195話 我に輝け 聖域バーミントガム13
ZONE
物理干渉壁システム(オートバリア)
本来はフェニックスに積み込まれるコアサブマスタシステムだったが、ドラッキーが死亡したためにそれは叶わなかった。
スペリアル開発局によってようやく運用までこぎつけた。
理論上はあらゆる攻めを受け流す[虹の水]と呼ばれる現象を引き起こすのだがーー
テラミネ[ど、どうなっているのか検討がつかん!! 故障だろうな!]
バラリアン[わかんねえよ!! あまりにも...ガラーン局部長!!]
海が輝いていく。
雲間から光が射し込んでくる。
N.ストリームの竜巻が各所で起こり始める。
カーレント[.........]
カーレントの体はN.ストリームが渦巻いており見えない。
番犬のような目だけが空をねめつけている。
テラミネ[何が始まるんだ....バラリアン、もちそうかこれ!!]
バラリアン[だ....ああ、大丈夫だ!! 後部は爆発すら始まってはいない!]
テラミネ[標的はあれだ! あいつだ! 何かまずい!]
ナイトベアレーゼから放たれた一斉のレーザーが空間を占める。
輝きにカーレントも飲み込まれていく。
空 間 断 裂
カーレントの前の空間がグニャリと開き、レーザーはそこに飲み込まれていく。
ヴォケイショナル城。
ガラーン[......何だ?]
ビッグローは絶句している。
テラミネ[う...ああ...]
バラリアン[........生存]
カーレントは無傷だった。
身体中がつぎはぎだらけで、袴のような物をはき、上半身は裸だ。
カーレント[これが俺の、エセンスだ]
開いた空間がバン! と閉じる。
その瞬間、閉じた空間から衝撃波が発生し(余波)ナイトベアレーゼに振動のように叩き込まれる。
GOOOOOOOOOOOOOON.......
巨大なシンバルでも鳴らしたかのようなうめきをたててナイトベアレーゼは真っ二つに折れ曲がる。
テラミネ[ーーーーーーっ]
2人はコクピット内を転がる。
そしてナイトベアレーゼはゆっくり横向きになってしまう。
ヴォケイショナル城。
映像を観ているものたちが呆気にとられている。
全方位展開式レーザー。
大鑑巨砲主義こそが対チルドレン戦では必要と考えていたのだが.......
コクピット内は火花走る天地逆さま状態となっていた。
テラミネ[う...ど...どうなったか教えろ....ば、バラリアン]
バラリアン[うう...ハア...ぐう...]
2人は血を流していた。
大地には余波でうけた傷が抉れる程についている。
もはや谷が出来たといっていい規模だろう。
ナイトベアレーゼが爆発しだしてゆく。
テラミネ[揺れ...爆発しているのか...!?]
テラミネはコンピューターをいじり後部のシートに座る。
バラリアン[テ、テラミネ....!]
テラミネ[あばよ]
テラミネは脱出装置で空へ飛び出す。
カーレント(ん、脱出したか、良し)
バラリアン[揃いも揃ってクソッタレばかりかよおおおお!!]
バラリアンは初めてナイトベアレーゼをマニュアルに切り替える。
主砲、メナスの砲身をカーレントに向けていく。
バラリアン[消しとべえええええ!!]
と、ちょうどそこへアンサイズの脱出ボックスが落下してくる。
テラミネ[ヴォケイショナル城、すぐに応答してくれ....やっぱりあんなガラクタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!]
DOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!
メナスから発射された巨大なレーザーは脱出ボックスを巻き込んでカーレントに向かってくる。
カーレント[バカな事を...!]
カーレントは歯を強く噛むと、両手で空間を開き、自分に当たる分のレーザーをそこへ飲み込んでしまう。
2手に別れたレーザーは宇宙空間にまで達する。
バラリアン[!!]
バネのように閉じた空間から放たれた衝撃波がナイトベアレーゼへ向かってくる。
バラリアン[うあああああああああ!!]
BOOOOOOOOOOOON!!
ナイトベアレーゼは空中に浮き上がり、落下した衝撃で大爆発を起こす。
ヴォケイショナル城。
ビッグローがガラーンの胸を捕まえる。
ビッグロー[みたか石頭、これがチルドレンだ!! もはや正攻法で戦える相手じゃないんだよ!!]
ガラーンは返す言葉もなかった。
その頃フェニックスは海上に浮かんでいた。
アローはデューティーシステムの長期使用により、頭痛に苦しんでいた。
アロー[ああくそっ....うごけっつってんだよこのタコ!!]
アローはレバーを蹴りあげる。
アロー[!?]
フェニックスはエメラルドに輝きだす。
そして海上をゆっくりと進んでいく。
アロー[よ...よし]
ヴォケイショナル城。
ビッグロー[恐らく完成したとしていても結果は同じだったろう。あのチルドレンの能力....空間を開いて吸い込んでいたように見えた]
テッシ[私も同じ見解です。インヴェレーションによる絶対包囲の集中攻撃、今のところはこれで凌ぐ、という表現しか出来ませんね]
カーレントは下を見る。
オーキッド[......無念]
圧倒的なN.ストリームの前に、オーキッドは覚悟を決めた。
オーキッド(責めてあなたと逝けることを誇りに思います3)
カーレント[ジ.エンドだ]
カーレントは右手の爪で空間を切り裂く。
そして空間が閉じると同時に衝撃波がオーキッドへ放たれる。
オーキッド[また会おう! チルドレン!!]
BUAAAAAAAAAAAAAAAAA!!
大地から出ていたN.ストリームが一瞬にしてBに変わり、衝撃波は四散し、辺り一面にZUDANN!ZUDANN!と切り込んでいく。
カーレント[.......なんだ?]
岩や木がB.N.ストリームと共に浮かび上がっていく。
カーレントはB.N.ストリームに押されていく。
カーレント[く...お....なん...!?]
サイオウはヨロヨロと立ち上がる。
サイオウ[......これは]
あまりにも巨大なB.N.ストリームの圧倒的な力にサイオウは震えた。
サイオウ[ば、バカな....これ程の....]
オーキッド[No-3....!]
真っ黒になったデュアロは膝を抱えながら空に浮いていく。
サイオウ[.....デュアロ、いや...いや! デュアロか!?]