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178話 天使達に見送られ..../179話 ニラックとの誓い/180話 ニコちゃん

ワーチが一番に心配していたのはアローの事ではなくフェニックスの事です。


少女については分かる人もいるかと思います。

元々の特性が[鈍い人形]ですので珍しいものがあったりするとすぐそちらへ引っ張られていってしまうようです。その懸念もあってあまり外に出すのを嫌がっていたんだと思います彼らは。

死者数1230人。

グラヂュアリは完全崩壊した。

ヴィディの夢は夢と終わった。


グラヂュアリの人々はキャニーまで逃げてきていた。キャニー側でも受け入れを渋ったが、ヴィディの医療技術を条件に人々を受け入れた。


グローリア[ハア...ハア....]

グローリアはグラヂュアリから離れた場所で待機している。

グローリア(多大なる損害のうえ任務も失敗....情報と異なる事象があまりにも多く起こりすぎた。スペリアルとの関係がどうなるか....あいつめ)


キャニーの村。

ヴィディはブラックを診ている。

ヴィディ[火傷の方は問題ないな。これくらいなら....こいつの生命力はだてではないからの]

サイオウ[目はどうだ?]

ヴィディ[.....うむ]

ヴィディは言葉を詰まらせる。そこへマスカードが来る。

マスカード[ドクター、少しお話が]

ヴィディ[どうしたい?]

マスカード[その....医薬品の事なんですが]マスカードはブラックに目をやる。

サイオウ[ブラックに割いている量が多すぎるんだろう?]

マスカード[う、うむ....]

サイオウ[だがそれに見合う働きをしているこいつは]

マスカード[分かっておる。じゃが薬の絶対量にも限度がある。まともに薬を与えられない者が安楽死まで望むケースもあった。本国からの支援に大して彼への投薬量は....]

ヴィディ[それはわしも考えておった。.....そうだな、サイオウ、ドラゴンへの投薬量を少し抑えたい。苦しむ事になるかもしれんが.....]

サイオウ[.......ブラックは、どうなるんです?]

ヴィディ[感染を防ぎながら24時間体制で診る。彼の体力なら問題ないはずだ。いいか?]

サイオウ[分かったとしか言えない。ブラックと話せたらな.....こいつを頼む。俺なら何でも手伝う]

マスカード[すまんな.....]

ブラック[........]

ブラックは気を取り戻しており、そのやり取りを聞いていた。


ワーチ達はフェニックスのコクピットを無理矢理開ける。

アロー[や、やっと開いたかい]

ワーチ[アロー、大丈夫!?]

アロー[げろ臭くてすまんな....まだムカつきがとまんねえよ、おえ....にしても何がどうなったんだ?]

ワーチ[.....良かった]

ワーチは胸を撫で下ろす。

ワーチ(ズイーブ.....フェニックスは無事だよ。勝ったんだよフェニックスは)


イプニック[私達は国の命でここまで来ました]

ライライ[は、はあ]

2人は握手する。

ライライ(いつからわしがここの代表になったんだ?)

イプニック[国からの補給線から支援を受ける事になっています。メタルポリスの修理も必要ですし、次の命令が下るまでは皆さんを守り抜きます]

イプニックは肩を下げる。

イプニック[それにしても....よくこれだけ生き残れたものですね。こういう言い方もあったものじゃないですが]

ライライ[いえいえ....私もそう思っております。フェニックスやデュアロ君のお陰でしょう]

イプニック[デュアロ.ウーンディッドか....彼は今どこに? あれはもしや]

サイオウ[B.N.ストリームだ]

サイオウが歩いてくる。

イプニック[チルドレン。やはりそうなのですか?]

サイオウ[どうやら俺達は人よりN.ストリームを過剰にコントロール出来る分、憎悪にかられると非常に始末が悪いらしい。だが.....マンとは同じ目にあわせない。見つけ出して説得する。出来なければ俺は.....]

ライライ[はやりますなサイオウ様。みなで協力して....]

サイオウ[分かっているさライライ老...!]

エミィが走ってくる。

エミィ[取り敢えず患者さん達は落ち着いて......]

サイオウ[........]

エミィ[.......?]

エミィはハッとする。

サイオウは去っていく。

エミィ[サイオウ様!]

サイオウ[エミィ、ロストーレは死んでいた]

エミィ[!!]

サイオウ[五体満足.....安らかな顔だったよ]

サイオウは歩いていく。

ライライ[.....ロストーレ君が]

エミィは涙を流す。

ライライ[エ、エミィ.....]

エミィ[分かってた....事だから....だいじょう...ぶ...!]

エミィはこらえられず声をもらしながら座り込む。

マスカード(ここからが正念場じゃな....)


サイオウ(なんて無力なんだ俺は。なんて....)

サイオウはニラックを探し始める。

サイオウ[ドクター、ニラック.ドルトンを知らないか? グラヂュアリで治療を受けていた....]

ヴィディは息を飲む。

ヴィディ[お、落ち着いて聞くんじゃぞ、サイオウ]

サイオウ[....何かあったのか?]

ヴィディ[....ニラックは君を守って死んだ]

サイオウ[......何?]

ヴィディ[グラヂュアリが襲撃される前の話だ。事故.....]

サイオウはヴィディの襟首を持ち上げる。

アロー[サイオウ! 何をしている!?]

N.ジェイ[サイオウ!?]

サイオウ[守ってとはどういう事だ!? 死んだ?死んだだと!?]

ヴィディ[正直に言う....取り敢えず降ろしてくれんか]

サイオウはヴィディを降ろす。

サイオウ[何があった!?]

ヴィディ[わしの患者でもあるレパードという男に殺された]

サイオウ[殺された.....?]

ヴィディ[今は艦長と共にジ.エンドへの奇襲作戦に同行しておる]

サイオウ[.....どうなっている? 貴様らどうした!?]

サイオウは周りにいい放つ。

サイオウ[どこに向かっている?]

ヴィディ[バーミントガムと...]

早足で歩くサイオウの腕をアローが掴む。

アロー[いくきか?]

サイオウ[.....あいつは、あいつは新しく人生をやり直すはずだった。あいつの苦しみを俺はよく知っている!]

N.ストリームに淀みがみられる。

N.ジェイ[彼はアース.オブ.ザ.チルドレンなのよサイオウ....]

サイオウ[!!]

アロー[本当だアロー、残念ながらな]

ヴィディ[レパードとは別人格なんじゃ。主人格はカーレントという優しい男だ....頼むサイオウ、わしに免じて今は怒りを抑え....]

ヴィディは土下座する。

サイオウ[.....俺の責任なんだ]

N.ジェイ[サイオウ.....]

サイオウ[共に頑張ろうと.....誓ったんだあっ!!]

アローの手を振り払う。

アロー[止められないのかサイオウ!]

サイオウ[俺の家族だった!!]

サイオウはアコーディーをみにまとい飛び立つ。

アロー(チルドレンが2人も....ちっ、まずいぞこれは!)


デュアロはグラヂュアリから遠く離れた海岸で夕陽を観ていた。

デュアロ[........]

凄まじいくらいに裂傷の嵐だった。だが生きていた。恐らくその体は人間よりもジ.エンドに近いのだろう。盗賊[おい!]

デュアロは振り向く。

盗賊[うひいい!?]

盗賊はナイフを落として走って逃げる。

デュアロはナイフに写った自分の顔を見る。

デュアロ[そうか....!]

デュアロは黒い涙を拭う。

デュアロ[必要としていたのは....俺の方だったのか....!]


???[なにをしているのですか?]


デュアロ[!!]

少女が空中から降りてくる。デュアロは黒いN.ブレードを出す。

デュアロ[何者か!]

少女[それはおこたえできません。ですがきがいはくわえません]

少女は淡々と喋る。

デュアロ[ただの女が空を飛ぶか....答えろ!!]

少女[うるさいかたですね。もういいです]

少女はまた空を飛びデュアロに背を向ける。その手には袋が下げられている。

デュアロ[お、おい! 何故俺に声をかけた!?]

少女[....きょうみがあったからです]

デュアロ[.........興味?]

少女[わたしはもっとおおくのにんげんをみてみたい、あのおかたのぶんまで....あなたにはなにかとくべつなものをかんじたのです。ふくざつさ、のようなものを。さようなら]デュアロ[ま、待ってくれ!]

少女は振り向く。

デュアロ[君は....人間じゃないのか?]

少女[....フフ]

デュアロ[な、なんだ?]

少女[あなたもわたしにきょうみがあるようですね]


2人は夕陽を観ながら並んで座る。

デュアロ[どう見ても人だがなあ....]

少女[そういうふうにつくられていなければこうしておはなしできませんでした]

デュアロ[まあ...その袋、随分と買い込んでるな]

少女[りょうりのざいりょうです。とれーにんぐでずいぶんとおからだをいためられているようなので....]

デュアロ[よくわかんねえが、空飛ぶ女房が縁の下の力持ちか。笑わせるよ]

少女[?.....よくわかりませんが、ばかにしているのですか?]

デュアロ[い、いや、わりい。くだらねえ事を言う癖なんだ。何でもねえ]

トンビが泣く。

少女[....あなたはなぜそんなによど...よどんでいるのですか? ここでなにを? その...かえりちのようなものは?]

デュアロ[一辺に聞かれても困るよ]

少女[す、すいません....]

デュアロ[い、いや、あやまらなくていいって。さっきさ....戦ってきたんだよ。その返り...油ってところだな]

少女[あぶら? あげものですか? やけどなら....]

デュアロ[違う違う、機械と闘ったんだよ。奴らの動力源が油なのさ]

少女[きょうみあります。あわせてください]

デュアロ[......ああ、いつかな]

デュアロは少し寂しそうな顔をする。

少女[?]

デュアロ[よどんでるって言ったよな。何か感じるのか? 俺から]

少女[なんとなくです。あなたをみていたらそういうきがして....あ]

少女は買い物袋から傷薬を出してデュアロに塗る。

デュアロ[....いいよ、折角買ってきたんだろ?]

少女[はい。わたしもなぜこんなことをしているのかよくわかりません]

デュアロ[........]

デュアロは少し微笑む。

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