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202話 ソルの道(前編)/203話 ソルの道(後編)

色々と酷い回です。

内容を変えられるならいっそ皆ハッピーにしてあげたい。

でもきっとこういうのが書きたかったんだと思います。

イプニックがメタルポリスの調整をしているとN.ジェイがやってくる。

ウルズ兵[イプニック様! お客様です!]

N.ジェイはウルズ兵を退けてイプニックの前に立つ。

イプニック[....え~と]

イプニックは苦笑いする。

N.ジェイ[N.ジェイって呼ばれてるわ。あんたがここの現場監督だってね]

イプニック[え、ああ、そうですね]

N.ジェイ[......ウルズヘッドはミラの指揮下に入ったんだって聞いたけど]

イプニック[う~ん....まああちらがわとしてはそのつもりでしょうね]

N.ジェイ[どういう意味よ]

イプニック[我々としては一時的な協戦のつもりです]

N.ジェイ[..........]

N.ジェイは背を向ける。

イプニック[....何か用があったのでは?]

N.ジェイ[ピスを殺した奴等の顔が見たかっただけよ]

イプニック[ピス....?]

N.ジェイ[ウィークスが....ネカロパが暴走したときに代わりに死んだ少年よ]

イプニック[ああ......あの作戦自体に問題はありません。報告によるとその少年は自ずとネカロパの前に立ったと]

N.ジェイ[皆を助けてくれたこと感謝してるわ。あんたらと話すのはそれだけよ]

N.ジェイは歩き去る。

イプニック(やれやれ....長い付き合いになりそうだ)

イプニックは雑巾をバケツに投げ捨てる。


ソルは丘の上でグラヂュアリがあった方角を観ていた。

そこへヴィディとマスカードが来る。

マスカード[ここじゃったかソル君]

ヴィディ[ボケーっと突っ立っとる場合か。さあ、行くぞ]

ソル[先生はどれくらいの患者を視てきましたか?]

マスカード[..........]

ヴィディ[何じゃ急に。まあそうじゃな、ざっと.....数えきれん。ちゅうか覚えとらん]

マスカード[どうかしたのかソル君]

花びらが散ってくる。

ソル[こうまで死者を出して....我々は本当に正しいことをしているのでしょうか?]

マスカード[.......]

マスカードは目を閉じる。

ヴィディ[君はどう思うんじゃ?]

ソル[自分ごときが考えてもどうにもならないのは分かっています。しかしジ.エンドについては真意が分かっていない]

ヴィディ[世界の支配、とかじゃないんか?]

ソル[分かりません。何も分からないうちにN.ストリームに熱せられた若い兵士が死んでゆくのは何とも....]

マスカード[....正義感が強いんじゃな]

ソル[そんなものいくらあったって何の役にもたたないでしょう!]

ソルはマスカードを見る。

ヴィディ[......]

ソル[あの2人だってこんな事には....あいつはチルドレンである事を拒んでいた! 自由にさせてやるべきだったんだ!!]

マスカード[ウーンディッド兄弟か....ソル君、自分を責めるな。誰もが口には出さないが感じておる]

ソル[違う!]

マスカード[ソル君....]

ソル[私のいるべき場所は天じゃあない! 地で水をくみ、分け与えるが人間だ!]

マスカード[それは違うぞソル君。人にはそれぞれ]

ソル[私はこれ以上! 業を受け止める大器はありません!!]

ソルは立ち去る。

ヴィディ[ふむ....チルドレンであることをデュアロに願ったからな。精神的にがたついとるか....後でちょっと視てやろう]

マスカード(いつかこうなることは分かっていた。彼はあまりに純粋過ぎる....忘れて生きられればいいんじゃが)


マスカードが丘から降りてくるとイプニックが話しかけてくる。

イプニック[ドラゴンの件なのですが....]

マスカード[.....ええ]

ついマスカードはため息をついてしまう。

マスカード[失礼! 物資の事ですな?]

イプニック[戦力とならない以上、あの巨体に物資をさきつづけるのは.....]

マスカード[....決断せねばなりませんな]


その夜

ブラックは忽然と姿を消した。

自ら去ったのである。

ブラック(マレー、皆、ウィザを頼む。ウィザを.....)

ブラックは地平の彼方へ消えていった。


翌朝

ヴァイトがマレーを押さえる。

ヴァイト[落ち着け! 子供じゃあないんだろ!? 戻ってくるさ!]

マレー[お前らに分かるかあいつの気持ちが!! 目も声も無くなったんだぞ!? 以前の物資の問題で出ていったに決まっている!]

マスカード[すまんマレー君]

マレー[あ!?]

マスカード[わしが....ブラックに話したんじゃ]

マレーはヴァイトを振り切る。

マレーはマスカードに顔を寄せる。

マレー[なにをだ]

マスカード[.........すまん]

マレーはマスカードの襟を掴む。

アローは抑えようとするヴァイトを止める。

ヴァイト[お前な]

アロー[微妙な問題だ。ここはな....]

マレー[まさかあんた出ていけっつったのか]

マスカードは目を反らしたまま話す。

マスカード[直接的ではないが、ドラゴンに状況を説明した。それがーーー]

マレーは拳を振り上げる。

アロー[マレー!!]

マレーは手を止める。

マレー[くっ....]

マレーはマスカードから手を離して木をおもいっきり殴る。

マレー[死期悟った猫じゃあねえんだぞ!! さんざん使って用がなくなったらポイ捨てかよっ!? あんな状態で......何故まず俺に相談しない!?]

マスカード[君はドラゴンを離さないからだ]

マレー[ああそうさ! あいつの種族を超えた献身的な活躍はもっと称えられていいものだ! 誰だってそう思う!!]

アロー[そういうことじゃないマレー....]

ヴァイト[ちっ....俺はマレーに賛同するぜ。確かに兵達に満足な手当てが行き渡ってねえが、いくらなんでもこんな結末後味が悪すぎる。もっと慎重になるべきだったなマスカードのじいさんよ!]

マスカード[すまない、まさか出ていくとは思わなかったんじゃ。ただ状況を知って欲しい、それだけだったんじゃが....もっと理性的になるべきじゃった。すまん、マレー君、すまん......]

マスカードは土下座する。

マレー[......こんなのあるかよ。ハフはお前らの道具じゃねえんだぞおお!!]

マレーは泣いて叫んだ。


が、しかし現実はーーー

ブラックが居なくなった事で、多くの負傷兵に物質が回るようになった。

彼らはベッドの上で何も知らずに怪我の回復を喜びあった。


そんな負傷兵達の世話をソルはしていた。

ソル(気づくのが遅かった。やはり私はいち兵として働くのが性にあっているんだろう)

充実していた。

人間の命を顎で使う日々から解放されたソルはいきいきとしていた。

負傷兵[ソル隊長にこんな事してもらうなんて....]

ソル[隊長はもういいよ(そうだ、これが本当のわた....)]


スカッと。


ソルはのどを斬られる。

ソル[......?]

血がおびただしく飛び散り、倒れる。

看護師[きゃあああーーーっ!!]

負傷兵[はあ....はあ.....]

ソル(なん....死ぬ....助け.....!)





屋外。

ヴァイト、サイオウ、エックスが駆けつける。

ソルの顔には汚い布が被せられている。

N.ジェイ[運ばれた時は既に.....]

ヴァイト[......隊長]

エックス[そんな....誰がこんな事を!!]

ヴィディ[ソル君の指揮下で死んだ兵の父親じゃ]

マレー[!!]

ヴィディ[治療が間に合わず亡くなった事を恨んでいたらしいな]

マレー[........]

マレーは静かにその場を立ち去る。

ヴァイト[こんなバカな事があってたまるかああああーーーっ!!]

ヴァイトは剣を地面に叩き投げる。

ヴァイト[責を抱えて....苦しんでいたんだぞ....!]

サイオウ[.........]

ヴァイト[その親父はどこにいるドクター! 半殺しじゃすまねえぞくそったれがあ!!]

ヴィディ[自害しておったよ]

ヴァイト[!]

ヴィディ[初めからそのつもりだったらしいな]

ヴァイト[くっ....くそっ]

ヴァイトは膝をつく。

ヴァイト[俺のこと....信用して、迎え入れてくれたのによ....]

ヴァイトは涙を拭う。

エックス(惜しい人物を亡くしたな....戦争とはかくもあるべきなのか.....)


ミス.ヘラニーが遠くから観ている。

ミス.ヘラニー[ソル....様....]

崩れ落ちるミス.ヘラニーをライライが支える。

ライライ(もう分からん、分からんよ本当に)


翌日

マレー[そうか....]

アロー[ズイーブの事があったばかりだ、彼女には荷が重すぎる]

マレー[フェニックスはどうする、手も足りない状況だろう]

アロー[その事だが....しばらく俺はワーチに付き添ってやろうと思う]

マレー[.....そうか]

アロー[今の状態ではフェニックスは使い物にならない。俺個人が出てもチルドレンの足を引っ張るだけだろうしな]

マレー(俺も一緒だ。ウィザがいなければ何も出来ない。いや、だが止まっていられない。指揮官の想いは俺が引き継ぐ。ウィザを助けだし、ヴィディさんの言っていたハフの力でジ.エンドを滅ぼし、ブラック、もう一度お前と....)


ヴァイオレット。

ベーオ[....どうした256号。時計を見るなど久しいな]

ニコちゃん[いえ、約束がありまして]

ベーオは肉球をパンパン毛布で叩く。

ベーオ[人と、か?]

ニコちゃん[すいません、余計な事を]

ベーオ[いっていいぞ]

ニコちゃん[え]

ニコちゃんはアイロンを止める。

ベーオ(あの方がここを離れたらもうここもおしまいだ。その時にこいつらはどういう道を選択するのか....これは興味というやつなのかもしれんな)


ニコちゃんはデュアロと出会った海岸で体育座りをしている。

夕陽が沈んで行く。

ニコちゃん[..........]

翌日も同じ時間帯に訪れて、体育座りをしていた。

次の日も次の日も海岸へ来たが、デュアロは来なかった。

ニコちゃん[......ニコちゃんが来ましたよ]

1週間程した頃、ニコちゃんも海岸へ行くのを止めた......

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