4話:覚醒
古代魔剣士はガーディアンくらい容易く倒せてました。
光を抜けるとユーマは朦朧とした意識のまま巨大広間に戻されていた。
ズシィーン。
巨大ガーディアンがユーマに気づきその巨体を振り向かせる。
「こ、こは、広間……か?」
はっきりとしない意識。魔剣からの記憶の流入の後遺症が残っていた。
だがガーディアンは待ってはくれない。再び上半身を回転させユーマに迫る!
ギュイイイイン。
ガーディアンの駆動音がうなりを上げ残った柱をなぎ倒しながら徐々に近づいてくる。
だがまだユーマは覚醒しない。無防備なままだ。
このままではガーディアンの攻撃の前に体は粉々にされてしまうだろう。
シュンシュンシュン。
ガーディアンの腕が風の切る音が聞こえる距離になる。
もはや絶体絶命、ガーディアンの一撃がユーマに当たろうとしていたその時!
「失わせるわけにはいかない。」
それはユーマの頭に響くユニオンソードの声だった。
ただ握っているだけだった赤黒い剣がたちまち赤熱する!
ガキャーン!
次の瞬間ガーディアンの腕は容易く弾き飛ばされた!
それはまるで物理法則を無視したような弾かれ方だった。
腕に走る大きな衝撃。その痛みによって朦朧とした意識がはっきりし始める。
目覚めたユーマは現状を確認する。
手には赤熱化した剣。
「これは昔おじさんが使っていた……」
ユーマは過去に一度だけおじさんが炎の剣を出していたのを見ていたのだ。
その時は一瞬しか見なかったが記憶には鮮烈に焼き付いていた。
そして流れ込んだ知識と記憶が炎剣術の技であると確信させた!
ガーディアンはゆっくりと体勢を立て直し再びこちらに向かおうとしていた。
炎剣技を受けたことでハンマー状の腕は破損し上半身の回転攻撃ができないようになっていた。
だが依然としてその巨体そして残った丸鋸は脅威だった。
ズズゥン。
再びガーディアンが迫る!
ユーマの魔力はユニオンソードによる自動反撃で大幅に消耗されていた。
次の一撃で仕留めなければ魔力切れを起こし行動不能になってしまうだろう。そうすれば死だ。
今の魔力でガーディアンを倒せる剣技はないかユーマはユニオンソードと同調し検索した。
「まあ、今のお前だと俺の技がちょうどいいんじゃねえか? 派手で分かりやすいのが一番だろ!」
それはどこかおじさんに似ていながらも、もっと豪快で、自信に満ちた炎の剣士――ライオウの声だった。
ユーマは記憶の検索で提示された「爆炎斬」の発動準備に入った。
剣を炎纏いで赤熱化する。
ユーマの周囲に熱気が満ちてきた。赤熱化した剣にさらに魔力を集中する。
まるで自身すら焼き切りそうな熱が集中していく。
「爆炎斬」の準備が整った時ガーディアンは攻撃が届くあと一歩のところに迫っていた。
ユーマは間合いを見計らいガーディアンが失った左腕側から飛び込み一気に爆炎斬を解き放った!
ドゴォーーーン!
圧縮されていた熱が一気に放出される!その威力はすさまじくガーディアンの左肩から腹部までを跡形もなく消し飛ばしていた!
ユーマも爆風で吹きとばされ壁にたたきつけられる。
「ガハッ!」
衝撃で吐血するだけではない。未熟な肉体で規格外の力を使った代償は、もっと深刻だった。体中の魔力回路が焼き切れるような激痛が走り、視界が明滅する。
(これが……爆炎斬の反動……)
炎剣術では中級の技。今のユーマが、自らの意志で使うには、あまりにも早すぎたのだ。
「ガーディアンはもう動かないよな……」
ユーマは体力、魔力の限界に達しそのまま意識を失っていった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
現在はここまでしか書けておりませんがプロットは完成しているので、
続きの投稿までお待ちください。
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