197話 始祖2
カーレント(鎧)[QUAAAAAAAAAAAAA!!!]
カーレントは動きを止め、連続で空間を切り裂き、余波を生み出し、ジ.アイへ放つが、ことごとくバリアで防がれる。
ゆっくりと
腕が止まりそうになる。
DOOOOOOOON.....
余波の衝撃が海すら裂くがそれでもジ.アイに通じない。
ジ.アイ[タイムリミットにしよう。お前はむしろ我々に近いと思うがな、残念だ]
カーレントの動きが重そうに止まっていく。
ジ.アイがカーレントへ人差し指をくいっと振ると、バリアが放射状にカーレントへと発せられる。
カーレント[.............]
ブアッと放射されてくるエネルギーに飲まれていくカーレント。
黒の中にグリーンのオーラがかいまみえる。
ジ.アイ[ん!?]
ジ.アイは後ろを振り向き指をパチンッと鳴らし、バリアの放射を消す。
カーレント[!!]
.......................
静寂が一刻を支配する。
限界......
もうカーレントの意識が繋がっていられない。
恐らく次の一撃が最後。
静かに時を待つ。
カーレントは静かに。
ジ.アイ[.........誰だ?]
ヒューン....という飛行音と共に、海上をすれすれで何かが向かってくる。
ジ.アイは眉を潜める。
ジ.アイ[どういうことだ....これは]
飛んでくるそれはエメラルドに輝いていた。
ガーーーン! ガン!!
それから放たれたレールガン2発をバリアで防ぐ。
バリアごとジ.アイが一瞬押された。
ジ.アイ[つっ、私?]
空間がグニャリと曲がり、エメラルドの爆発するような輝きと共にバリアがパンッ!!と相殺される。
ジアイ[!!]
更にアフレックスミサイル12発も煙を噴き上げながらエメラルドに輝き、ジ.アイに向かってくる。
ジ.アイ[意味が分からん! 本気で誰なんだ!?]
ジ.アイは上空で回転しながら逃げ出す。
アロー[いい引き際だ、おもわず感心してしまったな....あれがジ.エンドの3男坊か]
オーキッド[はあ...はあ...あ、ありえない....同じ、同じ力? 相殺しているのですか3!!]
オーキッドは手を地面につけて目眩に揺さぶられる。
疲れで動けない。
アフレックスミサイルはジ.アイを追跡してくる。
ジ.アイ[何だか不快な。人工物ごときで...!]
ジ.アイが片腕をさっと下から撫でるように振ると、バリアの全方位放射でミサイルはエメラルドの爆発を連鎖的に起こしていく。
ジ.アイ[ーーー!!]
爆発の輝きの向こうに、かすかなグリーンオーラを発するエックスが直感的にジ.アイの目に映る。
ジ.アイはハッとフェニックスを見る。
追ってこない。
地上に降りていく。
ジ.アイは一瞬にして全て理解する。
ジ.アイ[私かああああ.........]
変形するほどに怒りで歪んだ顔を、フェニックスが急に振り返って目が合う。
GAーーーーーN!!
ジ.アイにレールガンが当たりバリアが再度相殺される。
ジ.アイ[っ!!]
ジ.アイは押されるが、態勢をコンパクトにまとめ留まる。
ジ.アイ[まちが]
今!!
剣豪の抜刀術のような速さでカーレントは動き出す!
慚!!
カーレントの腕が凄まじいスピードで一瞬動いた。
肉眼では見えない程に!
ジ.アイ[!!?]
振り返る間も無く余波がジ.アイに直撃する。
ジ.アイは大地にZUDOOOOOOON!と激突し、20m程の切り込みが大地にできる。
オーキッド[あ、ああ.....]
BUSYUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!!
カーレント[.........!]
血
大地の切れ込み深く堕ちたジ.アイの胸には傷がついており、そこからおおきく弧を描くように吹き出したB.N.ストリームがカーレントにかかる。
カーレント[NOAAAAAAAAAAAAAAAAAAHIIIIIIIIIAAAAAAAAA!!]
それだけで
たったそれだけで
真っ黒に染まったN.ストリームもドライブも粉々に壊れカーレントと共に吹き飛んでいく。
ごみくずのように飛んでいく夢うつつの中、悟る。
ーーー根本が違う、とても.......
ジ.アイ[ちっ...下位ナンバーだったら即死だったな]
胸の小さな傷からB.N.ストリームを噴き出しながらジ.アイが浮上してくる。
ジ.アイは構えをとりフェニックスを見る。
フェニックスは地上にダラリと降りる。
ズシンと降りたあと、のそのそと歩き出していく。
アロー[ま、またか....ジ.エンドはあっちだうすのろが!!]
いくら操縦悍を動かしても反応してくれない。
勝手に歩いていく。
アロー[ツバ...え!?]
モニターにヒカプリゲノスの文字がびっしりと現れる。
アロー[ヒカ....っつーか見えねえんだよ前が! どこに向かっているお前は!!]
ジ.アイ[いや、それはやらせん!!]
ジ.アイは顔を捻りながらフェニックスへ急加速で飛ぶ。
その時
ジアイ[!!]
遠くの方でN.ストリームが微かに登りたったのをジ.アイは感じた。
ジ.アイはストップし、B.N.ストリームを足から噴き出しながら急ターン、後ろを見る。
サイオウ[や、やっとだ....ここまで長かった.....]
オーキッド[サイオウ....]
這うようにして向かっていたのはここだった。
サイオウはオーキッドの前に立つ!
オーキッドはスイヴィアへ次元移動して逃れようとするが、ジ.アイ降臨に既にB.N.ストリームを使い果たしている。
ゲートは開かない。
サイオウは両手でナイフをオーキッドに振り上げる。
オーキッド[ハアハア]
オーキッドは手をかざす。
サイオウは首を横に振る。
サイオウ[今の....俺に....迷いはねえ.....!]
例え無抵抗の相手でもな!! と心の中で叫ぶ。