138話(2) 偉大なる慈悲5
138話は2回に分けて投稿しました。
総攻撃が始まった!
ソル[連合政府に連絡はとれんのか!!]
連合兵[しっかり対応してくれているはずです!!]
ソル[はずではない!]
リアルベルチに動きがない。
マレーは既に外に出るようにスタンバっている。
連合兵[もうこれ以上高度を維持できません! 着陸します!]
ソル[手は休めるな! 次弾装填命令待つなあ~!!]
ウィザ[兄さん!]
ウィザはマレーに抱きつく。
マレー[ウィザ...]
マレーもウィザを抱き締める。
マレー[いい国だったよなハフはさ...怖い思いさせてごめんな]
マレーはウィザの頭を撫でる。
ウィザ[怖いの! 凄く怖いの!!]
マレーはウィザの目を見つめる。
マレー[帰ってくるさ! 帰ってくるよウィザ! この艦は俺にとって....何て言うか、何ていったらいいのかな、ハハ....落ち着ける場所なんだよ。あいつの魂もきっと....]
ウィザ[....あいつ?]
マレーは飛び出す。
マレー[勝つぜ! 見てろウィザ! ハフの...アンセスタの底力をな!!]
マレーは走っていく。
ウィザ[嘘....]
マレーは走りながら思う!
[そう、燃やしてやる。一片の不安なぞあるものか....あそこにはブラックが、アローが、サイオウがいる。きっともう誰の目にも{映らない程}に灰にしてやろう!!]
最初に異変に気づいたのはサイオウだった。
サイオウ[.....!?]
リアルベルチが動かない事を良いことにマシンガンをぶっぱなすような高ぶりで攻撃していたメンバーだったが....
リアルベルチの目と、サイオウの目があう。
ブラックはグリコーゲン砲を放とうとする。
サイオウ[ブラックやめろおおおおおおおーーーーっ!!]
ブラック[!?]
サイオウから黄金の突風がバアッと吹き、ブラックは攻撃を中止する。
ブラック[何だ...?]
サイオウ[ブラック! ウィザに伝えろ!! でかくなってる! 吸収しているこいつは! 笑ってる!!]
ブラック[!!]
フェニックスはレーザーカノンを何発も打ち出している。
アロー[!?]
小さいN.ボールがフェニックスの目の前を楕円状にかすめていく。
アロー[あ、あぶねえ...サイオウおい!!]
サイオウを見ると、N.ストリームで出来た薙刀を必死に振っている。
アロー[......?]
ブラック[ウィザ!!]
ウィザ[ブラック! どうしたの?]
ブラック[すぐに攻撃を中止するよう艦長に伝えろ! この黒いのは攻撃を吸収して大きくなっている!!]
ウィザ[え....!?]
ウィザはソルのもとへ走り出す。
マレーの射程距離内にリアルベルチが入る。
ウィザ[兄様聞こえる!?]
マレー[焦がせえええええーーーーーーーーっっっ!!!]
サイオウ[!!!]
辺り一面が輝いた。
ブラック[ぬっ...遅かったかあ!!]
アロー[マレーか?]
サイオウ[ちい...]
サイオウは飛ぼうとするが、アーマーがボロボロで上手く飛べない。
リアルベルチは姿が隠れるほどの大爆発にあう。地響きが続き、爆煙が漂う。
マレー[ざまあよ....はあ...]
マレーは膝をつく。
マレー(一気に消すしかないんだろブラック....じゃあこれでOKだ....)
マレーは倒れる。
マレー[う、ううぐっ!? なっ....!!]
体が全身痛む。
マレー[....はっ....]
それはすぐに治まった。
マレー[はあ...はあ....]
ソルの元へウィザが駆けつける。
ウィザ[ソルさん!]
ソル[装填次第撃てえ!! 弾幕はって消し飛ばせ!]
ウィザ[ソルさんてば!!]
ソル[うるさい! なぜフェニックスは動かない!? 繋げ!!]
ウィザはソルの顔をはたく。
ソル[お....]
連合兵[!]
連合兵は息を飲む。
ウィザ[聞いて....あの黒いのは攻撃を吸収してるの! 大きくなるのを待っていたのよ!]
ソル[なに.....]
ソルはリアルベルチをよく見る。
ソル[.....足元を映せ!]
連合兵[は、はい!]
リアルベルチの足元が映る。
艦内にどよめきが走る。
リアルベルチの足元周辺が腐っていく。そしてそれはB.N.ストリームとなり、リアルベルチに吸収されていく。
ソル[確認しろ....大きさは]
連合兵[巨大化しています! 実数値...さ、38mです!]
ソルは舌打ちする。
ソル[アローにも伝えてやれ...]
連合兵[了解!]
ライライ[純度じゃ....]
ライライはN.ジェイとヘラニーに支えられて入ってくる。
ヘラニー[こ、こんな大きな....]
ライライ[B.N.ストリームの純度が高過ぎるんだ。触れたもの全てがB.N.ストリームに変わっていっておる]
ソル[我々が....?]
ライライ[.......]
ソル[サイオウもN.ボールで攻撃していたんですよ!?何故....!!]
その発言がまずかった。
N.ストリームも通用していない....つまり
ライライ[........]
ライライは椅子に座る。
ソル[そんな....そんな生命体などいるものか! このままでは!]
リアルベルチは動き出す。
アロー[動いたぞ艦長....]
リアルベルチは向こうを向き、歩き出す。その大きさ40m以上....
ソル[人類どころではない....地球がB.N.ストリームになるのか....!?]
ウィザ(お兄ちゃん戻って!!)
マレーはぐったりとしている。
ウィザ(お兄ちゃん!!)
リアルベルチが足をつく度にそこは窪み、腐り、B.N.ストリームとなり、リアルベルチに吸収されていく。つまり歩いているだけで大きくなっていく。
もう、誰もが見ているしかなかった。
ソル[ピアリアドだ]
N.ジェイ[え?]
ソル[この方角はピアリアドだ! すぐに避難勧告させろ! 吸い込まれるぞ!!]
連合兵[はい!!]
アロー[ブラックホールだ....エレジー、聞こえるか?]
ソル[アロー...聞こえている]
アロー[すまない皆....]
ソル[謝るなアロー...]
違った。アローが謝ったのは無力さからではない。
惚れてしまった。一目惚れだった。
それほどに美しいと....無力さを前にしてリアルベルチの大きな美しさにみとれてしまった。この眺めを最後にしてもいいとさえ思った。
ソルはライライに駆け寄る。
N.ジェイ[ちょっと!]
ソル[何かないんですかあーーっ!!!見ている....だけなんですか....]
ソルは壁をたたく。
ヘラニー[........]
ヘラニーもうつ向く。
サイオウ[.......]
圧倒的なリアルベルチの後ろ姿をただ見つめていた。見つめるだけである。そこに言葉もなかった。ただ全員が見つめていた。
ソル[......ピアリアドにいけ]
連合兵[はっ?]
ソル[人命救助を優先する。行け....]
連合兵[了解!!]
ライライ[待ってくれ!!]
ソル[!!]
ライライが立ち上がる。
ソル[.....博士?]
ライライ[救助か....救助か艦長! すぐにグーリー医師を読んでくれ!!]
N.ジェイ[だ、大丈夫かよじいさん]
ライライ[冷静に興奮しておるよわしは! 早くグーリー君をよんでくれ!!]
ソル[お...おい!すぐにグーリー医師を...!]
ウィザ[私が呼んでくる!]