161話 長い寄港3
青年期のウィークス.コッタリン。若い頃の絵は怖いです。
ウィザ[そんなことない!]
マレー[ウィザ....本当にお前はよくやってるよ。見知らぬ世界へ来て、いきなり戦争に巻き込まれて....]
ウィザ[違うんだよお兄ちゃん...ホントに....!]
ウィザは走り去る。
マレー[.....ウィザ]
マレーは訝しげな顔をする。
夜遅く...
ウィザは1人ベンチに座っていた。そこへヴィディが来る。
ヴィディ[どうしたい嬢ちゃん]
ヴィディは隣に座る。
ヴィディ[こんな時間に外でちゃ行かんぞ。狼に襲われちまうぞ?]
ウィザ[......]
ヴィディ[....うむ、ゴホン。何かあったのかい?]
ウィザ[何でもありません....]
ヴィディ[ずっと悩んでおったね]
ウィザ[え...?]
ヴィディ[フフ....ワシの助言など必要なかったという事か。君は始めからわかっていたんじゃろ?]
ウィザ[見抜いていたんですか....はい、いつの間にか自分が力をセーブしている事に気づきました。もし私が意識して祈ったら....]
ヴィディ[3つのオーラの補い合いが完成し、個々が独立する。それは最も強力な全てを備えたベーシックスタイル....ハフへのトランスを意味する、かな?]
ウィザ[凄いですね先生は...]
ヴィディ[マレー君とドラゴン君には随分と検査に協力してもらったからね。君の挙動から推測しただけじゃよ。半分くらいはあたっとろう?]
ウィザ[そう...実際どうなってしまうのか分からないんです。でも1つ言える事は、それをつげたらお兄ちゃんがいなくなってしまうような気がして....]
ヴィディ[ふむ...まあ、あいつはそんな面しとるわなあ]
ウィザ[だから...でもあたし...]
ヴィディ[でもなあウィザちゃん....選択は本人がする事じゃからなあ]
ウィザは立ち上がる。
ウィザ[せ、先生は身内じゃないから! 私にはもうお兄ちゃんしか...!]
ヴィディ[う、うむ。すまんなあウィザちゃん。つい医者のくせが出ちまったよ...]
ウィザ[え? あ、いえ...私の方こそ怒鳴ったりして...]
向こうの部屋の中が薄明かるく光っている。
ヴィディ[...何じゃ?]
ウィザ[患者さんに何かあったんじゃないですか!? 行きましょう先生! 私も手伝います!(幽霊とかじゃないよね....)]
レパードは小さくN.ブレードを出し、サイオウのベッドの横に立っていた。
レパード[......]
レパードは汗をかいている。
レパード(今さら....相手が病人だからか? 戻れるような人生なんて送ってきてないのに....!)
そこへウィザとヴィディが来る。
ウィザ[!]
ヴィディ[レ、レパード!]
レパード[せ、先生...!]
ヴィディ[何をしとるんじゃお前は...!]
レパード[......]
ヴィディ医師に対しての恩にレパードは押し黙る。
ヴィディ[答えろレパード!]
レパード[....こいつを殺さないと、父が...!]
ヴィディ[殺す!?]
ウィザ[な....そんな事止めて! サイオウさんは...みんなの為にここまで...!]
レパード[っ.....]
窓ガラスを突き破り、剣がレパードの肩をかする。
レパード[うう!?]
レパードは壁に押さえつけられる。
レパード[うぐっ! だ...]
ヴィディ[ニラック君か!]
ニラック[サイオウ様に触れるな...おい!!触れるなああ!!]
するとニラックの剣が光の粒子と散る。
ニラック[え?]
レパード[取引なんだよジ.エンドと!!]
レパードがサイオウにブレードを向けられないのは、チルドレンとして同族意識があるからという理由もあります。同族意識が発生するのも、団結してジ.エンドと戦うためなんですけどね...