No,5
更新が遅くなりました。
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──────また、夢を見た。
今度は目覚めた時にはすっかり忘れていたが、断片的には少し思い出せた。
まぁ、いざ言うとなったら出てこないけどね。
そんなわけで、どうも九条アヤノです。
私は眠い目を擦りながら、ベットから飛び起きた。
繊細な行動(目を擦る)と大胆な行動(飛び起きる)が重なったので、目にわずかなダメージが与えられた感じがする。
時計が指し示す針は、午前8時35分。
風宮中学校の登校時間は、8時30分。
私の家から学校まで走っても、10分。
走ったとしても、15分OVER
もちろん、文科系クラブ所属の私にそんな体力はない。
皆無と言っていいほどだ。
半場諦めたようにそっと私は立ち上がり、制服に着替え始めた。
遅刻していることを無視して優雅に朝食をとり、何の焦りもなくスニーカーを履く。
私の通う学校には、指定された下履きというものはなく、そんなに校則も厳しくないので、みんな自由な靴を履いていく。さすがにヒールとかはないけれどもね。
当たり前のように通学路には同じ制服の姿はない。
普通のスピードで、学校を目指す。
家を出るときに確認した時刻は、9時3分。
「あぁ、もういいやぁ」
そんなつぶやきが漏れる。
あまり通勤中の人もいないこの道は、吹き付ける風の冷たさが群を抜いている。
この辺りでも指折りの寒さスポットである。
耳ではいい感じのポップスが流れていて、寒さを紛らわしている……わけではないけど、こんな道を毎日通っていたら、寒さなんて慣れてくる……よね。
つーか、ポップスは好きでもないし。
あ、と思った時にはうつっていた。
昨日よく聞いた、あいつの「口癖」。
聞くたびに地味にイラッときていたけれど、突っ込むまではしない。
あの冷静な口調で、「つーか」とか、「てか」とか言われたら、さすがにね。
もはや誰もいない校門は、真ん中だけ少しあいていた。
するりと入って、私は門を入って右手にある正面玄関から職員室を目指す。
職員室では、遅刻者カードなるものを書かされ、遅刻の理由などを書かなければいけないのだ。
「あ、アヤノ、おはよー」
遅刻者カードを書き終わり、ゆっくりとした足取りで二年生のクラスがある、3階の廊下を歩いていると、時々声を掛けられた。
仲は比較的いいけれど、雑談くらいしかしない……といった感じの「友達」だ。
「寝坊しちゃったんだよー、ハハハ」
と、口では言いつつも、私は遅刻者カードに「体調不良・電話での連絡忘れ」と書いていた。
もともと体の弱い私がこう書くと、遅刻が取り消しになっちゃったりするのだ。
加えて生徒会の一員だしね。
あ、これは内緒。実際、五回近く遅刻をしている(アヤノが見た限り)誠次も、いっつも0になっている。
ま、この裏ワザ?も彼から聞いた話なんだけどね。
「おい、遅刻してんのに優雅に歩いてきてんじゃねーよ。めっちゃ見えてんぞ」
「え、嘘!?」
意地悪い笑みを浮かべるのは、先ほど話した生徒会の遅刻犯、須藤誠次である。
「私には走る体力がないの!」
反論する。
事実、私は運動部でもなく、体育でも体調不良などがあってろくにやっていない。
つまり、年中結構運動不足である。
けれど別に体型に支障はきたしていない。
体重は非公開です!
「もう一時間目終わってんぞ、寝坊か?」
「違う違う、人間の最大欲求に敗北してしまったんだよ」
回りくどい言い方で返答した。
教室で席に着き、教科書を入れていく。
誠次が後ろで座る音が聞こえた。
そう、私の斜め後ろの席である。
「直訳すれば「寝坊」じゃねーか」
そう誠次言ったとき、聞き覚えのある声が廊下から聞こえてきた。
私たちの席は窓側の後ろのほうで、後ろのドアのところに女の子が一人立っていた。
背の小さな女生徒会長、香坂彩夏であった。
そのどんな人にも笑顔で接する性格と、申し分ないルックス。加えてバレー部のキャプテンでもあり、噂では空手五段だって。
後半は関係ないけど、彼女は役員選挙で五人もいた候補者を大差で下し、生徒会長に就任した。
その笑顔には裏がある……というのは内緒の話。




