207話 炎床(前編)
グローリア[どういう原理かは処置を施した技術者さえ分からなかったそうだ。体温は常時高温を保ちその武力はマシンナリーと化した俺でさえ力負けをする]
カーレント[.....!]
グローリア[奴は一昼夜にして一兵卒から最強の兵となった。その意向を称え、奴にはフランクスヴェールというレーザーを遮断する鎧が与えられた。自惚れか、その反抗的な態度がたたってこんな臭いところにいるがその実力はスペリアルでも5本の指に入るだろうな]
カーレント[よく....分かったよ....]
グローリアはフッと鼻息をならす。
グローリア(上に出ればもうレーザー兵器を持った兵はいない。キャスタリングで逃げるだけだ)
グローリアはカーレントを横目で冷たく見る。
グローリア(お前はエサだカーレント.メディアス。裏切り者には相応しい末路と俺は思う。切にな...)
グローリアはゆっくりとドアを開けていく。
鈍い音を出して開いたドアの向こうの広間には、鮮やかな鎧を纏った男が仁王立ちしている。
赤い霧が体から立ち上っている。
とーーーー
カーレント[!?]
グローリア[うっしゃらあああああーーーーっ!!]
グローリアはカーレントを炎症へ投げつける!
カーレント[グロー....]
そしてグローリアは逆方向へキャスタリングで走り、炎症を通り越して階段まで一直線に走る。
しかし!
炎症[間抜けがあ!!]
炎症は片手でカーレントをガシッと受け止め、もう片方の手で上の取っ手を掴みズドン!!と扉を降ろす。
グローリア[はやっちい!!関係あるかなあああああ!]
グローリアは扉にそのまま体当たりするが、ぶつかり跳ね返る。
グローリア[ならばーーーー!?]
レーザーガンを撃とうとするが、炎症がグローリアの首を掴み持ち上げる。
カーレント[がああああああ!]
炎症はもう片方の手でカーレントの頭を掴んで持ち上げている。
炎症[スペリアルの戦艦を数隻光に変えたと推定されるアース.オブ.ザ.チルドレン....ようこそ豚小屋へ!]
炎症はグローリアを見る。
炎症[特Aクラスに位置するマシンナリーナンバー]
グローリア[かあっ....死ねやああ]
グローリアはレーザーガンを炎症の腹に撃つがレーザーが反射して消し飛ぶ。
炎症は兜の中でニヤリと笑う。
カーレント[あがあああああ!]
炎症[!]
カーレントが僅かに光る。
その瞬間、グローリアが両手で炎症の肘を逆から叩く。
炎症[うっ!?]
一瞬の力が抜けた時、グローリアは炎症に両足をつけ首を掴んでいた腕をはね除け後方に飛ぶ。
が、グローリアが着地する前に炎症はカーレントをグローリアに投げつけてくる。
グローリア[ーーーー!]
よけれた。
よければよかった。
マシンナリーの体なら空中からでもよけれた。
が、グローリアの体は受け止める方を選んだ。
グローリア[っっつう!]
グローリアはガシッとカーレントを受け止める。
両腕からギシギシと火花が散った。
と、同時に炎症が体当たりをしてくる。
ドンッ!と鈍い音が響くと同時に2人は後ろの壁まで吹っ飛びぶつかる。
炎症は監視カメラを見る。
炎症[イモーラル王! よくもこんな所へ私をおとしめてくれたな! よくみているがいい! 今からこの2人をぶち殺す!! イモーラル.ヴォケイショナル! 貴様も近いうちにこうしてやるからな!]
グローリアは失笑する。
グローリア[ぐっ.....イカれたな....自殺行為だ]
炎症[そうかな? 王は強いものが好みなのさ]
グローリア(所詮一夜漬けのガキか。あの男は....)
グローリアは立ち上がる。
グローリア[もうお仕舞いだお前は....俺達と来い! ここを脱出させてやる!]
炎症[ほう....だったら土下座してみな]
ガアーーーーン!!
グローリアのキャスタリングによる体当たりを炎症は全身で受け止める。
グローリア[うおおおおおおおおお!!]
キャスタリングが火花を吹く。
炎症[い、いいパワーを持っている。それでこそ僕のステータスに相応しい!]
炎症はゆっくりグローリアを押し返していく。
グローリア[シュッ]
グローリアは急に左に飛ぶ。
炎症は前方によろける。
炎症[っと!]
炎症は右足を大きく前方に出して踏ん張る。
炎症[だからなんだお嬢ちゃん!?]
大きく開いた股にグローリアはおもいっきり金的を穿つ。
炎症[ちっちっちっ....効かんな]
炎症はゆっくりとグローリアの蹴ってきた足を掴もうとする。
グローリア[かかったな坊や]
炎症[ああ?]
蹴ってた膝から真上にドカン!!と爆発を起こす。
グローリア[火薬のすかしっぺだ!!]
炎症[ちっ....]
炎症は大股開きだったために後ろに大の字で倒れる。
鎧にはヒビが入っていた。
そこへグローリアが乗っかりマウントをとる。
グローリア[もらったなあクソガキ!!]
グローリアはガンガン頭部の兜を殴りつける。
直接的なダメージはないが兜の中で頭が揺れてぶつかり脳震盪を起こす。
グローリア[UOAAAAAAAAAAA!!]
ひとしきり頭を殴ったあと、今度はヒビが入った部分を叩きまくる。
グローリア(いける.....ぶっ壊す!!)
気づいた。
グローリア[おおおお.....あ?]
拳が溶けている。
炎症[.........]
炎症の周りが歪む。
熱.....
炎症の特異な肉体の秘密は熱にある。
熱放射で細胞が変異している。
スペリアルの技術を越えた超常的な域にーーーー
グローリアの股が溶けていく。
まずいーーー
2つの意味であった。
このまま溶けていくのは....そして、このチャンスを逃してしまうのかと!
グローリアは炎症から離れる。
炎症[それがあんたの甘さだああああ!!]
炎症はその鎧の重さからは考えられないスピードでグローリアに水面げりを放つ。
グローリア[いや、この位置がやはりベストだな]
ガシャアンと
ガシャーーーンと膝のみでジャンプして炎症の水面げりをかわし飛ぶ。
グローリア[それいやああああーーーっ!!]
そのままズドンと炎症を上から殴り倒そうとするが、炎症はまだめまいでふらつき、偶然グローリアのパンチをかわす。
炎症[ハ、ハハハ!!]
グローリア[シッ!!]
ふらつく炎症に回しげりを打ち、当たるが炎症は倒れない!
グローリア[!!]
足がほんの僅かに溶けて炎症にくっつく。
炎症[くっ....そっとあああああああ!!]
炎症はその足を掴んでジャイアントスイングを仕掛ける。
グローリア[ーーーーー!?!?!?]
ブンブンとグローリアを回した後壁に投げ飛ばす。
炎症はしゃがみこむ。
炎症[はあはあ....手間かけさせるなクソ大人が....]
グローリア[つっ...う.....]
グローリアの体から火花が出始める。