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あーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 62話 ペンギン

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。






池図女学院部室棟、あーかい部部室。


ひいろがドアを開けると、そこには3日目の雪だるまのように溶けかけたあさぎが力無く机に上半身を横たえていた。




「……今日はあさぎだけか。」


「あづい……。」




今日は30℃超えの唐突な猛暑に見舞われていた。




「ほんと、急に暑い日がでてくるのはなんなんだろうな。」


「なんでひいろはへぇきなのぉ……。」


「大袈裟だなあ……体温より低いだろう。」


「基準がバグってる……。」


「ほら、言うだろ?『心頭滅却すれば火もまた涼し』って。」


「痩せ我慢じゃん……。」


「……ぶっちゃけるとめちゃくちゃ我慢してる。」


「ほらぁ……。」


「だからといって目の前で溶けていられるとこっちも暑いんだが。」


「そっちが無我の境地ならこっちは無為自然……。」


「少しは抗えよ。」


「……雨乞いでもする?」


「神頼みかあ……。」


「じゃあひいろ何か抗ってみてよ。」


「そうだな……




ひいろは自分のカバンを漁ると、外にペンギンが描かれた、中身が溶けかけた保冷剤を取り出した。




「……使えるか?」




ひいろは保冷剤をハンカチで包むと首に当てて涼をとった。




「アナログだがこれはこれでなかなか……♪」


「おーけー、それちょうだい?」


「は?嫌だが。」


「鬼か?」


「あさぎも自分で何か考えればいいだろ?」


「そうかあ……、




あさぎはちょっと黙り込んで思考すると、




「……その保冷剤、ペンギン描いてあったよね?」




あさぎはひいろがハンカチ越しに首に当てている保冷剤を指差した。




「ああ、そんなデザインだったな。」


「フフ。……というわけで今日はペンギンの話をしようか。」


「涼しい話をするのも昔ながらの納涼だな。……いいだろう♪」




あさぎはふてきな笑みを浮かべると上半身を起こした。




「じゃあひいろ、ペンギンを思い浮かべてください。」


「そういう感じなのか……?」




ひいろはしぶしぶペンギンを思い浮かべた。




「……よし。」


「今、ひいろの脳内にペンギンが召喚されましたね?」


「なんなんだこれ……。」


「ペンギンってさあ、よくアイスとか冷たい商品のアイコンになってるよね?」


「まあ涼しいイメージだよな。」


「……ペンギンってさあ、本当に涼しい生き物なのかなあ?」


「どういうことだ?」


「いやさ、『氷』とか『そーめん』みたいにキンキンに冷えたものならわかるよ?でもさ、ペンギンって……、


「……ああ、なんとなく言いたいことはわかった。」


「そう、奴らは極めて暑苦しい生き物なんだよ。」


「納涼の流れじゃないのか……。」


「だって考えてもみてよ。ペンギンってめっっちゃデブじゃん。」


「まあ……、寒いとこにいるから『ふくよか』だよなあ。」


「それと実際のペンギンは結構パワフルなんだよね。」


「あの羽で叩かれたら痛そうだしな。」


「つまりペンギンは『ふくよか』で『ムキムキ』……いいね?」


「そう言われるとなんだか暑苦しい気がしてくるな……。」




ひいろの脳内のペンギンがふくよかでムキムキになった。




「しかもそんな太っちょがモッコモコの羽毛……つまり脱衣不可の呪いの装備を身に纏ってるんだよ?」


「……そうか、暑苦しい話をしてワタシを道連れにしようという魂胆だな?」


「フッフッフ……。1人だけ涼しい思いしようだなんて『冷たい』真似、させないよ?」


「はいはい……。だが大人のペンギンはモッコモコじゃないぞ?」


「くっ……!」


「そこは反論用意しておけよ……。」


「じゃあ頭の片隅にモッコモコの()ペンギン置いといて。」


「暑苦しいなあ……。」




ひいろの脳内にモッコモコの()ペンギンが召喚された。




「……確かに、大人のペンギンはモッコモコじゃなくなるけど、今度はぷっくぷくなんだよ……!?」


「ぷっくぷく……?」


「そう、モッコモコの羽毛をコートに例えるなら、大人の羽毛はぷっくぷくのダウンジャケット……!」


「空気が入ってると断熱効果上がるっていうよな。」


「……と、これは置いておいて。」


「広げないのか……。」


「じゃあ脳内のペンギンにコートとダウンジャケット着せといて?」


「……さらに暑苦しくなったなあ。」




ひいろの脳内の小ペンギンがコートを、ペンギンがダウンジャケットを羽織った。




「ひいろはペンギンがどうやって寒さを耐えるか、知ってる?」


「今度は行動か。」


「そう、『めっっちゃ群れる』んだよ!」


「まだ答えていないんだが……。」


「ペンギンは圧倒的な人口密度でギッチギチに群れることで寒さを凌ぐんだよ。」


「よく図鑑とかドキュメンタリーに出てる絵面だな。」


「考えてもみな


「え?嫌なんだが。」


「ちょっ!?断るのはずるくない!?」


「他人のこと道連れにしようとしてる奴に言われたくない。」


「私は正々堂々ひいろを陥れようとしてるんだけど……!」


「自分で言ってて脳がバグらないのか?」


「ぐあぁぁ……、」




あさぎが頭を抱えて悶え出した。




「くっっそ、ショートした機械を連想したら体感温度上がった……!」


「自業自得だ。」


「くっそお……、その保冷剤ドロッドロにしてやる……!」


「そのうち勝手になるだろ。」


「……さっきひいろはおしくらまんじゅうって言ったよね?」


「言ってないが。」


「ペンギンのそれって、『おしくらまんじゅう」なんて生やさしいものなのかな……?」


「……何が言いたい。」


「…………『乗車率』。」


「ッ!?」




ひいろの脳内のペンギンたちが満員電車に押し込められた。




「……そう、奴らは極めて『日本的な』生活を営んでいるんだよ……!?」




ひいろの脳内のペンギンたちがネクタイを締めた。




「くぅぅ……ッ!?」


「あれ?私はまだ『何が』なんて言ってないけど……頭の良いひいろにはわかっちゃったかなあ……♪」


「あさぎ、貴様……!?」


「……ここまで話してきたピースを繋げれば『答え』にたどり着くんじゃない?」


「は……、はめやがったな……ッ!?」


「ひいろが自滅してるだけだよね?……私はただ、『ふくよか』で『ダウンジャケット』着たのと……、『乗車率』カンストの『日本的な』『アレ』としか言ってないよ?」


「あさぎ……!そこまで言っておいて頑なに名詞を言わないのは、


「敢えて明示しないことで想像力が掻き立てられる……『絶対領域』の法則とでも言おうか?」




あさぎは勝ち誇ってニヤリと口角を上げた。




「く……ッ!だがこのままでは終わらないぞ?」


「へえ?」




「あさぎは初手に『ふくよか』と『ムキムキ』を連想させたが、まだその伏線を回収していないな……?」


「まさか気づいて……!?」


「あさぎだって気づいているんだろう?『ふくよか』で『ムッキムキ』で『日本的』な人間を……!」


「やめっ、その先は……!」


「そう、ワタシとあさぎの脳内のペンギンたちは……『力士』に変換される!!」




ひいろとあさぎの脳内のペンギンが力士に変換された。




「ぐあああ暑苦しい……ッ!?」


「ハッハッハ……、ちゃんと()力士にコートを、力士にダウンジャケットは着せたか……!?」




2人の脳内の()力士はコートを、力士はダウンジャケットを羽織った。




「なんて暑苦しさ……っていうか()力士ってなんだ……!?」


「はっはっは……、想像にまかせる……ッ!」


「くっ、力士はほぼ裸なのにネクタイと上着だけ着せるなんて……、小癪な手を……!」


「おいやめろ!?暑苦しいのに悪寒がする……ッ!?」




2人の脳内の小力士と力士がネクタイを締めた。




「フッ……。死なば諸共!ひいろ……『満員電車』も忘れてないよね。」




2人の脳内の小力士と力士が満員電車に押し込められた。




「ぐおぉ……、なんて暑苦しいイメージを……!?だがな、そんなあさぎにとっておきの豆知識だ。」


「しぶといなあ……。」


「ペンギンの骨格標本をよく見てみると……、普段のあの姿勢は直立しているように見えるが、実は膝を折り曲げているんだ……ッ!!」


「な……ッ!?」


「つまりさっきのイメージの精度を上げると……、


「ぐあああ……ッ!?私の脳内小力士と力士が、満員電車の中で一斉に空気椅子を……ッ!!??」


「ネクタイとダウンジャケットを忘れるなよ?」


「ぐはっ……!?」


「おっと、()力士はコートだったな?」


「  」




あさぎは己の敗北を悟り、力無く机に倒れ込んだ。




「ったく、他人のこと道連れになんてしようとする……か、ら…………、




ひいろの脳内でコートとダウンジャケットを着てネクタイを締めた力士と小力士が満員電車の中で一斉に空気椅子を始めた。




「……無理、だ。」




ひいろも力無く机に倒れ込んだ。




・・・・・・。




「ふえぇあづ……、




「「  」」




遅れて入ってきた白ちゃんの前には、あさぎとひいろが力無く机に倒れ込み、


……ほんのりあったか〜くなったペンギン柄の保冷剤が異様な存在感を放っていた。




「……なにこれ。」








あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ

ひいろ:はあ……


白ちゃん:お疲れ様

白ちゃん:はあ……


きはだ:なんだいテンション低いなぁ


ひいろ:主にあさぎのせいだ


白ちゃん:ほんとなんてことしてくれたのよ……


きはだ:話が見えないんだけどぉ……


ひいろ:気になるなら読んでみるといい


白ちゃん:フフ






きはだ:何してくれとんじゃぁぁあ!!

きはだ:よくペンギンでこんな暑っ苦しい話できたなあおい


あさぎ:ほんと、こんなのを世に放つとかやめてほしいよね


白ちゃん:おい元凶


ひいろ:あさぎが道連れにするのが悪い


きはだ:犠牲者増やさないでくれるかなぁ


白ちゃん:そうよそうよ、これからペンギン見るたびにダウンジャケット着た力士とコート着た()力士が満員電車でネクタイ締めて空気椅子してるとこ思い出しちゃうじゃない


きはだ:うえぇ、きはだちゃんもう一生ペンギンを可愛がれなくなっちゃった……


あさぎ:小ペンギンならなんとか


きはだ:コート着た小力士がチラつくんだよお!?


ひいろ:くっっそ、見事にあさぎにしてやられた……!


あさぎ:それを世界に解き放った大罪人がよく言うよ


白ちゃん:これが負の連鎖ってやつかしら……


あさぎ:ペンギン型の目覚まし時計あるけど部室に置こっか?


きはだ:やめろぉ!?

ひいろ:下衆が

白ちゃん:やめなさい


あさぎ:えぇぇ……

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