロパ[(けっ....人間ってーのは面倒ないきもんだぜ)]
ウィークス[....つー事だよ]
兵士[命の恩人であるのは感謝するが、この方は一国の地位におるお方だ。もう少し敬意をもって接していただけないか?]
ウィークス[ふん....じいちゃんの才能も分からない凡人になんて目じゃないもん]
兵士[なっ...!]
大使[待て...確かに素晴らしい技術だよ。ミストに戻ったら是非王に紹介させて頂きたいんだが....]
ウィークス[!!.......ま、まあいいよ]
大使[ありがとう。一旦補給にキャニーによろう。お礼は城に戻ったらするよ]
ウィークス[]ウィークスは目をこする。兵士[........]
ウィークスのこどもっぷりも嫌いではないです。