139話 偉大なる慈悲6
ライライ[あなた...風呂に入った事あります?]
グーリー[は?]
ライライ[歯を磨いた事は?]
N.ジェイ(とうとう...)
グーリー[ありません。何故それを?]
N.ジェイ[え?]
グーリー[生まれつき汚れない体なんです。どういう理屈なのか分かりませんが....]
ヘラニー[.....ライライ老師]
ライライ[地球がその身から根を生やし、木と成せ、果実を実らせる。これ恵みと得る。そしてそれは植物だけに限った事ではない.....古い言い伝えにあります]
ソル[何が言いたいんです?]
ライライ[あなたの体と心は常に純粋であるんじゃ。それは地球から汲み取った僅かなN.ストリームを相手に高純度のまま渡す為じゃ。つまり、ろ過しないんじゃよ、君の体は清潔過ぎて]
グーリー[待ってください、私の様な人間がいるんですか?]
ライライ[大昔の話じゃよ。それにホワイトオーラを操ったとされるのは馬だったとある]
ソル[それがどう関係がある老師! 時間がないぞ!]
ライライ[もし...グーリー君の体を通してN.ストリームを放出すれば....]
グーリー[!!]
ライライ[純度でさえ勝れば勝機はあると見ておる]
ソル[相殺出来るか....だがグーリー医師はチルドレンではない。どう彼を通してN.ストリームを出す?]
グーリー[サイオウ様が大地から引き出したN.ストリームをサイオウ様の体を通してではなく、私の体を通してあいつにぶつけるんですね?]
ウィザ[えっ...]
ソル[そんな事可能なのか!?]
ヘラニー[大地というものはオゾン層と一緒です。生物は高濃度のN.ストリームに耐えられません。ゆえに大地という網で弱められて地上に届くのです。それは更に生物の体を通して弱まります。ですから....]
ソル[その生物を通る部分を実質カットできるわけか...あのデカイのに対抗出来るんですね老師!]
ライライ[う、うむ...というより、今思い付いた方法で確かな数字が出せんからな...]
ソル[試してみる価値はある....グーリー医師! 協力してくれませんか!?]
グーリー[ええ....喜んで]
グーリーは笑う。
ソル[よし! フェニックスに繋げ!]
グーリー[トイレ行ってきます]
グーリーは出ていく。
ヘラニーがトイレに入る前に話かける。
ヘラニー[.......]
グーリー[なんです?]
ヘラニー[分かっているんじゃないですか?]
グーリー[何の事でしょう?]
ヘラニー[チルドレンでもない人間がN.ストリームをその身に受け入れたら....ホワイトオーラは細胞から放たれる力に微かなN.ストリームを乗せて相手に送る力。もし大きくN.ストリームを吸ったら....耐えられまんよ]
グーリー[.....方法がないんでしょう? 人命救助という点ではやることはいつもと変わりませんよ]
ヘラニー[効果があるかないか分からないんですよ!?]
グーリー[........]
グーリーはヘラニーにキスをする。
ヘラニー[!!]
ヘラニーはグーリーをビンタする(この行為については詳しい解説あり)
グーリー[最後くらいいいでしょうに]
グーリーはトイレに入る。
ヘラニー[.......]
ヘラニーは唇を触る。
グーリー(どうせもうガタも来てるしな...)
グーリーは白衣に着替え、患者を見て回った後、甲板に出ようとする。しかし軽症の大勢の兵とN.ジェイとエミィが立ちふさがる。
エミィ[まだまだグーリー先生が必要なんです!]
N.ジェイ[行かせないよ、絶対に]
グーリー[聞かれていましたか....参りましたね]
グーリーの行動について;あのキスはわざとしています。嫌われて心配されないように....とのグーリーの配慮です。多くの死者を見てきたグーリーらしい考えでしょう。半分は抑えられなかった欲求です。恐らくこれから自分は死ぬ。最後に好きな人と....この2つの感情があります。ちなみに常に笑顔なのも患者に不安を与えない為です。
グーリーの事を最低と見るか賢者と見るかは皆さんにお任せします。
1つ言える事は、この人は感情を表に出す事はありません。