世界
マリー「起きなさいブルー!もう昼間よ!?」
朝…?のハズの時間、鼓膜を突き破るくらいの大声が響いた。
あたし、クリスタル家の長女・ブルーは、まだ重たい瞼をゆっくりと開く。
ブルー「…んん~……って、ええ!?昼間ぁっ!?」
マリー「全く…。朝私が用事あったからって、呑気に寝てるから!」
あたしのお母さん――マリー・クリスタル――は、眉に皺をよせてバッと起き上ったあたしを呆れ気味に見ていた。
ブルー「はいはいすみませんー!ってか約束あるんだった!」
マリー「はぁ!?あんた、家の手伝いする約束…」
ブルー「ごめん!ルイスと約束してるからっ!」
バッ…
朝ごはんも食べず、毛布も片付けず。余裕のないあたしは、自分の部屋……つまり2階の窓から、下の石畳へと飛び降りた。
慣れているせいか、痛みは全く感じない。
マリー「ちょっ…あんた何度飛び降りてると思って…っ!待ちなさいーーーっ!!」
お母さんの絶叫も無視し、もうすでににぎわっている町中を走る。近所のガキンチョや野菜売りのおじちゃんとかに何度も挨拶されたけど、そんな余裕はなくただ「ごめんっ」と返した。
眩しいほどの青空の中、空をふと見上げると…。
ブルー「あっ…」
何かが、太陽を横切った気がした。それは多分――“妖精”だ。
最初は、自分たちと違う能力を持ち今のようにふわふわと空を横切るそれが、不思議だった。けれど生まれた頃からずっと見ている日常風景に慣れてしまったんだ。
あたしの住む、ここ。妖精と共存するこの世界―――イアーズ・フェアリー。
ここで生きる人々に必要なものは、全て妖精によって与え続けられていた。火、水、光……そして、力さえも。身分差の激しく、争いの絶えないこの世界だったが、それでも生きていられた。
あたしたち“人”は、妖精によって生かされていたんだ―――。
はい。世界の説明です。
遅くなる恐れもありますが、どうかよろしくおねがいします!!






