19話 餌
ウィークス[あの....]
ミラウ[ん? 何?]
ウィークス[あのエックスって人もここに....?]
ミラウ[一年いたわね]
ウィークス[1年!?]
ミラウ[あの人は最強を目指しているの。多分あなたの監視を申し出たのもきっと....]
ウィークス[......?]
ミラウ[ごめんなさい邪魔しちゃって。明日も食事を持ってくるから....]
ウィークス[お願いします....]
ミラウは立ち去った。
ウィークス[一年...か。かなうわけないや]
ーーヘランはアルフォ城下町にいた。バーで酒を食らってる。
ヘラン(どうせ失敗したんだ、遅れていってアイッドの初動を送らせてやる。ケガも回復してねえみてえだし...けけ、ざまーみろってんだ)
バーを出て路地裏でタバコを吸っていた時だった。
?[ヘラン]
ヘラン[!]
ヘランの前に布を深く被った女が現れる。
ヘラン(い、いつの間に....)
女[ノッドラ遺跡はどうなった?]
ヘラン[誰か名を名乗ってからにしろ女! だいたい想像つくあーな!]
?[アイッド様の使いだ。質問に答えろ]
ヘラン[.....肌がなんでそんなにカレコシアじゃあねえんだ? 先に答えろ]
?[私はアルフォリア人。ゆえにこうして貴様に会いに来た]
ヘラン[だったらなんでそんなにフードを....]
女はヘランに無線機を渡す。
アイッド[ヘラン、首尾はどうだ?]
ヘラン[な、なんだよ、こんな便利なもんがあるなら先に渡せよ]
アイッド[この次世代型無線機ネクストは私のブルールのみと反応する。オーバルとやらの技術だそうだが私もよく知らん。お前のようにフラフラしているやつには持たせられん]
ヘラン[結構元気になったじゃねーか。で、俺の方は失敗だ。ノッドラには確かにメラノ族がいたが、嗅覚で見極められたよ。しかも奴らのガタイは半端ねえーぞ。あんたでもなくちゃ歯がたたねーなありゃ]
アイッド[それだけ分かれば十分だ。イブに渡せ]
ヘラン[イブ? ああ、この女か?]
ヘランは女に無線機を渡す。何やら話し込んでいる。そして無線機を切る。ヘランはそのまま立ち去ろうとする。
イブ[待て]
ヘラン[あんだよ]
イブ[お前には餌になってもらう]
ヘラン[はあ?(あれ、この女どっかで...)]
ヘランはガクッと膝を着く。
ヘラン[ーー!? なっ....]
イブ[無線機に毒を塗らせてもらった。受け入れて死ね]
イブはヘランに手袋を脱いで投げる。
ヘラン[そ、そだお前....修....!!]
ヘランは意識を失う。
ーーメラノ族[何用だ]
イブ[あなた方が取り逃がした男よ]
イブはヘランを差し出す。
イブ(メラノ族は義理堅い種族....ここね)
メラノ族(カレコシア人ではないか...)
メラノ族はヘランを確認する。
メラノ[感謝する。なぜこの男を知っている?]
イブ[強盗でへまやらかして捕まったときに吐いたのよ。メラノ族との友好関係を構築したいというのが我が国王の願いよ]
メラノ族[.....君は?]
イブ[私はミラ大陸から来ましたウインレイ王の使いの者です。お願いがあって参りました]
メラノ族[その証をお願いしたい。きみの身分を証明してくれ]
イブは偽造した身分証を提示する。
イブ(コイツらの視力で見抜ける代物ではないはずb原始人が....)
メラノ族[.....ついて参れ]
ーー長老[よくぞ遠路はるばるお越しくださった。私がここの長老を勤めさせてもらっているのです]
イブ[お初にお目にかかります。ウインレイ王の使いをしているイブと申します。謁見の機会を叶えて頂き誠に光栄でございます]
長老[して、用件とは何でしょう?]
イブ[はい、率直に言わせていただきます。是非メラノ族の卓越した鍛冶場1ヶ月程見学させていただきたく存じます]
長老[ほう....別に秘伝のタレというわけではないですからな、どうぞ、ご存分に観ていって下さい]
メラノ族[長老、それは....]
長老はこそこそと話す。
長老[わしはウィークス君の言ったことをずっと考えていた。わしらはあれの開発ばかりで戦いは地上の人間にまかせきりじゃ。アルフォリアとミラは和平を結んでいるはず。これを気にわしらが協力の橋渡しをしようではないか]
アーバレスト マガフの目(写本、アーバンイルペ.ヒロイックエルプより抜粋あり)にヘランの記述追加。