205話 2人だけのフラワーズ2
カーレント[........]
カーレントは疲れきっていた。
もう、自分でも、スペリアルに情報を吐いてしまうんじゃないかと.....
グローリアは親指を立てる。
グローリア[....上の医療施設にハフの女がいるぞ]
カーレント[!]
カーレントの目が見開く。
グローリア[なん.....と言ったかな。お前の仲間じゃ]
カーレントは足を痙攣させながら立ち上がる。
カーレント[くうっ...くっ....]
グローリアは目を逸らした。
グローリア[次元間移動が出来るハフの女だ。容態も安定しているらしい、近いうちにヴォケイショナル城へ連行されるだろうな。そうなればもう手出しは]
倒れそうになるカーレントを思わずハッとグローリアは支えてしまうが、カーレントはそのままグローリアを壁へと押しつける。
グローリア[おい.....]
カーレント[グラヂュアリに.....何をした....!]
カーレントの淡い瞳に思わずグローリアは言葉を詰まらせた。
カーレント[う]
カーレントは膝をつく。
グローリアは見下ろす。
グローリア(やはり無理か? どちらにしろ俺1人では....)
カーレントはよろよろと立ち上がり、歩き出す。
カーレント[行くぞグローリア....早く案内しろ....]
グローリア[クク....口はまだ達者で安心した。まず言っておくが、ここの兵は全て体内にチップを埋め込まれている。生体反応が消えればすぐに本部が気づく]
カーレント[殺さねえよ....誰も....]
グローリア[....なあ]
カーレント[........]
カーレントはペッと血の唾を吐きグローリアを睨む。
グローリア[分かったよ、いいぜ]
グローリアはカーレントに肩を貸す。
カーレント[こんなに....冷たく...なっちまいやがって]
グローリア[で、更に兵どもは小型のレーザーガンを装備している。通路で出くわしたならまずアウトだ]
カーレント[.....レーザーを奪えばいい]
グローリア[簡単に言うがなカーレント、この先の見張りは2人が巡回している。片方が必ず通路を確認出来るようにな]
カーレント[考えがある......]
グローリアはレーダーを感知する。
グローリア[俺はなカーレント、今でもお前の言っていた事を忠実に実行している。たとえクーラーボックスみたいな体になってもな。俺は仲間を見捨てなかった]
カーレント[じゃあ...俺が頼んだらお前は.....]
グローリア[もういい! やめよう]
カーレント[.........]
グローリア(ちっ....くそっ、何いってんだ俺は今さら)
カーレントを支えたグローリアがしんどそうに歩いてくる。
見張り[ん? グローリア様...? お止まりください!]
見張りがレーザーガンを構える。
グローリア[こいつを上の方へ回せとの命令だ! どけ!]
見張り[いや! そんな報告は受けていません! お戻りを!]
グローリア[貴様.....問答している暇はない! こいつの状態を見ろ!]
カーレント[ハア.......ハア........]
見張りは一粒の汗を流す。
カーレントの影になってグローリアの右腕がよく見えない。
見張り[お戻り下さい!]
グローリアは右腕をかすかに動かす。
見張り[!!]
グローリア[緊急なのだ! 通さねば武力行使に移るぞ!]
見張り[ま、待ってください、分かりました! 今本部に連絡を取って]
グローリア[チルドレンを死なせた責、どう償うつもりだ!]
カーレントは僅かなN.ストリームを立ち上げ、グローリアの右腕が光っているように見せる。
見張り[ひっ!]
グローリア[エリミネートショットだ! だがこんな馬鹿げた事をしている場合ではない!]
見張り[.......わ、分かりました! お通り下さい!]
グローリアはカーレントを支えてゆっくり進む。
見張りの隣まで来たところで、左拳で見張りの顔を吹っ飛ばし、見張りは倒れる。
グローリアはレーザーガンを拾う。
カーレント[大丈夫...なの...か]
グローリア[生体反応はある。手加減はした]
すると吹っ飛んだ見張りを見て、もう1人の見張りが駆けつける。